私とネオジオ――もっとも身近なアーケードゲーム
第一回 暗く、熱く、怖い、戦い――「NAM-1975」




 第二回はいつやるんですか? といったようなコラムばかりを乱造している犬神ですが、今回もあえて第一回と銘打ったこのシリーズ……では、SNKが生んだMAX330メガ(後にGIGA POWERになりましたが)なハード・ネオジオについて語りたいと思います。なお基本的に語られるゲームは、ごく個人的な系譜に基づいてかかれますので、格闘技ありシューティングありアクションありと、相変わらずの「ごたまぜ」ぶりとなっておりますのでご了承ください。
 で、とりあえず第一回は、ハードと同時発売されたソフトの中から、SNKお得意(?)の戦争シューティングゲーム、「NAM-1975」について。


 そう、あれはたしか、まだ隔週だった頃の「ファミコン通信」誌上でした。
 「ゲーセンのゲームがそのまま家でプレイできる」――大ざっぱに言ってそんな感じで紹介されていた、数年前に同じくファミコン通信でまだ白かったX68000の紹介を見た時以来の衝撃を受けた超絶ハード(当時の印象)・ネオジオと、同時発売のゲームの数々。
 その中にあったのがこの「NAM-1975」でした。
 古くは「ミサイルコマンド」、あるいは当所でも取り扱っている「ブラッドブラザーズ」などで見ることができる、照準をレバーで動かして画面の中で動く巨大ヘリ・巨大飛行機・巨大メカ・巨大兵士などを倒してください、というのが目的です(一部、登場しないキャラクタがいます)。
 ゲームの舞台は、タイトルどおり1975年のベトナムで、北側(時代を感じますね)にさらわれた何とかって言う博士を救出するべく南側から潜入したって言う、まあ「ランボー」かなんかみたいなストーリィです。ゲームを進めていくうちに、いろいろとストーリィの盛り上げがあるので私の方からの詳しい説明は割愛させていただきますが、洋画っぽくて結構熱くなる感じです。
 主人公の武器は基本的にはマシンガンですが、アイテムを取るとバルカン砲になったり火炎放射器になったりミサイルランチャーになったりします。あと、別なボタンを押すと手榴弾をポンポン投げたりしますが、これもアイテムを取るとパワーアップします。
  これのすごいところは、こちらの武器に応じて相手のやられモーションが違うと言うことです。すなわちマシンガンで撃てば血が出て倒れますが、手榴弾やバズーカで撃つと……その、なんというか……爆裂四散で、要するに「あべしっ!」な感じになり、さらに火炎放射器で攻撃すると、派手に炎上します。それとステージによっては熱線で焼かれ骨だけになったりもします。
 最近のやつで言うと「メタルスラッグ」みたいな感じですが、あちらと違ってこちらはとてつもなくリアルな、まだ熱い漢たちのゲームを作っていた頃のSNKですから、ちょっと心が痛みます。メタルスラッグの100倍くらいは、戦争のむなしさとか残虐さとかを感じさせられます。でもこれはゲームですし、撃たなければこっちがそれぞれのやられモーションでやられてしまいますので、「アツイゼ、アツイゼ、アツクテシヌゼェェー!」で行きましょう。ってそれはデータイースト。
 ゲーム自体は、個人的にはそれなり……というか相当歯ごたえがある仕上がりとなっており、とりあえずヌルい私では1コインクリアはちょっと難しいかな、と言った感じです。 といっても無敵になるアクションがあったりなんだりするので、やりこめば結構いけるのかもしれません。少なくともこの後に書く「ニンジャコンバット」よりははるかによくできたゲームと言えましょう。
 ただ、「よくできすぎた」部分もあります(注・ほめ言葉です)。それはヴィジュアル的な部分です。
 死に様が多様と言うのは先に申し上げたとおりですが、マシンガンで壁とかを撃つとそこに弾痕が残ったりする様は、かなり丁寧にできてるなあって感じがいたします。しかしそこはあくまでも「よくできた」部分であり、「よくできすぎた」部分と言うのは、時々挿入されるデモシーンです。
 できすぎた部分1
 実際のゲーム画面で見るとさらに怖いんじゃないかなと思います。夜中にやるとうなされそうです。初見の際は「う、うあああ……」と恐怖のうめき声をもらしてしまいました。……ちなみにこのゲームでは、英語の音声に日本語の字幕が出るのですが、向かって右側の人は声からすると女性のようです。絶句……。
 
 不思議と、アメリカ人側の方は割合かっこよく見えてしまうんですが、何でベトナムの現地人の方々は、こんな恐ろしいヴィジュアルをしているのでしょうか。なんだか変なトラウマになりそうです。というか、実際になってるような……。
 で、ゲームを進めていくと、いろいろあります。「○時の方向から敵襲! 今度は何だ!」とか「△時の方向から敵だ! しつこいぞ!」とかと言いながら時折割り込んでくる謎のメカを破壊し、順調にゲームを進めていくと、やがてこの方に遭う(あえてこっちの字を使うこととしましょうか)こととなるはずです。
 
できすぎた部分2
 ひいいっ、で、出たぁ〜!!って、もうそんな感じです。
 「NAM-1975」でプレイヤーにもっとも深刻なダメージを与える、ある意味最終ボスな、ある意味象徴的方です。私はこれまた、声を聞くまで女性だとは思いませんでした。ええ、女性なんですよ。ファミ通の注釈では「なんでこんなにリアルにしちゃったの? ってくらい」とかと書いていましたが、同感です。なんかもうギリギリです(泣)
  

 え〜、そんなこんなで、ネオジオ最初期の名作「NAM-1975」を取り上げて、いろいろ述べてきたわけですが、これはすごいですね、いろいろな意味で。
 私は80年代、90年代を生きてきた人間なので、当然ながらベトナム戦争というのはよく知りませんが、「プラトーン」とか「ハンバーガーヒル」とか、ものすごく暗くてジメジメしてて見ててつらくなってくるような映画ばっかり出てくることから、まあ戦争自体ロクなものではないのですが、その中でも特に暗い戦争だったようですね。
 で、このゲームをやっていると、普段この手のゲームをやっているとえられる爽快感が、半分くらい「戦争は(金ばかりかかって)むなしいものだ」という悲壮感になって、なんとなく感慨深いものがあります。やはり戦勝→繁栄という風にはならないのでしょうね。……って、そんなことは私の語る分野ではないので置いといて。
 これをやって戦争のむなしさをかみ締めたら、今度は「ブラッドブラザーズ」をプレイされることをお奨めします。でもってこれといった理由も見当たらないままバンバン撃ちまくって、破壊しまくって、すべてを破壊し尽くしたら陽気な音楽とともに踊りましょう(笑)。

   さて次回は、実質初めてプレイしたネオジオのゲームにして、ここまで書き終えてようやく同時発売であることに気づいたアルファ電子の名作「ニンジャコンバット」についてッ! いや、名作と言うのはちょっとJAROに訴えられるかもしれませんが、とにかく私の忍者好き・派手好きのルーツとも言える作品ですので、いろいろ語ろうと思います。う〜んっ、火炎龍!


 

 


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