私と錬金商売――『マリーのアトリエ』論




 これまでアクションとか、シューティングとか、そういったゲームについての記事ばかり書いてきたので、こういったRPGなゲームのことを書くのって、 初めてじゃないかな。

 まあ、それというのは元々あまりこういったゲームをやらないからなのですが。

 そんな犬神がそれなり以上にやりこみ、好きになってしまった本作。まあ『アトリエシリーズ』としてその後もたくさん同じコンセプトのゲームが出ていますが、 犬神はマリーことマルローネが好きなので、そして今のところこれしかやったことがないので、とりあえず書きたいと思います。


 特別な卒業試験


 主人公、すなわちプレイヤーが操作する女の子『マルローネ』は、錬金術師になることを夢見て田舎から城壁に囲まれた都市・ザールブルグにある『アカデミー』 やって来たのですが……がさつでおっちょこちょい(ファンブックより)な性格のため成績はアカデミー始まって以来の最低水準。

 講師のイングリド先生からも「このままじゃいつまで経っても卒業できない」と言われてしまったものの、何とかしてあげたいという親心で「特別な試験」を 受けさせてもらうことに。

 それは5年間の時間と店を一軒、それに若干のお金をあげ、5年間で何か「作品」を作らせ、それの出来合いによって卒業に値するかどうかを決める、 というものでした。もしそれなりのものを作ってきたら卒業を認めるが、つまらないものを持ってきた時は……。

 「……わかっているわね?」(イングリド先生)


 錬金術師への(果てしない)道のり


 基本的なゲームの流れとしては「外に出て色々な材料を仕入れる→酒場(など)で依頼を受けて物作りをする→お金をもらう」という形で進んでいきます。そうして 得たお金をもとに材料を仕入れたり、参考書を買ったり、はたまた冒険したり? して、より高度なものをつくり、『作品』を作るべく5年間を過ごす ことになります。

 作ったものは少しずつマリーの図鑑に載っていくので、すべてのアイテムを作って図鑑に載せたい! と思うのは『ポケモン』をやっていない犬神でさえ当然思った ことなのですが、これは決して容易なものではありませんでした。

 というのは、どんなものを作れるかと言うのは、基本的に本を読んで増やしていくのですが……逆にいうと、どんなにプレイヤーが作り方を知っていても マリーが知らなければ何も作ることが出来ないのですね。それで、最初のうちは『名前だけ知ってる』とか、『名前も知らないので空白ページにさえならない』 ということになるのですが……。

 ま、最初にもらったお金でとりあえず参考書を買いましょう(もちろん、最初にもらったお金だけでは、上から3冊くらいしか買えないでしょうが)。

 あとは、買って読める参考書のほかに、ストーリィが進むと入れるようになる『図書館』で本を読むことが出来ます。ある程度以上のスキルがないと魔法の力でロック されている場所だけに、ここにある本を読めばさらに高度な知識が手に入ります。

 ただし、中には特定の冒険者(など)から依頼を受けて、それで初めて見つかる本もあったり、さらにとある人がひそかな研究をしている隠し部屋を見つけないと 読めない本があったりするので、「何かあったらとりあえず図書館」を心がけましょう。

 というわけで、色々なものの作り方を調べて知識を増やすのですが……それを作るために必要なアイテムは、街の中では手に入れられないような ものばかりなのですね。

 そういった物を作るためにも街の外にある森や湖や何やといったところで材料をかき集めてこなければなりません。

 ところが街の外は無法地帯で、盗賊団が出てきたり怪物が出てきたりするので、たとえ日帰りで戻ってこられる近くの森でもひとりで出ればコテンパンに されることでしょう。

 そこで街の酒場や武器屋などをうろついている『冒険者』を金で雇い入れ、用心棒にしてしまうのですね。


 一杯の水からカゴいっぱいの鉱石まで


 冒険者は定職に着かずフラフラしているので、金次第でどんなところにもついてきてくれます(まあ、マリー自身にある程度の格がないと「わしはお嬢ちゃんに 雇われるほど、安い男じゃないんでね」などと断られる場合はありますが)。

 当然ながら強ければ強いほど、雇い賃は高くなりますが、何度も同行してもらったり依頼をこなしたりしていくと、少しは値引きしてもらえます。また、 ある程度以上の親密さになると個人的に依頼をして来ることもあります。金額的にも(たぶん仲介料がないから)オイシイ仕事ですし、友好度も上がるので、 できるだけ受けてあげたいところ。……そういった依頼をいくつもこなしているうちに、ただの雇用者/被雇用者ではない『仲間意識』が芽生えることでしょう。

 また、最初は行ける場所が非常に少ないのですが、これについては酒場のオヤジ(元冒険者)がよく知っています。あいにくと有料なのですが、 教えてもらわないと絶対に知ることがないので、積極的に聞きましょう。

 ただしこのオヤジは、別に知らなきゃ知らないままの方がいい? 情報も時々教えてくれます。「山の上にでかい竜がいるから近づくな」なんて言われると、 グラセン鉱石(マリーいわく「鉄より硬いと評判のナイスな金属」)を取りにいけなくなってしまいます。まあ、それでなくても結構強い魔物が出てくるので、 そう気軽に行ける場所ではないのですが……。


  まず冒険、とにかく冒険、また冒険


 とりあえず1年目は簡単な依頼をこなし、小金を貯めて参考書を買い、少しずつ作れるものを増やしていくので精一杯でしょう。

 本を読んだり、酒場での(有料の)うわさ話を聞いて行けるところを増やしたりして、ある程度のキャリアと資金が出来たなら、ある意味ここからが このゲームの始まりといったところでしょうか。

 本当は錬金術学校の卒業試験のためにこの時間があるわけで、決して怪物退治などのためにあるわけではないのですが……錬金術の材料を手に入れるためにも、 ある程度戦える力がないといけません。それはもちろん実戦を重ねてもいいですし、マリーの場合は何か物作りをすることでもレベルアップします。

 そうすると、最初はロクにダメージも与えられなかった魔物たちさえ一撃でやっつけることができるようになります。こうなると、さらに上のレベルの魔物…… 究極的にはその魔物たちの王と戦うことも出来ます。

 『プリンセスメーカー2』では、ある場所で『武(の)神』と戦うことが出来ましたが、それに匹敵する強さです。当然ながらヒラで勝つことは出来ません。 何かしら戦闘を有利にするイカサマアイテムを手にして挑みましょう。ちなみにこのゲームはマルチエンディングなので、そういった戦闘結果によっては特殊な エンディングとなることがあります。


  そして、究極錬金術師の日々へ


 私はこのゲームが大好きなので、少なくとも5回くらいはクリアしています。

 最初は手探り状態で特別なものは何も製作することが出来ず、「本当はギリギリだけど、まあ合格ってことにしてあげましょう」という温情判定のエンディング でした(もちろん、卒業さえ出来ないエンディングもあるのだから、ハッピーエンドに違いはないのですが)。

 2度目3度目は、当然ながらプレイヤー自身の経験値もかなりたまっているので、最初からかなりのハイペースで情報収集→材料採取→錬成というステップを踏みます。

 先ほど書いたように、マリーは何か物作りをすることでもレベルアップするので、3年目に差し掛かる頃にはかなりの実力者となっています。なので物作りは純粋な 資金稼ぎか純粋な趣味といったところであり、前者は結婚指輪としても人気があるらしい宝石『コメート』、後者は街ひとつ吹き飛ばすほどの威力もあるらしい爆弾 『フォートフラム』の作成に当てられます。

 そして工房で物作りをしているだけというのも退屈なので、冒険者のように何か戦いを求めて外に出て行きます。

 洞窟にアジトを構える盗賊団なんかは、所詮は人間なので、大したことありません。滝つぼに潜む怪物『つむじ風の親分(酒場の親父の呼称。正式名称は忘れました)』 山の上に棲む火竜『フラン・プファイル』そして某所に居を構える魔人……と、これといった利害関係がないにもかかわらず片っ端から討伐に向かいます。これでは『爆弾娘』 『火の玉マリー』『特攻隊長』というあだ名がつくのも無理はありません。

 ちなみに最高レベルになると、疲労というステータスが一切上がらなくなり、物作りはどんなに難しいものでも100%成功するという、恐ろしい状況になります。こうなると いよいよもって錬成商売、それに退屈したら趣味で量産した爆弾の威力を街の外で試す、などという、おっそろしい生活をエンジョイすることができるようになります。

 こうなると、もはやイングリド先生はおろかドルニエ校長さえ及ばない危険人物……あ、いや、錬金術師となっているでしょうから、新天地を求めて旅立つことになります。 国外追放ではありません、ええ、決して!


 と、まあ、そういった内容のゲームです。

 『ときめきメモリアル3』でもそうだったのですが、どうも私の好きなタイプのひとつに『明るいけどガサツでおっちょこちょい』という項目があるみたいで……。 成績は過去最低だけど落ち込むことなくバリバリ前向きに目の前のことに取り組むマリーが、かなりお気に入りなんですよね。なればこそ、こんなにもたくさんプレイを 繰り返したわけで。

 同じ街で、前作の登場人物も多数出てくる続編『エリーのアトリエ』もやってみたのですが、こっちの主人公のエリーはとっても真面目でおとなしい子なんですよね。 だから前作と同じように破天荒なプレイで進めていくと、何となく未来に不安を抱いているような表情になったので、いったんプレイを中断しました。私のような人間に 付き合わせてしまっては、かわいそうな気がしたのです。

 今も続編がどんどん出ている『アトリエシリーズ』。現行機では、なんだけっけかな、えーと確かトトリってのが可愛いなと思ったのですが……やはり私はマリーで いかせていただきたいと思います。いいかげんなコンビで結構、息があっていたような気がしますし。

 


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