イィースワァーット。
 私と1986年のファミコンゲーム――『影の伝説』編


 最近週刊少年ジャンプで連載されている「ボボボーボ・ボーボボ」という漫画には、古いファミコンゲームのネタが随所に出てきて、マニアたる犬神も 思わずニヤリとしてしまいます。GBA版のそれには、何と忍者服部君(違う人みたい…ハットリくんね)とチャレンジャーの一部が入っています(一応、 このゲームを作ったのはハドソンだからいいといえばいいのですが)。
 で、この漫画の中に出てきた『影の伝説』飛びという技を見た時、ふと犬神の脳裏に電光が瞬きました。
 次はこれについてのコラムを書こう、と。
 そういうわけで、今回はこれ。


江戸時代の末期、魔界の国より甦りし、魔性の者が一つの軍団を形成し、日本の世をおびやかすようになっていた。ある日のこと、城主の姫“霧姫”が軍団に攫われてしまった。そこで城主の指名を受けた数々の武芸者達が、軍団の屋敷を目指したが、誰一人として帰城した者はいなかった。 その時、ある若者が“姫”を救出すべく魔城へと走った! その若者とは・・・・・・伊賀の里の忍者“影”である。


 

 今回レヴューを書くために改めて色々調べてみたのですが、タイトー様すみません、犬神の見識はそこらへんの水たまりほどに浅かったです。調べてみると このゲーム、随分遠くが深いじゃありませんか。 
 まず霧姫殿が忍者のひとりにさらわれ、一歩遅れて着いた影。
 「くっ、何と言うことだ! 遅かったか!!」
 そんな風に口惜しがる影。しかし敵の忍者は次々に襲いかかってくる。走れ、影! 跳べ、影!
 最初は森の中を駆けていきます。登場するのは手裏剣を放り投げてくる青忍と爆弾みたいなのを投げつけてくる赤忍、そして火炎の術を使って 襲いかかってくる妖珠坊といったところでしょうか。対してこちらの武器は手裏剣(セガのあれと違い、こちらは無限です)と忍者刀です。忍者刀を 振り回すと手裏剣を防御することが出来ますが、爆弾は無理です。気をつけましょう。あと言うまでもありませんが、炎を跳ね返すことも無理です。
 また、影は忍者なのでジャンプ力がすさまじいです。Aボタンを押すと「ふわ――――ッ」と上がって下がります。助走なしでこれぐらい跳ぶには、 やはり毎日毎日麻を飛び越える訓練をしなければなりますまい。すごいぜ、影!
 森の中に現れる怪僧・妖珠坊軍団を撃退すると、今度は魔性の者たちの軍団が構える城へと潜入だ! しかし、うかつに跳びこんでいったのでは いい標的となる。というわけでまずは堀の中に潜み隙をうかがって潜入しよう。これぞまさにすいとんの術だ!! ちなみに地上に上がると危ないけど 水の中ならかなり安全なので、水の中からざくざくと隙だらけの忍者たちを水の中に引きずり込もう!
 そのようにして、堀の中を泳ぎながら進むと今度は城壁上り。赤忍たちの追撃を振り切り、自慢のジャンプでどんどん上ろう! 手裏剣を投げてきたら 刀で弾こう! また、ひとりだけ黒い忍者がいるけれど、こいつを倒すと影は最強の忍法を使うことが出来る。巻物をくわえて印を結ぶと画面中が 明滅し、その領域に踏み込んだ者たちは一瞬のうちに死に至るという恐ろしい技だ! (ただし術を使っているうちは動けない)
 そして、次のステージではいよいよ城内に潜入する。敵もオールキャストで、そこかしこから襲いかかってくる。時々襲いかかってくる火炎の術が やはり脅威ですね。お城は4階建てで、移動は階段を使って行います(普通ですね)。そして4階の柱につながれた霧姫を斬って……ん? あ、 いやいや、霧姫をつないでいる縄を斬って、脱出です。

 屋根の上に飛び出し、そこから大ジャンプ! そして地面に降り立ち逃げようとするのですが、無情にも霧姫は敵の忍者の手に再び落ちてしまう のだった!
 「助けて!影!!」
 「霧姫殿! 霧姫殿――――!」
 霧姫の悲鳴と影の声が空しく木霊する……再び姫を取り戻すべく走る影の前に、真っ白い僧衣をまとった謎の僧が現れた。
 「拙僧は双幻坊……そなたの命、貰い受ける。迷わず冥土へ行くがよい!」
 ここが第一章『青葉の章』のクライマックスです。いうなればボスなわけですが、こいつはいくら攻撃しても倒すことが出来ません。なぜならば、 こいつの心臓は宇宙の彼方にあるので、そこまで行って巨大な銀の矢で破壊しなければならないからで……はなくて、上空を舞う蝶を倒さないと ならないからです。じゃあ何で蝶を倒さなきゃだめなんだよ、というと、そうですね……恐らく双幻坊自体がいわゆる『くぐつ』で、魂は入ってないの ですよ。で、蝶がエネルギー源でありコントロール装置であると考えられます。 そんなところでどうでしょうか。

 で、まあ激闘の末打ち破ると青葉の章は終わり、次は紅葉の章となります。更にそのあとは雪の章となります。それぞれ背景が秋、冬と切り替わる のが美しいですね。ただそれぞれの章ごとにボスは変わってきます。紅葉の章のボスは美青年剣士・霧雪之介、そして雪の章のボスは、、恐らくこの一連の軍団のボスである雪草妖四郎なる者が現れます。 かくのごとく繰り返されるいたちごっこ ……果たして影、そして霧姫に安息の日は訪れるのであろうか???

 では、ここらでひとつ、隠しフィーチャーについて。
 このゲームには時々、画面の上のほうにちょこちょことUPLの忍者君みたいなのが出てきます。それぞれ術丸・点丸・増丸という名前がついています。 術丸と合体すると伊賀流奥義・八双手裏剣が使用可能になり、増丸を取るとひとり増えます。点丸は、文字通り、ボーナス点です。それぞれの出現 条件は一定区間内で赤忍を3人倒すことと、水中で青忍を7人倒すことです。


 では、最後に少々、雑談を。
 そもそも私がこのゲームを完全攻略したわけではないので、まだ何も言えないのですが、雪草妖四郎なる、バテレンの妖術に長けていそうな者を 倒すと、ちょっとしたヴィジュアルが挿入されるそうです。どんなのなのでしょうか。ちょっと気になります。
 また1986年当時、まだ年端も行かぬ童子であった犬神ではありますが、当時はファミコンしかなく、また今にいたるまでRPGやアドベンチャーといった 類のゲームは得意でなかったため、アクションゲームやらシューティングゲームやら、そういったものをバリバリやっておりました。これもそのひとつでは ありました。
 また、先ほどすごいジャンプ力と書きましたが、このジャンプ力が仇となる場合もしばしばあるもので、地面に降り立つまではほとんど(というか一切)操作 不能であるため、ジャンプしている時に炎や爆弾を投げつけられるともはやどうしようもないという点もありました。当時はその融通の効かなさに憤慨 したものですが、 考えてみれば空中で方向を変えたり、ましてや空中から急速に斜め下方向に跳ぶなんてあり得ないことですからね。
 ただ、そうはいってもこの「ふわ――――ッ」としたジャンプは大変に気持ちよく、犬神は命をかけさせて影にやらせておりました。それでやられた 日などは、画面の中から怨嗟の声が聞こえてきそうです。


 というわけで、『影の伝説』というのはこんなゲームです。聞けば元はアーケード版だったというではありませんか。果たしてそちらはどのようなもので あったのか。機会があればお目見えしてみたいものであります(無理かな?)。     

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