私と爆弾(を載せた車)――「ホットチェイス」論
Plus Alpha

 

ホットチェイス広告

   以前、『ホットチェイス』についてのことを書いたところ、それがご縁でお知り合いになれた方もいて、「書いた甲斐があったな」と思ったものですが、その一方でなかなかどうしてクリアできず、いつも切ない思いをしておりました。
 しかしながらこのほど、おびただしいコインの成果がついに実りました。やっと、やっと、やっと攻略することができたのでした!! うれしいっ!
 ……といったわけでこれまでのテキストにプラスアルファする形で、触れられなかった部分についても触れつつ、新「ホットチェイス論」を展開したいと思います。


ストーリーと市街地(エリア1)について

  ある軍事国家で恐るべき車が開発された、という情報が某A国諜報部のもとに入ってきた。その車は強力なエンジンと防弾ガラス、F.R.P製のボディを備え、ものの数秒で時速300キロまで達するというスーパーカーであったが、真に恐ろしいのはそれに搭載された核爆弾であった。
 それはごく小型のものであったが、それでも万が一爆発すれば大変な惨事となることは火を見るよりも明らかであった。そしてこの脅威を取り除くべく、某A国最高指導者は極秘裏にあるひとりの男に命令を下した。軍事国家に潜入してこの車を盗み出し、国境を越えたところで破壊せよと――。

 ……今ひとつしっくりこないストーリーではありますが、とりあえず私はそう考えました。相手は一個人というよりは一国の軍隊でしょうから、そのようにしました。おそらくその軍事国家はこれを使って何かしらの取引をしようとしたのでしょうが、ここは妄想小説のコーナーではなく「ホットチェイス」レビューのコーナーなので、とっとと次に行きましょうか。
 熾烈を極める敵の攻撃。過激に変化する難コース。……とは上記のパンフレットのコピーですが、どれくらい攻撃が熾烈かっていうとハリウッド映画並に非現実的というか、ハチャメチャというか、そんな感じです。具体的に言うと、まずオープニングで、湖岸にある格納施設(たぶん)が
大爆発
します。
 そこから間一髪のところで脱出し、検問を突破して自由へと走りまくるわけですが、巨大な某A国との駆け引きの切り札であるその車を敵に渡すものかとばかりに、その軍事国家の最高指導者は自国の軍隊を総動員してこれを捕獲……というか破壊しようとしてきます。
   まずいきなり武装ヘリがこちらに向けて機銃掃射して来ます。また道路の端っこのほうにいる兵士たちはマシンガンをバリバリ撃ってくるし、ステージが進むと手榴弾をも放り投げてきます。手榴弾は一発食らうと爆発しながらスピンしてしまいますし、銃弾を食らうとガラスに穴があき(『リーサルエンフォーサーズ』みたいな感じです)、真横にいきなり滑り出します。
 そして大抵の場合、路傍にある看板だの街頭だのにぶつかって派手に吹っ飛び、ひっくり返ります(ちなみにこの吹っ飛び具合、時速80キロだろうと300キロだろうと同じように吹っ飛びます)。何とか持ち直せることもないわけではないのですが、こうなったら「どうやって立ち直るか」というよりも「どうやって真ん中あたりに近づくか」ということを考えたほうがいいかもしれません。このゲーム、ひっくり返ったときに端っこのほうにいると、真ん中に戻されるまで身動きできないので大変なタイムロスとなります。
 逆に言うと、限りなく真ん中に近ければすぐに再スタートできるので、(事故を起こさないのが最上であることは言うまでもありませんが)なんとか、そのように心がけたほうがいいかもしれません。
 ところでこの軍事国家では、何のつもりなのか、民間人(あるいはそれに扮した秘密工作員)までもが邪魔をしてきます。路面電車が正面から突っ込んでくるとか、踏み切りで機関車が道をさえぎる(それを、キャリアカーの荷台を使ってジャンプするあたりは映画さながらです)、というのはいたし方ありませんが、なんで荷台のドラム缶がゴロゴロ転がってくるのでしょうか。ちなみにドラム缶の中には(おそらく)可燃物が満載されているため、ぶつかると炎上します。
  ただ、この国の民間人の車というのも結構、災難な目にあっているのかもしれません。ヘリや兵士の銃撃を受けて爆発したり、路面電車に突っ込んだり、路傍のガソリンスタンドに突っ込んだり(なぜ!?)、かってに接触事故を起こしたり、なんだか関係のないところで事故が多発しています。さぞかしこの国の警察官はどれほどいても人手不足なのだろうと思いました。

森林地帯編(エリア2)と海岸その他編(エリア3)について

 さてそんなこんなで検問を突破すると、どういう仕組みなのか現在調査中ですが(こう思う、というのがあったらお寄せください)、時限装置が延長されます。しかしながら妨害はさらに過激に変化します。1メートル以上もあるような岩とかがごろごろと道路に転がっていたりしますし、時としてカーブが斜め45度ぐらいにバンクしていたり、どこをどう行けばいいのかさっぱりわからない森の中を走ったりします(道がないけれども、うかつなところを走るとまたぶっ飛んでしまう)。
  おそらく岩と木の間隙を縫うようにして走ればよいのですが、1箇所、それが通じない場所があります。左矢印の看板がたくさんあるカーブなのですが、ここではその看板と木や岩の間を潜り抜けるようにして走るとうまくいくようです。お試しください。
でもって道路の真ん中にサボテンが生えていたり(!)道路の両脇の、ギリシャの神殿の支柱みたいなのがいきなり崩れて襲い掛かってくるのを飛び越えたりしながら潜り抜けて、その先にある検問を突破すると、今度は海にかかった道路を走ります。ここではヘリの攻撃もさることながら、一般車両に接触しても脇に飛び出して落っこちます。ここで下手に吹っ飛ぶと車が海に沈み切ってから真ん中に引き戻されるため、大変なタイムロスとなります。こうなると最後まで走りきることは非常に困難となるため、吹っ飛んだらとりあえず道路の中央にいけるよう、そちらの方向にハンドルを切っておいたほうがいいかもしれません。

  ここでは取り立てて激しい敵の攻撃といったものは(相変わらず兵士だの武装ヘリだのは襲って来ますが)ないのですが、それよりもいやらしいのが自然の妨害です。なんだか『アフターバーナーII』のような、『サンダーブレード』のような、道路のそっちこっちに柱が立っているような洞窟を走ったりもするのですが、ここはいちいち天井が落ちてくるので、それをなんとかかわしながら走らなければなりません。ここであんまり失敗しすぎるとタイムオーバーになってしまうので気をつけましょう。

豪雪地帯編(エリア4)について

 そしてトンネルを抜けるとそこは雪国だった、とでも言いたいのでしょうか。いきなり冬景色の場面にやってきます。ここが最終エリアとなります。おそらく時限爆弾のリミットも大幅に延長されたことでしょう。最後のもうひとがんばりです。
 しかしながらこの地帯は、敵の精鋭部隊が大挙して襲い掛かってきます。特にもこのエリアでの武装ヘリの数はこれまでに最大であり、横一列に並んで道路中を機銃掃射してきたりします。いったいどうやってかわせばいいんでしょうか。それでなくても非常に避けづらいようなところに機銃を乱射してきます。
  また地上部隊も容赦なく襲い掛かってきます。時速300キロで爆走しているこちらの前に立ちはだかって、スノーモビルがこっちに向けてバリバリとマシンガンを撃ってきます。いったい時速何キロ出ているんでしょうか。しかも体当たりすればこっちが負けます。ちょっとすごいです……。
  ただし、路傍の岩にぶつかってぶっ飛ばされたりしますので、彼らがぶっ飛ばされるまで何とかやり過ごすようにすればOKです。
  でもってさらに道路上には積雪で作ったバリケードだのなんだのといったものがあっちこっちにあって、いったいどこをどう行けばいいんじゃ、と言いたくなってきます。それだけ軍事国家の指導者も躍起になっているということでしょうか。しかしながらこちらもベース車(ポルシェ959)同様、高性能な4WDシステムを搭載しているため、雪道だろうと何だろうと普通の道路と同じように走行することができますので、うまくかわしながら進んでください。
  さてしばらく走ると、両側に針葉樹があるような場面から片側に氷の壁が立ちはだかるような場所に差し掛かります。ここにくると急に妨害の勢いが弱まります。
 おや? あとはどうにか走りきればいいのかな?――などと油断しないでください。この氷の壁地帯を走りきり、急にひらけた氷原に出ると、おそらくこの逃走劇最大の恐怖が待ち構えているのですから。
  一連の陸軍部隊だけでは追いつかないことに業を煮やした最高指導者はついに最新鋭爆撃機を発進させました。ちょうど主人公が氷原地帯に出たころに追いついた同機は低速・低空飛行をしながらありったけの爆弾をそっちこっちに落とし始めました。当然ながら爆弾に当たると炎上します。これまた激しくタイムロスなのでなんとしても当たらないように気をつけてください。犬神は最後の検問を目の前にして間に合わず、何度も涙を飲みました。最後の戦いです――全身全霊を傾けて走り抜けてください。

そしてFreedamへ……

 そして最後の検問を走り抜け、中立地帯に入ったところで車を止めた主人公は、手にするUZI短機関銃(あるいはイングラム)で今まで乗り続けてきたマシンを銃撃し、爆破しました。こうしたときに一緒に核爆弾も爆発しちゃうんじゃねえのか、っていう気もしますが、私の予想ではその核爆弾は通常の爆発では壊れないような強固な装甲に覆われているため大丈夫なのだと思います。
 そして男に与えられた困難な任務は無事に完了し、再び世界の平和は取り戻されたのでした……と、最後の字幕の部分が早くて全部読めなかったので想像に負う部分が多いのですが、まあそんな感じです。スタッフロールはありませんでした。でも今度はちゃんと生き延びることができたのでよかったです。



 これがおおよその『ホットチェイス』の流れです。たぶんレースゲーム史上もっとも緊迫感あるシロモノであるということは疑いありません。また、同時にもっとも不可思議なゲームといえるかもしれません。そんな不可思議な部分をどうにかしたくて、今回はちょっとしたストーリー、のようなものをも書いてしまいました。完全に妄想です、ハイ。
 ともあれノーミスとか、そんなのではありませんが、なんとかクリアできたので、そのうれしさの勢いで書き付けてしまいました。そのためいくぶん読みづらいところもあろうかと思いますが、ご了承ください。要するにそれくらい好きなんです。というわけでこの辺で、この趣味だけのレビューを締めくくりたいと思います。
    ……おっと、その前に……。このゲームでは、緊迫する局面にふさわしく非常にチャッチャカしたBGMが流れます。これが秀逸で、ぜひともCDがほしいなと思っているしだいであります。そのあたりのBGMについてのお話は、相互リンクをさせていただいているU-CHANGさんのCOSMIC POPSに詳しいので、そちらもご覧ください。



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