私とファイト・フォー・ジャスティス
――『U.S.NAVY』論




 今でこそ何だかんだゴチャゴチャ考えるようになってしまった犬神ですが、かつてはアメリカ大好き野郎でした。

 もっと言えば米軍大好き野郎といいましょうか、米軍の戦闘機大好きっ子でした。
 
 たぶんそれは、私が就学前からリビングで見せられ続けたアメリカ映画の影響でしょう。親父はそういったものがとにかく大好きで、日曜日の朝というとそんな感じのビデオばかり見ていたのです。だからこれは、ある意味、3世代に及ぶ米軍の占領政策の影響、濃縮還元、いやちょっと違うな、まあそんな感じでとにかく米軍=カッコイイ! という図式が成立していたのであります。
 
 
 そんな大好きな米軍の実在の兵器を操縦し、大好きなアメリカ軍人たちに成り代わって悪の軍団を叩き潰す。これほど素敵なコンセプトもないでしょう。そんなゲームが発売されるのを見たのは、『ファミコン通信』の一コーナー「ビデヲゲーム通信」でありました。
 
 以下に掲げるストーリィ紹介のうち、画像の横に付け加えた言葉は、当時の記事を出来るだけ(原本がないので記憶を頼りに)再現したものです。
 
 


 「やあ、ボクがX国の最新兵器だよ。これからJ国の首都に爆弾を落としに行くのさ」




   


 「ほうら、これくらい爆弾を落とせばJ国はこっぱみじんのバラバラになっちゃうのさ」







 「よし、爆発。やったね首相、明日はホームランだ」




 ……というわけで、極東のJ国は壊滅、X国に占領されてしまったのでしたとさ。
 
 ……この事態にあたり、米国のエージェントが極秘裏に調査したところ、それらの背後には死の商人『ラブー』の存在があることがわかったので、大統領号令のもと米海軍の選抜エースパイロット軍団が召集を受けた。そしてとりあえずJ国との安全保障条約に基づいて、ヨコスカ沖30キロにに停泊していた原子力空母カールビンソンから、次々と飛び立っていったのでした!

 てなわけで、3機ある機体の中から好きなものを選んで出撃することとなりますが、当然ながらそれを操るパイロットたちもいるわけで、以下にその両方を私なりに説明したものを掲載します。


 「F−14トムキャット(空中攻撃タイプ)」

 Wikipediaによれば、他の機体より少し移動速度が速いそうですが、実感としてはあまりありません。道中は攻撃範囲の少し広いホーネットの方が便利だし、ボス戦なら攻撃力の高いイントルーダーの方が強いしと、合間に挟まれてちょっと肩身の狭い艦上戦闘機。ドラ猫ちゃんをこよなく愛する方、西部警察のアノ人ばりの角刈り野郎リック・フォードにほれ込んだ方などにオススメ。


 パイロットは「リック・フォード(ニューヨーク出身)」。アメリカ海軍戦闘機兵器学校……要するにトップガンを首席で卒業したという経歴を持ち、空中戦に関しては海軍ナンバーワンの腕前を誇る。モデルになった映画の主人公と違って固い性格で、あまり口数は多くないが仲間たちや上官からの信頼は厚い。別居中の妻がいる。




 「F−18 ホーネット(空中・地上攻撃タイプ)」
 
 特にどれかの機体に愛着がなければ、これを選んでおけば間違いないと思います。何となく緑の装備の時にちょっと強い気がします。このゲームを進めるにあたって、とりあえず最初から最後まで緑で行けば間違いないので、一番有利なのかもしれません。あとは、気持ち攻撃力が広いのでいい感じです。
 

   パイロットは「ジェームズ・ロイ(ルイジアナ出身)」。米海軍アクロバットチーム「ブルーエンジェルス」のメンバーで、3人の中では一番若い。そのせいではないが明朗な性格で、固いリックと大雑把なマークの間にあって雰囲気を和らげるクッションとなっている(本人にはあまりそういう自覚はないが)。




 「A−6イントルーダー(地上攻撃タイプ)」

 一切、機体それ自体に思い入れがなかったので、当時は一度も使ったことがないのですが、実は攻撃力が少しだけ高いそうです。言われてみればボス戦とかで、割と早く破壊できたような気がします。何より2009年に再びプレイして最初にクリアできたのがこれでした。すみません。そういうわけで、ボス戦でなかなか勝ち進めない方はこの機体をどうぞ。




 パイロットは「マーク・オールソン(ミシガン出身)」。元々は海兵隊の戦闘攻撃飛行隊で隊長を務めていた。そういうことからか髭もろくに剃らないし何事につけ大雑把で荒っぽいので、リックとは「ソリが合わない」と感じている。しかし一緒に戦っているうちに……。



 言うまでもなくパイロットの詳細な性格などは私の思い付きですから、間違ってもwikipediaなどに書いたりしないでください。
 
 まあ、そんな感じで、アフターバーナー全開で空を飛び、全10ステージを突破しましょう、というのが本作の概要です。
 
 
 本作はエネルギー制を採用しており、1発ダメージを受けて即アウトというわけではありませんが、エネルギーがなくなると爆発、ゲームオーバーとなってしまいます。アフターバーナーいつも全開だからだよ!……というのは、たった今思いついたこと。まあ、ところによってはボス戦の途中でも燃料回復アイテムが出てくるので、あんまり燃料切れの心配はありません。
 
 また、ショットについては3種類ありますが、『雷電』などと違って、別な色を取ってもレベルアップするのでドンドン取りましょう……と言いたいところですが、基本的に緑だけを取っていれば間違いありません。連射装置を使っていればなおのことそうでしょう。特に赤は弾切れしやすいので、ヘンなところで取ると一気に窮地に陥ってしまいます。
 
 また、正式な軍人である3人ならば武器・弾薬は使い放題のはずなのですが、ショーン・コネリー似の艦長の意向なのか、スペシャルウエポン・増加燃料タンク・バリアについては有料となります。まあスペシャルウエポンは、無ければ無いでどうにかならなるのですが、増加燃料タンクは長丁場となりやすい中盤以降では必須アイテムとなります。
 
 「ダメージを受けないようにすれば大丈夫さ」とは言っても、ただ飛んでいるだけでも少しずつ燃料は消費しますし、よほどのハイスコア狙いとか、苦行プレイとかでなければ、ステージ4あたりから毎回大きい方を購入してもいいと思います。それでも最終ステージで、武器・タンク・バリアを全部買っても10万ドルくらい余りますしね。
 
 
 詳細なステージ攻略については、既にされている方がいらっしゃるので、私のところでは省きますが、全体を通して言えることを少しだけ。
 
 このゲームでは結構大型の敵が、高速の弾をボカボカ撃ちまくるようなシーンがよくあるのですが、敵の砲塔の稼動角度は意外と大きいのが特徴です。つまり、「敵に水平に弾を撃たせて、それをギリギリのところでかわして反対に撃ちまくる」という戦術が比較的取りやすいのですね。慣れないとムチャクチャ強いと評判の2面ボスも、砲塔の少し上のラインに自機を置き、ミサイルは前後に動いてかわすようにすれば、燃料を半分くらい残した状態でクリアできますしね。
 
 全体を通して言えることは、理不尽なところは何も無いというところですね。……まあ、当たり前のように画面の後ろから敵がそこそこのスピードで突っ込んできて、避けきれずにぶつかるようなこともしばしばあるのですが、回復アイテムもたくさん出てきますし、申し上げたように中型以上の敵の攻撃を丁寧にかわしていけば、そこそこ満足できる結果が得られることと思います。
 
 アドリブと反射神経で勝負するというよりは、丁寧にエラーを減らして進めていく。それでいて『R−TYPE』ほどイジワルじゃなくて、爽快感の方に若干シフトしているのがいかにもカプコンらしい良作なのであります。タイトルがまずいのか、家庭用には移植されていませんが、ほぼ同じシステムの『エリア88』がスーパーファミコンで出ているので、雰囲気は味わえるのかな。
 
 

 


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