私とよみがえる妖精
――新『シルフィア』論




 こんな感じで自分のホームページを持って、自分で意見をいろいろと書いている犬神ではありますが、かつては結構、人に言われて自分の思想をコロコロ変えてしまう ようなところがありました。『維新の嵐』ならゲームオーバーものです。

 ただ、最近は(いや、ずっとそうだったんですが)『辛口』とか『毒舌』とかってのは「なんか、少し違う」ような気がしていたんですね。悪いところばかりあげて、 それを批判するのは簡単だけど、そういうのは誰でも書けるんじゃないの、と。

 ――むしろ、そこから一歩進んで、何とか『面白い』と感じられるようにする方法はないものかと思って、巷間では散々こき下ろされているようなゲームも取り上げて 一生懸命アレコレ擁護してきたつもりです。

 好きなものは好きなんです。


 ということで、3度目になる『シルフィア』の話です。


 第1章 グリーク・ファンタジィの世界

 1993年にトンキンハウスから、PCエンジン・スーパーCDROMにて発売された縦スクロールシューティングゲームである本作は、古代ギリシャっぽい ところで、恨みを残したまま死んでいった冥界に漂う怨霊たちが、冥界の王ハデスを取り込み、魔物たちを率いて地上を襲うところから物語は始まります。

 『フェリオス』と違って、不意を突かれた神々は惨敗、とりあえず自分たちの世界に結界を張って、傷を癒すのが精一杯だったので、地上界はいつ果てるとも知れない 殺戮の惨劇に見舞われることとなったのでした。

 


恐怖と絶望に襲われる人々。しかしそんな人々を守るべく、ひとりの少女が剣を携えて立ち上がりました。

 彼女はそこそこ強くて、魔物を次々と斬り捨てていったのですが、それでも多勢に無勢。やがて剣も折られ、傷つき、ついには神々を祭る神殿で力尽きてしまったのでした。

 ……しかしながら、その様子を見ていた天界の神々は、彼女に四大元素――土・水・火・風――のエレメントを与えます。

 そして彼女は妖精『シルフィア』として甦り、冥王ハデスを討つべく空へと舞ったのでした。





 ……どことなく『源平討魔伝』にも似た感じですが、この記事を初めて『ファミコン通信』で読んだ時、私はひどく衝撃を受けました。 景清は初めから人間以外の何者かのようなのでそれほどでもありませんでしたが、可愛い女の子がいきなり死んじゃって、そこからゲームが始まるなんて。

 当時は小学6年生でしたが、それからず〜っと気になって気になって気になりまくって、それから10年近く経って、ネット通販で買おうと思ったら1万ウン千円で、 当時学生だった犬神はそんな大金そうそう用意できないもんだから何日枕を涙で濡らしたことか……って、アレ? 何の話でしたっけ。

 そうそう。ゲームの話でしたよね。まあそんな感じで、全8ステージを適宜、武器を使い分けながら進んでいくことになります。なお武装は『メイン』と『サブ』に分かれ、 同じ種類のアイテムを取り続けるとサブウエポンが、小さいチップをいくつか集めるとメインウエポンが強化される、いわゆる『電忍アレスタ』方式です(『コンパイル』方式とも)。

 第2章 エレメントマスター入門

 炎のエレメント……メインは正面にボンボンと大きな火球を撃ち出し、サブはいくつかの誘導弾を発射するもので、パワーアップするとその火球の大きさと誘導弾のスピードが アップします。

 これだけ聞くと非常にオーソドックスな感じがしますが、見た目の割にあんまり威力がなく、硬い敵が多いところでは結構押され気味になるので ……と、意外と使えない武器。ゲーム開始直後はこの装備なので、とりあえずサブウエポンを強化するためにどうぞ。あとは四方八方からザコが出てくる場面では、使えるかも?


 水のエレメント……メインもサブもほぼ同じ、小さい氷の粒(みたいなの)をものすごい勢いで連射するものです。ただサブの方は入力した方向キーと反対側に撃ち出すことが 出来る、これまた毎度おなじみオールレンジキャノンです。

 連射パッドを利用すると集中的に撃ち込むことが出来るのはいいので、ボス戦ではそこそこ重宝します。その代わり攻撃範囲がちょっと狭いので、通常の道中で使うと少し大変かも。 ただ復活時とかには、初期段階でもそこそこ強い(ような気がする)ので、そういう意味では使えるかもしれません。


 土のエレメント……メインは自機の少し前にボロボロッと石の塊を『放り投げる』イメージ。というのは画面の端っこまでは届かず、いわば『グラディウス』の火山弾を 自分が撃ち続けるような、不思議なシロモノです。サブは石が自機の回りをグルグル回って防御してくれます。

 これは……犬神はほとんど使ったことがないので、よくわかりません。画面の端っこまで届かない武器というのが、まず好きではないので。だから接近して撃ち込めばボスを 速攻で倒せるとか、そういうのがあるかもしれませんが、いまだもってよくわかりません。唯一、塔を登るステージの中ボス相手の時は、必然的に肉薄攻撃になるので そこそこ使えましたが。


 風のエレメント……メインは自機の前後に連続的に発射するウエーブ弾。パワーアップすると本数、攻撃範囲が少しずつ広がっていきます。そしてサブウエポンは楕円形に グルグルと弾が回りながらゆっくりと前に進んでいくというものです。

 最後になりましたが、これが一番使える武器だと思います。確かにある程度パワーアップしないとちょっと……とか、パワーアップしても攻撃力自体が低くて……というのは ありますが、サブウエポンが「地形も何もかも無視して攻撃できる」というのが最大の強み。最初から最後までこれだけでもいいと言ってしまっていいかもしれませんが、これだけ使っていると メリハリがなくて以前の私のように退屈してしまうかもしれません。


 これらの武器のほかに、いくつかアイテムを集め続けると『ライトニングボルト』という超必殺技(というかボム)を使うことが出来ます。いわゆる『忍者ビーム』です。 例によって威力は低めですが、発動中は完全無敵状態になるので緊急回避には十分に役に立ちます。

 ボス中だろうとなんだろうと出てくるパワーアップアイテムやら、小さなチップをいくつか集めてパワーアップやら、そんな感じで。あとは結構長めのゲーム内容も そうですし、BGMもそんな感じ。……BGMに関して付け加えると、『電忍アレスタ』みたいな、ハウス系って言うんですか? あんな感じの、大変ノリのいい音楽で。ただ ゲーム中は完全にSEに負けてしまっているのが残念です。

 第3章 努力系シューティング

 今回、たまたま手にとってプレイしてみたところ、妙に面白いなと思ったのは、やはり『武器の使い分け』をすることで、要所要所で「これはこっちの武器の方がいいな」とかと、 アレコレ考えられること。

 以前の私はギリシャ神話かぶれだったこともあって、「シルフィアなんだから風以外ありえないだろ」などという妙なこだわりを持っていました。それに加えて、最初から 否定的なイメージでプレイを進めていくのだから、ある意味ダメなことを主張するためにゲームをプレイしているようなもの。

 それこそ時間の無駄だし、楽しくない。せっかく作ってくれて、さらにお金を出して買ったんだから、何とかして楽しまなくちゃ。

 そう思って、自分なりに味付けを変えてプレイしてみたところ、すごく面白くなってきたのですね。

 ここは画面の横とか後ろから敵が出てくるから、炎のエレメントで全方向対応だな、とか。ここのボスは硬いから、水のエレメントで集中攻撃したら割と早く倒せた、 とか。

 他のゲームみたいに「この武器じゃなくちゃ絶対に無理」みたいな場所は(確か)ないのですが、それだけに2度、3度と繰り返しプレイして、自分なりの攻略パターンを 見つける楽しみ。そういう自由度みたいなのが、あるような気がします。

 ちょっとゲームの話から外れます。――もう9年ほど前になりますが、私が大学1年生の頃、司書(図書館の受付の人)になりたくて、資格をとるための勉強をしていた ことがありました。その時、そのことを教えてくださった教授の人が言ってくれたことを、私は今でもよく覚えています。

 「本とか何とかがつまらないと思うのは、その人自身がつまらないから。面白いと感じるセンスを持ち合わせていないから」

 ……まあ、これが極端になると「わかる人にはわかるのさ、サバダ〜ダ〜ダバダ〜」などと言いながらネスカフェゴールドブレンドを飲みつつ難解な映画とかにもっと 難解な理屈をつける鼻持ちならない人になるので、そこまでは行きませんが、けだし名言であると思いました。

 私自身はあまりそういうセンスがあるとは思えませんが、100万人が「つまらない」「ゴミクズ同然」……私はすごく嫌いな言葉ですが、わかりやすい言葉で言うと 「クソゲー」……といって燃えないゴミの日に出してしまうようなゲームだとしても、そういうのを認めて、好きになることは悪くない。そういうことなのかな、と 今は思います。

 だから私は断固として、このゲームを支持します。前はちょっと逃げつつ支持していましたが、今度は真正面から支持します。もちろんシューティングゲームとして!  ですよ。

 そして私が2回目のレビューを書くきっかけとなった、本作に対して決定的な批判をする某サイトに対しては、ごまかしようのない嫌悪感を覚えます。……たぶん言っていることは 正しいんでしょうけど、あえて断言します。私はこのゲームがとても大好きなんです。

 というわけでぜひお試しください……といいたいのですが、今ちょっと検索してみたところ、目ん玉飛び出すストロングスタイル、ってそれは長州力、じゃなくて 目ん玉飛び出しそうになるくらいぶっ飛んだ値段ですね。特にAMAZON! 58000円(2009年7月25日現在)って誰が買うんだよ! もはやゲームソフトの値段ではありません。

 それは極端な値段だとしても、1万ウン千円というのが相場っぽいし、これは大して思い入れのない人が「どれ、ちょっと試してみるか」といって手を出すわけにも行きませんし…… じゃあ、えーと、その……バーチャルコンソールで移植されたらお試しください。それしかないでしょう(苦笑)。

 


他のPCエンジンのゲームについて見る 

それよりもっと戻る 

inserted by FC2 system