シリーズ 『忘れ物を取りに行こう』
――『シャイニングフォースII 古えの封印』編




 
 you are (not) alone

 
 いつもであれば「私と○○」というタイトルで文章を書くのですが、今日は少し私情が多く入り込むような気がするので(私情のないゲームはそもそも文章を 書きませんが)こっちのタイトルを使わせていただきました。

 1992年にセガ・メガドライブで発売された本作は、えーと、なんていうんですか、「タクティカルRPG」って言うんですか。大まかな流れはRPGだけれども、 魔物たちとの戦闘シーンは大戦略のようなシミュレーション方式で進めていくというシロモノです。

 最初、主人公はわずかな仲間たちとともに出兵するのですが、旅を続けていくうちに多くの人々がそれぞれの理由で参戦し、最終的にはかなりの大所帯になります。 そのため戦闘に参加させる仲間を誰にするか、色々と頭を悩ませながら進めて行くことになるのですが、この過程がまた楽しいのですね。

 ひたすらゲーム内の性能で選ぶのか。キャラクタの思い入れで選ぶのか。はたまた顔で選ぶのか(そんな人はいません……多分)。

それによってゲームの進め方、難易度も変わってくるのですが、万が一力尽きたキャラクタはいったん戦闘を離脱すれば有料で復活させることが出来ますし、 時間を掛けてじっくりキャラクタを育て上げれば、誰でも最強になれるというシステムが特徴的だと思います (他社の似たようなのは、一度死んだら二度と生き返らないというのがウリみたいでしたが)。

 で、キャラクタが強くなればある程度のムチャもごまかせるので、私のようなボンクラでもちゃんとゲームを進めることが出来ました。上手に立ち回れなくても、 何度も戦闘→退却を繰り返してキャラクタを育てた上でのパワープレイが通用するのでね。そこがRPGたる由縁なのでしょうね。


 陸を歩き、海を渡り、空を飛ぶ……のか?


 RPGって、どこまで物語の内容に突っ込んでいいのかわからないので手探り状態で書きます(もちろん終盤のストーリィには触れないよう気をつけます)。

 物語は自称・義賊の『ジッポ(種族:スケイブン)』が光と悪魔のジュエルを遺跡から盗み出したことから始まります。その時点から起こる様々な異変、そして 封印された古えの悪魔たちの復活……。

 やがて異変は主人公たちの祖国であるグランシールを完全に崩壊させ、王様以下生き残った市民たちは新天地を求めて海を渡ります。そしてたどり着いた 「パルメキア大陸」に拠点を設け、多くの異種族との交流を経て成長していく……という感じです。

 ゲームを進めていてわかったのですが、本作は前作(『神々の遺産』)と共通の世界らしく、ある街に行くとそのことをほのめかす人がいます。もっとも、時代は 当時のことが遠い昔の伝説として語られるくらい時代が下っているのですが、それでも『古代人=(超)科学文明』という設定は変わりません。

 多くのファンタジー物語で用いられるこの設定って、大好きなんですよね。『魔界大冒険』におけるドラえもんみたいなもので、基本理念が違うから剣と魔法の世界の 人たちには、何がなんだか理解できないんですよね(逆もまたしかり、なのでしょうが)。

 だから、レーザー砲とかバズーカ砲みたいなものとか、そういうのがさりげな〜く混ぜ込まれているのも、私が本作を好む理由のひとつなのです。


 腰を据えていくのか、一気に押し込むのか


 戦闘についてもう少し書きます。

 基本戦略としては、全体で固まって移動し、飛び出してきた敵を囲んで袋叩きにするというやり方になります。これは終盤まで変わりありません。

 反対に、いくら体力があるとはいえ、飛び出すと敵の集中攻撃を受けてあえない最期を遂げてしまいます(今回のプレイでは、ある事件によりそうなりません でしたが。後述)。

 そうなると威力を発揮するのは、間接攻撃専門ユニット(弓兵、または砲兵)。防御力の高い戦士系のキャラが直接攻撃で足止めをしたら、遠くからチクチク攻撃して 相手の体力を削り、レベルを上げたいキャラにとどめをささせる(倒した時にたくさん経験値がもらえるので)。こんな感じで先に進めていきます。

 反対に玄人筋から評価が低いのが、魔法使い系のユニット。複数の敵相手に同時攻撃を仕掛けることが出来る(最大13体!)、相手の防御力に関係なくダメージを 与えられる、などのメリットはあるのですが、中盤以降だんだん相手の体力が多くなっていくと分が悪くなってきます。

 何せ直接叩くなら鍛錬次第でいくらでも攻撃力がアップする打撃系の人の方がいいし、間接攻撃なら先に述べたような弓兵がいるし……と、 ちょっと使い勝手が悪くなってしまうのです。そのため最終的には「打撃系、間接攻撃系、回復系」の3本柱で進めて行くことにしてしまったのでした。

 ただ、個人的に魔法は嫌いではありません。やっぱり魔法はファンタジー物の『華』ですからね。複数の敵をまとめて激しい炎で焼き尽くしたり、 吹雪で凍りつかせたり、電撃で感電黒コゲ(c バステト女神)にさせたり……。

 あと、特殊なところでは『ソーサラー』という職業もあるのですが、これが私にとっては古代文明と同じくらい魅力的に映ってしまいます。ギュワーンと精霊や神々を 呼び出して圧倒的なパワーで相手を壊滅させるのですが、特にアポロン神が……動きが完全に『オラオラ』とか『無駄無駄』とか、あんな感じなんですよね。なので、 当時は最後の最後までソーサラーを連れて行った思い出があります。


 『2もの』の宿命?


 といった感じでゲームを進めていくのですが、ストーリィについては前作と比べると「ちょっとね……」というか、「どちらかというとやっぱり初代がいいなあ」と 思ってしまいます。

 いや、これはあくまで比べるからいけないのですが、一応そのあたりも正直に思ったことなので書いておきます。

 前作は、記憶をなくして海辺に倒れていたところを助けられた青年が主人公でした。それに対して今作は、王国で家族(母親)と同居する見習い剣士の少年です。 転職すれば多少は大人っぽく見えないこともないのですが、開始時の姿は100%少年です。そして最初の仲間たち(賢者アストラルの私塾)も同年齢の少年少女らです。

 まあエルフとかホビットとかケンタウロスだから本当は違うのかもしれませんが、話し振りとかを見ると大差なさそうなので、そこではそういう専門的な考察は省きます。 そしてゲームを進めていけば、さすがに大人の男性女性が仲間に入ってくれますが、やっぱり主人公が少年なので、何となく前作ほどの渋さがないなあ、って感じてしまいます。

 まあ、ストーリィ上の成り行きで世界を救う勇者になってしまったのだから、それは仕方がないことなのですが、初代ほど感情的に入り込むことは出来ませんでした。

 あ、あと、あのエピローグが……。前もあんまり好きではなかったのですが、今回は特定キャラに対する思い入れが強まった分、なおさら素直に受け入れられませんでした。 ある意味これも某ラスボスのせいでしょう。そいつが起こした最後の悲劇だったのです。


 度重なる妨害を乗り越えて


 今回このゲームに取り組むのは、実は3回目となります。

 過去の2回は、兄者がクリアしたのを見て「自分もやってみたい」と思い、まず初代をクリアしてから取り掛かりました。当時は最初から攻略本ベタ読みすることに 何の抵抗も抱かなかったので、隠しアイテムや特殊転職もバンバン行いラストバトルに突入!

 ……ところが……

 途中でいったん中断(セーブ)→電源切って再開すると、データが消滅していました。

 それから数年後、やっぱり途中のまま放っておくのは具合が悪いつって、もう一度プレイ。この頃には私もそれなりにゲーム経験値がたまっていましたし、 そもそも一度ラストまで行っているので、順調順調で一気にラスト近くまで進軍。

 ……そしてまたデータが消えてしまいました……。

その場でカセットを破壊したい衝動に駆られましたが、そもそも私が買ったソフトではないので、とりあえず悪態をついて棚にしまいこみ、「二度とやるかボケ」 と捨て台詞をはいて、以来本当にまったく触っていません。

 今回はそういった過去の経験があるので、絶対に消えないエミュレータを利用しました。あとは、攻略本については特殊転職のためにどうしても欲しいものがある時 など、限定的な利用にとどめ、基本的には独力でゲームを進めました。なので隠しアイテムとかは、ほとんど取らずに終わってしまったようです。

 シミュレーションパートは進めていくうちにセオリーも把握し、そこそこの勝率で進んでいったのですが、一方のRPGパートについては「人の話を聞かない」という悪癖が 大爆発。ストーリィ上経由しなくちゃいけないところをすっ飛ばしていきなり3ランクくらい強い相手と対峙し、「あれ?」と思って攻略本を読み、少し戻ってストーリィを 進める……といった作業を何度か繰り返しました。

 お気に入りのキャラクタをメインに据えて育て上げ、反対に主人公はいつも奥の奥に引っ込めて(主人公がやられると全滅なので)、ほかのメンバーよりも10段階以上 低いレベルで転職もさせずに終盤まで持っていきました。軍を率いるリーダーが一番弱いというのは、現実的かもしれませんが、この手のゲームではちょっとかっこ悪いですね。

 そんな思いが天に届いたからではないと思うのですが、終盤で、ゲームを根底から破壊するような事件が起こりました。

 自分の思い通りに操作できなくなる魔法を掛けられ、近くにいた仲間に攻撃をし始めた主人公。まあ攻撃力が最弱ですから、1発や2発くらいなら「へのつっぱりは いらんですよ」って話なんですが、たまたまそのタイミングでレベルアップしたところ……

 すべてのパラメータが、通常であれば1〜3ポイントずつ上がるところを、250ポイントくらい上がってしまったのですね。

 後にネットで調べたところ、これはいわゆる「バグ」のようですね。本来ありえないことを成り行き上してしまったために引き起こされたバグ。そのためにこんな シッチャカメッチャカなことになってしまったようです。

 ともあれ、まだ少年の面影を残したまま、あらゆるパラメータがラスボスを(たぶん)はるかに凌駕するステータスになってしまった、まるでオロチを身体に降臨させた クリス(『キング・オブ・ファイターズ97』)のような主人公。直接打撃なら1ポイントしかダメージを受けないので、それまでとは真逆の戦略――すなわち大将みずから 敵陣に切り込み、一気に相手の大将を討ち取るという超スピード戦略で進めて行くことにしました。

 この時点でもう、タクティクス要素もRPG要素も崩壊しているのですが、とにかくエンディングを見よう、そして決着をつけよう。そう思って一気呵成にラストバトル に突入、ゲームを終わらせてしまいました。ついに最後まで「まともに」クリアすることはできなかったのでした。


 私のシャイニングな仲間たち


 では、最後になりましたので、非常に個人的なことを少し(?)書きたいと思います。

 キャラが少年少女ばかりでちょっとねー、という話をしましたが、今回改めてプレイしていくうちに、それぞれのキャラに対する思い入れも格段に深くなりました。 そこで、そのあたりのことをきちんと整理するためにも、ちょっと振り返りたいと思います。


 1.戦士より強い『鉄拳姉さん』――サラ


 彼女は最初期のメンバーのひとりです。性格は強気で世話好きのお姉さんタイプです。

 この時点で私の心の琴線はイングヴェイ・マルムスティーンの早弾きの如くかき鳴らされているのですが、それはさておいて。ゲーム内の特徴としては、中盤までは 唯一回復魔法が使える人なので重宝します。ただ、他の僧侶タイプの人たちが加わる頃にはレベル上げしづらいとか、複数人をまとめて回復させる魔法を覚えられない とか、ちょっと僧侶としては難しいところが出てきます。

 そうなるとスタメン落ちか、はたまた特殊転職で『マスターモンク』にさせるか、といったところなのですが、私は後者を選びました。その頃に仲間になる 女マスターモンクのシーラ姉さんが非常にかっこいいから……というのもありますけど、やっぱり無駄なメンバーは入れられないから。ちゃんと一線で活躍できるような 特徴をもたせたかったからです。

 そうしたところ、それまで転職せず下積みで培ってきた地力が大爆発。その時点で店で買える最強装備である『アイアンナックル』を装備したところ、戦士の『ジャジャ』 よりも攻撃力が高くなってしまいました。戦車だろうとドラゴンだろうと一撃で大ダメージ、もしくは破壊してしまいます。ま、まさかここまで強くなるとは!

 当然ながら最後まで一線で活躍させました。色々な意味で大好きな子です。


 2.盗賊→(短刀?)→忍者――ジッポ


 ある意味、諸悪の根源。こいつが遺跡から宝石を盗み出したことですべての物語が動き出してしまったのです。ある意味、あのエンディングもこいつのせいですね。

 こいつも仲間になってから、最後までずっと使い続けました。特徴は陸上ユニットでありながら、移動距離が地形に影響されないことと、それでいて攻撃力もそこそこ 高いこと。その代わり防御力は(やや)低いので、離れたところから一気に近づいてザックリ攻撃、撃滅する『暗殺ユニット』と呼んでいました(笑)。ある意味、忍者になるのも必然か。

 忍者に転職してからは『かとん』『らいじん』という名前で魔法を使えるようになります。また一部の特殊な刀を装備することができるようになります。これらを手に入れるためには 隠しアイテムと『運』が必要になりますが、その代わり威力は絶大で、中にはクリティカル効果を持つものもあります(その名もムラ○○)。

 まあ、転職してからも「おれのとくいわざはナイフ投げさ」とかと言ってたのは興ざめでしたが(前作の忍者『ハンゾウ』のように、もう少し忍者らしく話して欲しかった)、それはよしとしましょう。 なおサラは苦手なようです(笑)。


 3.カメー、カメー、ミドリガメ――キウイ(仮称)


 あるところで話し掛けると仲間になる「みどりがめ」。最高の物理防御力と最低の体力(そのため魔法攻撃にはからっきし弱い)を持つ珍獣です。

 前作で言う『ヨーグルト』みたいな存在なのですが、先ほど申し上げたように物理防御力は桁外れなので、前線に出して相手をおびき出したところを一気に囲んで叩く という戦法を取る時には、非常に役に立ちます。

 さらに転職すると『怪獣』となり、なんと言うか……カメで怪獣ですから、あんな感じになります。『スーパー忍』に出てきたゴ○ラは改ざんを余儀なくされましたが、 こっちは大丈夫なのかな? まあ、たまたま大きなカメがいて、それが火を吐くとか、そのくらいですからね。

 ただ、私は転職させず「みどりがめ」のまま終わらせました。仲間の数が増えてスタメン落ちメンバーが出る時は、真っ先に外しました。何となれば、やっぱり『可愛い』から。 トニー・トニー・チョッパーなら可愛いだけでなく強いし頭もいいのですが、こっちでは戦闘に関しては代わりのメンバーがいくらでもいますからね。とりあえず マスコットとして飼い続けることにしたのでした。


 4.復讐するは我にあり!?――シーラ


 ピーター(ストーリィにも大きく関わる主人公の親友)いわく『すごいおねえさん』。元々は僧侶だったのですが、恋人をある者に殺され、その復讐のために僧侶の 職を捨ててマスターモンクとなり、奥義を極めるべく修行しているという凄絶な過去を持つ人。ただ僧侶だった時代、ある人にサマーソルトキックを食らわせたという 逸話もあるので、素養はあったのかもしれません。

 この世界におけるマスターモンクというのは、私たちの世界で言う武術家みたいな立ち位置のようで、山ごもりをして修行を積み、己の肉体と精神を磨き上げることを 日々行っている人たちのようです。あるいは修験者みたいなものなのかな。

 終盤で仲間になるので、なかなかレベルを上げづらいところはありますが、それでも好きな人なのですぐに既存メンバーと入れ替え、最後まで使い続けました(ここで ソーサラーに特殊転職したカズンを外したのでした)。下積み期間が長かった後輩のサラが強すぎてアレなのですが、それでも打撃に回復に活躍する一線級の人なのです。


 おわりに


 そんなこんなで、長い文章を一気に書きました。大体、これで私の同ゲームに対する思いは書ききれた気がします。詳しいストーリィについてはほとんど触れずに ここまで来たつもりです。

 そうなると、よりいっそう思い入れのある初代の方はどれほどのものになるのかわかりませんが、それもいずれは書きたいと思います。


 


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