「戦場の狼」論
 私と1986年のファミコンゲーム――『戦場の狼』編


 以前、私は「一国の軍隊ほどもあるような凶悪犯罪組織に立ち向かうひとりの男がいた……」みたいなノリの、土曜日の深夜にやっているようなB級 アクション映画が大好きでした。A級以上のやつは(たとえば昨日見た『ダイハード3』とか)は、台詞回しもカメラ回しも爆発もハデハデですごく面白く はあるのですが、しかしB級映画にはなんか、なんかよくわからないのですが奇妙なエネルギーがあるような感じがします。
 今回の『戦場の狼』も、そんなテイストがしてくるような感じのつくりとなっております。犬神はそんな風に思います。異議は受け付けておりません。
 というわけで時々アーケード版との対比を交えつつ、今回はこのゲームについて少々語りたいと思います。なお、このレヴューを書く切っ掛けは、 最近ネット上で知り合いになったナカユウ様のレヴューだった、ということを付記しておきます。さて、レヴューと呼べるものに、なるかならぬか。


 某国ジャングルの奥深く。この秘境の地では激烈なゲリラ戦が展開されていた。特殊訓練を受けた優秀な兵士"スーパージョー"は極秘任務を受け、今まさにこの激戦の中に乗り込もうとしている。極秘任務とは、このジャングルから全世界にその魔の手を広げようとしている悪の軍団を壊滅させることである。情報によると敵軍本部は難攻不落の要塞で、既に我が軍の何人ものコマンドーたちが捕虜になっているらしい。果たして、実行不可能とも思えるこの無謀な任務を遂行できるだろうか!?

 無謀な、というところに激しく同意します。……いや、それはともかく、そんなこんなでスーパージョーはM16ライフルと手榴弾を手に、前線までヘリで 送られてきます。――このオープニングのところで早くも、スーパージョーが只者ではないというところに気づくと思います。何せこの人、最前線に ひとりきりで置いてけぼりにされたのにもかかわらず手を振っています。
  「おれに任せろ、必ず悪の軍団を叩き潰してやる!」
 とかと言っているのでしょうか。犬神だったら手を振るどころか、立っていることすら出来ないかもしれません。ともあれそのくらいの度量がなければ、 この任務は遂行不可能といったところでしょうな。さすがだぜ、スーパージョー!
 しかし敵も、こちらの特殊部隊のコマンドを何人も捕虜にするほどの猛者ばかりであり、さすがのスーパージョーも一筋縄では行きません。彼らは 一応銃も撃ってくるし手榴弾も投げつけてくるのですが、どうやら彼らが最大に戦闘能力を発揮するのは接近戦のようです。何せスーパージョーも、 一瞬のうちに、何ら抵抗することも出来ないままやられてしまいます。知らないで突っ込んでいくと数秒で尊い命が失われる可能性もあるので気をつけ ましょう。まさに一瞬の油断が命取りとなるような場所――それが戦場だということなのでしょうか。
 で、そんなのがもうそっちこっちからジャンジャン出てきます。いちいちこんなのを相手にしてたんじゃ弾が持たない……って、弾は無限なのでいい んですが、接近されると命を落としかねないので、とにかく出来るだけ立ち止まらないこと。これが戦場で生き延びる秘訣です。スーパージョーは足が 早く、走ればまず追いつかれません。
  「うおおおおおお!」
  「強行突破じゃー!」
  「地球代表、ところ天の助じゃー!!」
 色々な漢の叫びが聞こえてきそうです。一部おかしなのが混じっておりますが気にしないでください。犬神はついつい、そう心の中で叫んでしまいます。
 で、そんなこんなで突き進むと最後にゲートがあります。あちこちから敵が出てくるので、スーパージョー最大のピンチ! となります。が、そのピンチを どうにかやり過ごすと敵の司令官も白旗を振り、エリア1突破! と相成るわけです。クリアー時にはスーパージョーが煙草を吸ったりなんだりしている ヴィジュアルが挿入されます。渋いですね。いかにも漢と書いて男といった感じがします。萌え要素やお色気、アニメ要素など一切ありません。私は それなりにアニメ好きですし女の子も好きなのですが、でもこういうのも大好きです。
 で、エリア2は、敵の攻撃は更に激しくなってきます。何せ横からバイクが走ってくるわ、後ろからはジープが走ってくるわ、おまけに洞窟やトーチカが あって弾丸や兵士が出てくるわで、大変な有様となっております。エリア3、エリア4はさらに激しくなっていくことでしょう(情けないことに犬神はまだ そこまで到達していません)。しかし、負けるな、スーパージョー! 戦え、スーパージョー! どこかの国のためにどこかの軍隊をたたきつぶせ!


 ここからはファミコン版とアーケード版との違いについて気づいたことを少々。
 まず、地下室というのはアーケード版にはありませんでしたね。塹壕とか、土嚢の向こう側とか、そういうところを手榴弾で爆破するとぽっかりと地下室が 出てきて、捕虜がいたりなんだり……まあ、私はそんなのには目もくれず、どんどん突き進むだけなのですけれどね。いわゆる、前しか見えないランボー のようなタイプというところでしょうか。
 あと、捕虜を助けると、なんかクイズ番組で100万円獲得した時にもらえるでかいパネルみたいなのを掲げて逃げていく姿というのは……アーケード 版では見たことないのですが、どうなのかな。ファミコンオリジナルじゃないのかな、これ。まあこのあたりはどなたか教えてくださることをお待ちする として(他力本願)、この姿は面白いですね。一方ではなんか動く標的なんじゃねえかという気もいたしますが、いついかなる時もユーモアを忘れない。 ともすれば極限状態となる戦場の最前線において、助けてくれた恩返しとばかりに(命がけで)スーパージョーの気持ちを和らげようとしてくれている 熱い心……思わず涙を誘ってしまいます、って考えすぎですね。
 それから、音楽がなんかちょっと情けない感じなのは、これはどうしようもないですね。しかし初めてプレイしたのがファミコン版であったので、それ ほど気にはなりません。ノリノリの音楽ですね。1942と同じ位、シンプルな割になぜか心が熱くなってしまうような、そんな曲です。皆さんも戦場を全力 疾走するような機会があったら、ぜひBGMに選んではいかがでしょうか。そんなこと永遠に来ない方が望ましいのは言うまでもありませんが……。
 
 では最後に、少々、私とこのゲームについて。
 確か、これは私が小学1年生の時、ひとつ上、小学2年生のひとの家でやったことがあります。やったことがある、といいましたが、ひょっとするとやらせて もらえず、脇で見ていただけかもしれません。けれどもあのBGM(VGMというのかな、ビデオゲームの場合は)は一度聞いたら忘れられません。すごく 好きです。あ、それと『ヘクター’87』をやったのもこの人の家でした。あれからもう、15……いや、もう少し経つのですね。考えてみれば当時から、 『ドラクエ』だの『FF』だのにはほとんど興味を示さず、アクション及びシューティングゲームに熱を上げてきました。それが今でも色濃く残っている わけなのですな。
 今、大体同じ年頃の弟クンは『ポケモン』とやらに始まり『ゼルダの伝説』だの何だのといった一連のRPG系にハマりこんでおります。ゼルダの伝説 のことについて聞かれるよりはアクションゲームやシューティングゲームについて聞いてくれる方が応えやすいのに、「興味がない」といわれ、あまつ さえ「当てにならない」といわれてしまう有様。これでは立場がありません。
 ……ま、まあそんなことはどうでもいいのですが……そういうわけで、ファミコン版も、あとPSとかSSで出ている『カプコンジェネレーション』に収録され ているアーケード版も、どちらもいい出来でした。特に後者は「戦場の狼II」と『ガンスモーク』も入ってお手ごろな値段です。『撃墜王の時代』と、 あるいは格闘好きなら『格闘家たち』と合わせて購入されてはいかがでしょうかって私はカプコンの回し者ではありません。

 付記:
 というわけでこの戦闘では大活躍したスーパージョーですが、後にある任務――帝国軍のワイズマン総統によって行われようとした『アルバトロス計画』 の阻止――の途上、消息を絶ってしまいます。あの英雄スーパージョーに、一体何があったのか!? そしてワイズマン総統が行おうとしている アルバトロス計画とは、いったい何なのか!? すべてはファミコンソフト『ヒットラーの復活』の中で明らかになるでしょう……って、別に宣伝する わけではないのですが、こちらも結構面白いです。機会があったら遊んでみてください。       

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