私と泥んこプレイのススメ
――『セガラリーチャンピオンシップ』論




 なぜ今『セガラリー』なのかというと、これ、意外と奥が深いというか……アバウトに見えて、実際に最速ラップを出そうとすると、かなりの技量が必要とされることに、 いまさら気づいてしまったからなのです。

 これが発売され、購入した当時、私は中学生。とにかく車が大好きで、それもどちらかというとレーシングカー、ラリーカーの方に興味が向いていた犬神。田宮のプラモデルから 実車のレポート記事から、とにかくずっと追いかけ続けた名車「ランチア・デルタ」と「トヨタ・セリカ」がそのまま出てくるとあって、すぐに食いついて散々やりました。

 しかしながら、あんまり上手ではありませんでした。初級コースならそれなりに走れるものの、中級コースはゴチゴチぶつけてばかり、上級コースに至っては、当時はほんの 数回やったかやらないかという程度のレベルでした。

 さらにそうなると、2台しか車がないことがちょっと物足りなくなってしまって、次第にプレイしなくなってしまいました。他にもたくさんやりたいゲームがあったことも あるんですけどね。


 それからポンと10年以上が経過。当時やらなかった『デイトナUSA』にいきなりはまり込み、ほぼ同時期に同社から出ていた本作を再び手にとってみて……

 「ああ、これは面白いな」

 という感想を抱いたのでした。



 リアルさとゲームらしさのさじ加減



 まっすぐ走って、カーブに差し掛かったらハンドルを切る。当然車は曲がりますが、「リッジレーサー」のように、時速300キロで走っているのにもかかわらず 突然真横を向くような、不可思議な物理法則が働くことはありません。スピードが速すぎるとカーブを曲がりきれずにゴツンと壁に衝突してしまいます。

 ただ、別にぶつかっても走りに影響が出るとか、車体がにへこむとか、そういうことはありません。当然崖から落ちるようなこともありませんし、ギャラリーにぶつかる ようなこともありません。もちろん瞬間的にスピードは落ちますが、また元気に時速200キロで爆走します。

 その辺のアバウトさは、やはりアーケードゲームならでは。キチキチしたリアルな走りを追求することに喜びを見出す人もたくさんいるとは思いますが、そんなものよりも 爽快感を求めるのが、セガのレースゲームなのです。「デイトナUSA」しかり、「セガ・レースTV」しかり。

 あとは、舗装道路を曲がる時と砂利道を曲がる時では、きちんと走行感覚が違うのです。

 あくまで私の感覚的なものですが、舗装道路ではキュルキュルキュル……と、タイヤがしっかり地面にしがみつきながら駆け抜けていく感じがします。そして悪路では ジャリジャリジャリ……と、wikipediaの言葉を借りれば「タイヤの横面で砂利を押し分けている」ような感覚で駆け抜けていくのです。これは中学生当時は何も感じませんでしたが、 今やると本当によく出来ているのです。


 あとは、私はいつもタイムアタックばかりやっているのでほとんど知りませんが、「チャンピオンシップ」モードではライバルの車といっしょに走ります。実車の世界では こんなことはありえないのですが、わかりやすい形で順位とか、レースをやっている感じとかが味わえるのが面白いです。

 そしてラリーならではの要素としては、やはり隣に『コ・ドライバー』がいること。コースマップがない代わりに easy right! とか midium left! とかと、次のカーブの 曲率とかを教えてくれるのですが、走りこんでいるうちに気づいたのは、この声もひとつのタイミングを計る切っ掛けになるな、ということ。たとえばコ・ドライバーが 言い終えてから1テンポ置いて曲がればいいな、とか、rightの"h"のあたりで曲がればいいな、とか。この辺はいかにもゲーム的ではありますが、ともかく速く走るためにも欠かすことの出来ない、 「もうひとりの」ドライバーなのです。


   あんな車いいな、(運転)出来たらいいな



 本作では実車をモデルにした架空の車……ではなく、実車そのものが出てきます。オープニング画面を見ていると、終盤でなにやら英語がゴチャゴチャ出てくるかと 思いますが、(たぶん)そのことを語っているのでしょう。アーケードで稼動開始した当初(1994年)、トヨタ・セリカは最新マシンとして、ランチア・デルタは 圧倒的な強さを誇った最強マシンとして、とても魅力的に映りました(残念ながら、本作のモデルになった実車のセリカは、色々あって最強マシンにはなれませんでしたが)。

 私は実際に6年連続チャンピオンと言う大記録を残したデルタが大好きでした。まあ ゲームの中での違いはせいぜい音ぐらいで、走りに違いはないらしいのですが、かえってその方が気分や趣味で使い分けられるのでありがたいです。実際、最近はセリカ の方を中心に使っています。

 さらにサターン版ではこれに隠し車種としてランチア『ストラトス』が追加されました。

 これは70年代に大活躍した車で、いわゆる『スーパーカー世代』の人たちにとってはカウンタックとかと同等の魅力を放ってやまないそうですが、私はせいぜい写真で チラリと見たことがあるくらいで、残念ながらそれほど思い入れはありませんでした。

 ゲームの中での性能は……隠し車両だからなのか、ムチャクチャな性能です。

 実車にあわせて後輪のみ駆動するのですが、前後輪が駆動するセリカ・デルタと違って踏ん張りが効きません。そのくせパワーがすさまじいものだから、 180度以上曲がってしまうこともしばしば。他の2台で熟練し、さらにその上を行くテクニックを身につけなければ、とても乗りこなせない『スーパーカー』なのです。



   走ってる時も、走り終えた後も、気持ちいい



 GがついてTのつくレースゲームは知りませんが、『リッジレーサー』シリーズのBGMと言えば、ロッテルダムテクノ、っていうんですか? ものすごい速いテンポで コンピュータの音楽が鳴りまくって、時速350キロでぶっ飛んでしまうようなノリノリの音楽でありますが、『セガラリー』はどちらかというとアメリカンな感じ。 それも『クレイジータクシー』のように激しいパンクでヘヴィメタルな音楽ではなくて、もう少しゆっくりしたテンポの。

 そしてそれはリプレイ時にいっそうイージーな感じになります。中級コースのリプレイ再生時、冒頭のナレーションで「relax enjoy...」と言ってくれますが、 実際に何となくノンビリした気持ちになれるものです。ある意味、このリプレイの音楽を聴くために、本編をプレイするようなものです。

 これはサターン版じゃなきゃダメでしょう。あ、PC版もあるのか。でもそちらは一体どういうものなのか、まったくやったことがないので、ここでは言及しません。


 そんなわけで、このリプレイの音楽がいいからサターン版『セガラリー』をプレイする、というのが大きなモチベーションとなっています。もちろん走りの方もよくなければ、 こうもハマることはなかったと思いますが。

 車種が少ないという物足りなさは続編で解消されたので、本作ではひたすらセリカをきわめていこうと思います。ちなみに今朝、ようやく最速ラップにあと0.5秒と言うところまで 迫りました(中級コース・タイムアタック)。1回のプレイ数が3〜4分で済むので、ちょっとした合間にプレイできるのもいいですね。20分も30分もひとつのレースに打ち込んで、 それが山ほどあるレースのひとつに過ぎない……なんて、リアルかもしれないけど、そこまでゲームに時間掛けてられません。

 


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