龍虎の拳

新・私とネオジオ――もっとも身近なアーケードゲーム 第一回――100メガショック! ド硬派ショック! 「龍虎の拳」





 久々に、シリーズものとして復活させました。
 
 今のところ頭の中で考えているラインナップは、『龍虎の拳』をはじめ『餓狼伝説』シリーズに『キング・オブ・ファイターズ』シリーズ……と、まあ、どれもこれも格闘ゲームばかり、しかも超有名ゲームばかりです。

 ややマイナーなタイトルを積極的に取り扱っていた時代には、あえて敬遠していたのですが、このサイトの特徴である「私が感じていた当時の空気を思い出しながら書き出す」題材となると、やっぱりこの時代のゲームなんですよね。
 
 まあ、それなりに数だけはたくさんあるし、そろそろいいかなと思いまして。そういうわけで今日はこれを取り上げたいと思います。ちょうど今年は誕生20周年のメモリアルイヤーでもありますしね(今気づいた)。
 

 100メガショック! ネオジオ!
 
 
 1992年に発売された本作は、いわゆる『100メガショック』第一弾でした。
 
 『餓狼伝説』とともにやってきて近所のコゾーどもを釘付けにし、ワールドヒーローズで見目麗しい女騎士を引っさげてジャリボーイたちをときめかせたネオジオの第3弾は、スーパーリアルで巨大な男たちが殴り、蹴り、叫ぶ、超ド迫力ゲームでした。それはもう、どいつもこいつも興奮しました。
 
 しかも、キャラクタが大きいだけではなく、打撃の音がいちいちド迫力なんですよね。通常技のパンチやキックをビシッ! ビシッ! と打ち込み、ジャンプキックや必殺の『虎煌拳』が綺麗に決まって相手が吹っ飛ぶ時の音。そして超高速で拳を連打して相手を吹き飛ばす北斗百裂拳ばりの大技『暫烈拳』に、決まるとビッシャアアアアッ! とすさまじいヒット音が響き渡る奥義『覇王翔吼拳』……。
 
 そういった演出面は、2012年現在もPS2移植版を毎日『雷電ディー・エックス』と交互にプレイするくらい最高に気持ちのいいものなのですが、実は当時はあまり自分ではプレイしませんでした。一発一発のダメージが大きいせいか、あまり上手ではない当時の私のプレイではあっという間に追い込まれ、けっきょく1面の相手『藤堂竜白』にすら勝てまかったからです。
 
 結局、上手な人のプレイを後ろから見て「みんな簡単そうにポンポン勝ち進んでいくなあ、すごいなあ」とため息を漏らすばかりでした。やれやれ。
 
 
 最後の最後まであきらめない
 
 
 そういうわけでここからは、最近になってPS2移植版をプレイしてわかった内容となります。
 
 先ほど、『一発一発のダメージが大きい』と書きましたが、ある程度ゲームスキルが上がった今プレイすると、これがまたいいんですよね。いわゆる格闘ゲームにおける連続技というのがそれほど得意でない犬神にとって、単発でビシッ! ビシッ! と打撃を叩き込み、とんでもない威力の必殺技で一気にぶっ飛ばすという本作の仕様は、非常にありがたいのです。
 
 いまどきの格闘ゲームの必殺技といえば、連続技に組み込んでカチャカチャポンポンポンと出すためのものであり、単発でその必殺技をエイヤッと入力したところであっさりかわされるか、はたまたカウンターで打撃を喰らってあえない最期を迎える……というものですが、本作の必殺技は(そもそも連続技というものがないので)単発でぶつけていくことになります。
 
 「こおーうけん!」と、たっぷり気を練ってから打ち出すので、実際に気弾が出るまでの時間はかなりのものですが、出てしまえばこっちのもの。まともにヒットすれば相手はぶっ飛びますし、ガードされたとしても結構削ってくれます。場合によってはこれの繰り返しで勝てたりもします。
 
 そういうゲームなので、結構追い込まれた状態からでも大逆転を狙うことができるのがいいですね。なんだかよくわからないうちにボコボコにされる最近のゲームと比べると、よっぽどドラマティックで面白い気がします。
 
 
 街中のやつらをぶっ飛ばしてやる
 
 
 ドラマティックといえば、対戦時にいちいち事前の掛け合いがあるのも面白いですね。
 
 最初の敵である藤堂は、結局ユリの居場所については何の手がかりも持っていませんでした。この点に対する批判が殺到したためか、その後は苦難の人生を歩み続けていることは皆様もご存知のことと思いますが、それはさておき、一応「バイカーのジャックなら何か知ってるかもな」という情報は教えてくれます。
 
 というわけでバーにいるジャックを問い詰めると、「それらしい女の子ならチャイナタウンで見かけたぜ」ということを教えてくれます。そしてチャイナタウンに行くと、いきなりお面をかぶった謎の男・リーに襲われます。
 
 正直なところ、何で襲われるのかよくわかりませんが、とにかくこれを倒すと、今度はレストラン『ラ・モール』に行けと言われ……。
 
 そんなこんなでたらい回しにされるものだから、いくらリョウでも怒ります。「こうなったら街中のやつらをぶっとばしてやる」となってしまうのも無理はありません。まあ、ラ・モールに行ったらそこのの用心棒から詳しい情報を聞き、そのあとはちゃんと目的に向かっていくことができたのですが。
 
 それにしても、色々な人間がいるものです。古武道、中国拳法、ムエタイ、ボクシング、軍隊流格闘術……。このうち今回の事件の黒幕である『Mr.BIG』の組織の人間はジャック、キング、ミッキー、ジョンの4人です。やはり、どうしてリー・パイロンが襲ってきたのか、いまいちよくわかりません。

 ちなみに私が一番好きだったのは終盤近くに出てくる海軍の格闘技教官『ジョン・クローリー』。理由は、言うまでもなくかっこいいから。ただし顔ボコボコでサングラスも吹っ飛ばされた状態でありながら「口ほどにもない」と言っても、まったくしまらないのですが。
 
 
 格闘技史上初の超硬派演出
 
 
 さて、本作でもっとも話題を呼んだのが、先ほどちょっと書いたラ・モールの用心棒『キング』でしょう。パッと見はクールな美青年ですが、実際に戦ってみるとキレのある足技で攻め立てるなかなかの強敵です。見た目で判断すると手痛い反撃を食らうことでしょう。

 それでもパンチ、キックを駆使して倒すと、「くそっ、バンサーになってから負けたのは初めてだぜ……」「俺の知っていることを話そう」といって、重要な情報を教えてくれます。
 
 ところが、ここで必殺技をぶつけてKOすると……服が破れて胸があらわになってしまいます。お、お前、女だったのか!? 硬派が服を着て歩いているリョウも大衝撃でしょう。私も大衝撃でした。そしてその後はなんだか切ない表情で「悔しいけれど……私の負けよ……」と、今日では想像もつかないような口調で情報を教えてくれます。
 
 これは、物語全体の雰囲気が非常に硬派なつくりになっているからこそ、際立つ演出でしょう。初めっから女性キャラが出てくるほかのゲームにはない、きわめてカッコイイ演出であると思います。これが犬神が20年も前の本作を今なお愛する理由なのです。非常にドラマチックな演出と展開。
 
 もっとも、それとわかっていて脱がせるのは、どうもよくない気がするので、自分でプレイする時はできるだけ脱がせないように通常技でKOさせるよう心がけています。かなり追い込まれていて、もう遠距離から虎煌拳または覇王翔孔拳……は武器を持っていないので使えないか……ともかくそういう状況であれば、さすがに勝ちを優先しますが、それ以外の時はね。
 
 
 覇王翔孔拳を会得してもなお……
 
 
 というわけでプレイしているのですが、Mr.BIGになかなか勝てません。前転中段突き、クロスダイビングなど、やっていることは非常にシンプルなのに、パワーもスピードも格段のものがあるためか、あっという間に追い込まれてしまいます。
 
 それでも、たまに勝てることもあります。そうすると「不敗の格闘家」Mr.KARATEとの最終決戦となるわけですが、皆様ご存知の通り猛烈に強いです。デヤー! デヤー! と超高速で気弾を放ち、飛び込めば暫烈拳で迎撃され、もうどうしようもありません。
 
 「覇王翔孔拳を会得せん限り勝てぬわ!」と言われますが、会得してもなお勝てないのです。
 


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