私と空飛ぶ車――『ロードブラスター』論


 さて皆様はLDゲームというのをご存知でしょうか。
 これは1984〜85年ごろに業務用のゲームとしてはやった(とパッケージの裏には書いている)もので、プレイヤーが何をすればいいのかというと画面に時々表示される矢印またはアイコンと同じ方向にキーを入力するという、ものすごくシンプルなものです。この『ロードブラスター』のほかには『サンダーストーム』『忍者ハヤテ』『タイムギャル』などがあるそうです。


 で、この『ロードブラスター』ですが、婚約者を暴走族に殺された主人公が復讐に燃えてものすごい車に乗って、その暴走族に復讐を挑むという、どこかで聞いたことがあるようなストーリィのゲームです。
 基本的に主人公は復讐のためならどんなことも辞しません。歩道をそのまま突き進むことなど日常茶飯、ホテルに車ごと突っ込んで散々引っ掻き回したあとに主人公は驚愕の表情で立ち尽くす支配人を尻目に壁に大穴を開けて飛び出し、ビーチに逃げ込んだ暴走族の連中を追いかけて、リゾート気分の人たちを恐怖のどん底に陥れることなど気にも止めず、暴走族の乗る車を次々と爆砕し、何事もなかったかのように去って行きます。
 でも暴走族の連中も負けてはおらず、崖崩れを引き起こさせたり高速道路にオイルを撒いて滑らせたり(後にそれに火をつけたりもする)、麦畑(なぜ麦畑なのか。理由不明)の中を巨大な除雪車みたいなので走り回ったり、武装ヘリで機銃掃射してきたりします。一体どういう組織なんでしょうか。
 まあそれはともかくとして、自車(スーパーチャージャーがついた赤い『ナイト2000』みたいなのをご想像ください)に武器はありませんので、そういう連中を壊滅させるため、直接彼らに体当たりして破壊します。
 相手が車でも、体当たり。相手がバイクでも、体当たり。相手が武装ヘリでも、体当たり。
 武装ヘリにどうやって体当たりするんじゃ、というお声があるかと思います。お答えしますとこの人は崖から全速力でジャンプしたり、ホテルの駆け上ってパーティ会場を突き抜け、窓ガラスをぶち破って体当たりしてヘリを撃墜します。またそれでなくてもこの車は崖っぷちなどからよく飛び、2〜3回転くらいして着地します。――車は大丈夫かもしれませんが、よく乗っている人が大丈夫だなあと思いました。
 このような非常にぶっ飛んだゲームを作成したのは、かの有名なデコことデータイーストでありました。ならばビルもビーチも工場もお構いなしにバリバリ進んでいくマッドな雰囲気もうなずけるといったところでしょうか。あと下水道も平気でバシャバシャと駆け抜けていきます。

 
 さて、ここからは少し趣向を変えまして、ゲームとしてではなくアニメとしてのこれについて。
 LDゲームというのは要するに丸ごとアニメが入っていて、画面に出てくるコマンドをテキパキ入力していけば普通にアニメを眺めるのとあまり変わらないような感覚で楽しむことができます(※1)。そうして見てみると、これが実に80年代的な感じがして、楽しいんですよね。
 どんな感じなのかというと、まず色合いが薄いのが80年代的ですね。いい意味で鮮やかでない、とでも言うのでしょうか……。あと悪役がなんか『北斗の拳』っぽいんです(笑)。顔もそうですし、格好も(淡い紫色のモヒカンとかがいる)。もちろんこのゲームができたのが1984年ですし、アニメ部分を作成したのが東映アニメーション(東映動画?)なそうですから、なるほど、よくできているわけです。

 まあ、そういったわけです。現在はセガサターンに移植されておりますが、そもそもサターンのソフトなんてないか……でも見つけたら一度遊んでみるのをお勧めいたします。私はもう10回くらいやりました。必要なのは『反射神経』。それだけです。そのあたりに慣れてしまえば、いつでもマッドでマックスな(しつこい?)世界を楽しむことができるのですから……いっしょにくっついてきた『サンダーストーム』はちっとも面白くないけど。
 次回は『タイムギャル』&『忍者ハヤテ』を予定しています。でもとりあえず、ソフトを見つけないとね。

 (※1)
 ……たぶんそういうものだろう、という想像です。詳しくご存知の方はそっとご一報ください。

 


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