私と電波ゆんゆん――「ラジルギ」論




午前7時を少し回ったころ、フジテレビをご覧になってる方ならこのゲームの曲を聴いたことがあるはずです。ほら、あれだ、 1分ぐらいずつニュースを次々に放送するところですよ。あそこで映像とともにかかってる音楽がこのゲームのボスの音楽で…… えっ? 「朝ズバッ」見てるからわからない? ああ、そうですか……失礼しました。


「ラジルギ」は21世紀に出たアーケードのSTGであって、私のところで取り扱う中ではもうとんでもなく新しいゲームです。しかも、 実際にプレイしたのは06年に、しかも我が町から遠く離れた栃木県宇都宮市の某ゲーセンでだったので、出会ったのは 相当遅かったと言えましょう。

で、初めてプレイして、いきなりやられました。

あくまでも人間はそれまでに出会ったことのあるものを例にあげて、イメージを説明するものですから、それを踏まえて語ると すればこのゲームは、

「ジェットセットラジオ」的なトゥーンレンダリングと、
「レイディアントシルバーガン」的な攻撃システム(剣でビシュッ!と)のある、
「ギガウイング」(=弾をかわすというよりは取り込む)

みたいなもの、という感じでした。あとはとにかく文字が多い! このゲームの人々は全員メールで会話をするので、ひたすら文字を 追いかける時間が多く、なんだかSTGをプレイしているようなそうでもないような気にさせてくれるゲームでした。あと、何面だった かな。ボスで初プレイでいきなり安全地帯を発見してしまい、そこから一歩も動くことなく破壊してしまったように思います。偶然 見つけたので、もう一度やれといわれても無理ですが……。

その後、盛岡に帰ってきても一度もこれが見つからなかったので、やむをえず(?)家庭用のそれを買いました。GC版とPS2版が ありましたが、PS2版のおまけは「ハードよりもさらに難しい」モードで、GC版のおまけは「通常16倍の得点倍率が256倍になっている 」モードがあるということであり、イージーですらクリアできるのかどうかわかりゃしねえのにそんな難しいモードなんて……という わけで、GC版を購入し現在にいたるという次第です。なおDC版があると知ったのは、GC版を買い求めてしばらく経ってからでした。


ゲームシステムとしては、3種類の武器と3種類の速度の違う機体の中から気に入った組み合わせを選び、全5ステージを進んでくださ いというものです。武器は多方向弾とレーザーと貫通弾(泡)で、それぞれ使い勝手はありますが、とりあえず初めてクリアしたのは レーザーでした。貫通弾はそれなりに使い勝手はいいですが、多方向弾は威力が小さすぎて苦戦必至です。撃ち込み点が増えるのが、 メリットなのかな……? 速度は完全にお好みですね。

また動作としては、「撃つ」ほかに「斬る」ことができます。これは一部の弾をかき消したり、接近戦で得点アイテムを稼いだり、 なんだりかんだりと使います。ボタン押しっぱなしで連続で斬りつづけるので、忙しい時は押しっぱなしでもよろしいかと。最初に ゲーセンでやった時は手動でカチャカチャ叩いていたので余計に忙しかったですが……。

それから、ほかに敵弾を「食べる」ことができます。食べる、といっても主人公のオナノコがサンタナのごとくもさもさ食べるわけ ではなく、「アブソネット」とかいう絶対領域(ATフィールド)を展開し、敵弾を取り込みます。元々敵自体に当たり判定はない ので、この展開中は完全に無敵になります。なおゲージは敵を倒したりすることで勝手にたまっていき、4面中盤などの敵がわんさか 出てくる場面では「展開中にゲージが溜まって、展開が終わった瞬間また展開して……」ということを繰り返していくことで、針の 穴を通すような回避行動がいらなくなるという、ある意味非常にすばらしいシステムです。

 とはいったものの、少なくとも14インチテレビで横画面では1コインクリアは少し難しいかも知れません。敵弾を食べることができる とはいえ、常時食べるわけではないので、時々はせかせかと画面全体を覆い尽くす敵弾をかわさなければならないわけで、……そうそう。 このゲームってば、ボタンを押さないと盾を出して敵弾を防御してくれるんですが、真正面しか受けてくれないのでちょっと私は……

 あと最近のゲームでは「ピンクスウィーツ」、古いところでは「サマーカーニバル’92 烈火」にあるような、「ショットボタン を叩かないことでためうち始動」というのは、どうもなじめないんですよね……。私はとにかく常時ショットを乱射して、出現即破壊 したいんですよ。我慢できないんですよ。ハッピートリガー野郎なんですよ(※)。なので私はほとんど盾を使って防御はしませんでしたが、 たぶんこれを使わないとクリアできないところとかもあるでしょうから、使いましょうね。

ステージは全部で5つ。数だけ言えば少ない? ような気もしますが、それぞれがかなりのボリュームであって、決して不足な わけではありません。なかなかどうしておなかいっぱい、楽しく作られていて、特に4面、5面は正気とは思えないくらい敵弾が 画面中を覆い尽くします。そしてその、すさまじい敵弾を片っ端から食べて、そのドサクサで敵を斬り、破壊するそれはある意味 桃源郷、ひとつの強烈なカタルシスといえます。

 なお3・4・5面には通常のボスのほかに中ボス(組織の構成員)が出てきて、それぞれの性格に見合った挑発をメールで流して 来た後、戦いとなります。ゆっくり戦っていると捨て台詞を残してピューッと消えてしまうので、クリアするにはまあ別に いいんですが、得点が欲しい方、言われっぱなしで悔しい方、キル・エム・オール(kill'em all)な方などは積極的に撃ち込んで 破壊しましょう。
 
 この「一定時間で逃げる」システムはステージ5以外のボスにも共通するもので、放っておくと逃げます。これを逆手にとって、 破壊が進むと凶悪な攻撃を繰り出してくるボス(特に4面とか)などには一切こちらから攻撃せず、せかせか逃げ回って相手があきれて 逃げるのを見送るというチキンなやり方もあります。とにかく先の面が見たいという御仁は、まあ、そういうのもあるんだという ことでお試しください。



 基本的に言葉がほとんどない、というか人の気配さえしない、鋼鉄の破片と爆発の業火ばかりが目に付くSTGばかりやってきた 犬神にとって、このように人の存在を意識させられるのは、うーん、いっぱいあるけれど「エスプレイド」以来ということにしま しょう。ただしこのゲームに限っては、ストーリィからではなくてSTGとして入ったので、説明書は読んでいません。なので、


 「マッドサイエンティストのめがねっ娘が体育倉庫で小次郎という謎の破壊兵器を作ったので、そのめがねっ娘の友達で 風邪を引いている主人公の女の子がこれといった目的もなくその破壊兵器を駆って体育倉庫の天井をぶち破って外に飛び出 したところ、機械がいろいろ暴走していたのでなし崩し的に立ち向かう」


 ゲームであると認識していました。ゲームをやり進めるうちに主人公の女の子の名はシズル、めがねっ娘はタダヨであり、道中に 出てくる中ボスの「ハゲ」「ガキ」「女」は……まあ、名前はいまだにわかりませんが、ラスボスの女の子が「ルキ」という子であり、 我らがシズルちゃんには電波症を治したいとかいう目的があったっぽいことに気づかされた次第ですが……そもそも「ラジルギ」ってな、 ラジオ・アレルギーの略称だったんですね、って、ずいぶん経ってから気づきましたよ私は。


 で、最近ようやくクリアしました。イージー設定で、コンティニューアリアリです。14インチの家庭用テレビだからしょうがない じゃん、とずいぶんぬるい言い訳をさせていただきますが、それでも破壊だけで終わらず、きちんと救済があるというか、ストーリィ 的にきちんといい方向で完結してくれたのがすごくよかったですね。

 そういうわけで総評ですが、ヴィジュアルから入る二次元オタクの御仁も、シューティングから入る硬派な御仁も、ともにかなりの 水準で満足させる「いい感じ」のゲームであろうかと思います。最初はもう完全に、秋葉原をアキバという人たち向けのゲームだろうと 思っていたのですが、やりこんでみるとまあ面白いのなんのって。やっぱり一番のウリは、電波バリバリでスコア16倍ラッシュが であって、それがとても熱いんですよね。


 ※
 ……と思っていたのですが、最近ではそうでもないような感じがします。まあ、数回やってれば慣れるということでしょうか。 

 


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