私と新時代『R』の血統
――「R-TYPE DELTA」論

 
 昨今はゲーム会社も吸収合併やら何やらが続き、ブランド名としては残っているものの、会社組織としては別物である……なんていうのもよく聞きます。本作『R-TYPE DELTA』(以下DELTA)も、1998年にアイレムソフトウエアエンジニアリングより発売されたソフトですが、この会社は私が知っているアイレムとは違う会社だそうです。

朝ドラ『マッサン』で鴨居の大将がいっていたように、会社には従業員があり、従業員にも家族がいます。その人達を食わせて行かなければいけないので、多分それは仕方がないことでしょう。

ただ、私はいちゲーマーに過ぎませんから、そういった会社的な事情はわかりません。当時高校生だった私は「R-TYPE」という伝説的タイトルが現代のゲームとして復活したことを素直に喜び、アイレムという名称の入った会社から発売されたことに喜び、発売日に買って20時間以上やり込みました。それで十分でしょう。

その後「FINAL」と銘打った超・壮大な作品が発売され、こちらは60時間以上プレイしたので、DELTAは「過去のゲーム」のひとつとして遠い記憶のアーカイブにしまいこんでいたのですが……今回はそのDELTAについて色々と書いてみたいと思います。


それは新作


 本作は同時期に発売された『Gダライアス』と同じように(?)すべてポリゴンで造形されています。感覚的には旧来の横スクロールSTGなんですが、3Dで大型キャラが奥に手前にとグリグリ動くのは相当なド迫力でした。

 そして実際にプレイしてみると、ちゃんと『R-TYPE』だな、という印象でした。旧作(AC版IとII)の性能をミックスした仕様の機体が出てきたり、過去のボス敵が再び登場したり、さらには同社の別なゲームに出てきたキャラクタの攻撃を繰り出してくる敵が出てきたり……と、古参のファンにも訴えかけてくるものがありました。

 ゲームの難易度としては、かなり程よいレベルだと思います。地形にあたってもミスしない設定ですし、何もアイテムを取っていない状態でも第一段階のフォースがついた状態でスタートする「KIDS」モードもあります。さらにコンティニューも最初は回数制限がありますが、時間経過で? 最終的には制限がなくなるので、あきらめなければいつかはクリア出来るんじゃないかなと思います(最終ボスはちょっと特殊な状況で戦うので、地力が求められると思いますが)。


それは派生


 本作の時系列的な位置づけは初代と『II』の中間に当たります。いったんバイド帝国を壊滅させ、無事に帰還したR-9は宇宙要塞アイギスに格納され、戦いは終わった……かに思われましたが、その宇宙要塞アイギスにしまい込まれていた投下型局地殲滅ユニット『モリッツG』が地表に落下してしまいます。

本格的な破壊活動(惑星破壊プログラム)は始まっていないものの自己防衛システムにより何者も寄せ付けず、その周辺の市街地は壊滅状態になったため、軍は第一級非常態勢を発動。通常戦力ではまるで歯が立たなかったため、まだテスト段階にある次世代R戦闘機たちも出動の命令が下ったーー。

というわけで3種類の、異なる性能のR戦闘機を選択して発進するわけですね。一応、流れとして各機体の紹介をします。

その1:R9aII

初代R9をもとに大気圏内での運用を考慮し小型軽量化を推し進めた試作機。基本的には初代と同じフォースやオプション兵装を使いますが、波動砲に関しては後にR-9Cに採用される『拡散波動砲』の試作型が搭載されています。妙な癖がないので初心者からベテランまで安心してプレイできます。永遠のスタンダード(?)。

その2:RX

航空機メーカー・マグワイヤー社が開発した機体で、主翼がついているのが外見上の特徴です。搭載するフォースは『テンタクル・フォース』で、切り離した状態だと敵を自動的にサーチして撃ちまくる便利機体。くっつけた状態で放つレーザーは触手を広げると広範囲に、狭めると強力な攻撃になるなど、幅広い戦況に対応できるのが特徴です。搭載している『炸裂波動砲』は、波動エネルギーをワープさせて相手の内部で爆発させるという北斗神拳のようなシロモノです。発射するとバコーン! とすごい音が響きます。

その3:R13

軍事メーカー・ウォーレリック社が開発した意欲作。これまでのR戦闘機とは違ったコンセプトで作られたもので、一言で言えばとても攻撃的な設計となっています。搭載するフォースは『アンカー・フォース』というもので、硬い敵にぶつけると鉤爪が引っかかってダメージを与え続けるものです。ちなみに、あまりにも強力すぎるため遠隔操作ができず、この機体だけ光学チェーンによる有線制御となっています。この機体の波動砲は『ライトニング波動砲』で、放つとビシャーン! と言って稲妻が敵をサーチして攻撃します。これまた使いこなすと便利なんですが……。


 それは重厚


本当はもう一度プレイしなおして詳しいことを書くべきなのでしょうが、あいにくソフトが見つからなかったので、記憶を頼りに書きます。申し訳ありません。

それまでのシリーズと違い、初めてポリゴンで制作された作品である……というのは先述したとおりですが、それによって何が変わったか? というと、『重さ』が感じられるな、ということです。

それは別にゲームの進行がもっさりしているとか、そういう意味ではありません。3面に出てくる巨大輸送ユニット『ゲイツ』なんかがその最たるものだと思うんですが、いかにもデカくて重いものがズシン! ズシン! と大地を踏みしめているような雰囲気が伝わるのです。
分厚い装甲をバコーン! バコーン! と破壊しても、少しも歩みを止めない『ゲイツ』。通常兵器ではビクともしない重量感が、今にして思うと素晴らしいな……と思います。


 それは追憶


 本作では、そういった新しいシステムで構成されているものの、前作そして旧アイレムの作品をホーフツとさせる敵キャラや攻撃が出てきます。

 3面がステージ全体を通して巨大な敵キャラと戦う、というのもそうなんですが(これはほとんどのSTGの定番とも言えますが)、思わず声を上げてしまったのは4面ボス『Q.T.キャット』の繰り出してくる、切れ目のある輪っかレーザー攻撃。言うまでもなく『イメージファイト』の1面ボスの攻撃です。

 それを撃破すると飛び出した『何か』。それはよく見ると、第一次バイドミッションを完了させて帰還した初代R-9でした。そして次のステージからは、そのR-9を侵食したバイドによる『デルタ』パイロットへの精神攻撃が始まります。果たして現実なのか幻覚なのか? 正直よくわかりませんが、ステージの最後は大型キャラとの3連戦になります。

 そしてバイドの精神攻撃を振り切り、変わり果てたスタート地点(新型戦闘機の開発基地)で待ち受けるのはパッケージイラストにも描かれていた象徴的なボス『ドプケラドプス』。その凶悪さとおぞましさは前作の比ではありません。なかなか手こずると思いますが、これを撃破すれば次は最終ステージですから、何とか頑張りましょう。


 それは感動


どうして今回この記事を書こうと思ったのかというと、本作のサントラを聴いて色々と懐かしい思いがあったから……であり、当時あまりにも感動しすぎて熱いものがこみ上げてきたことを思い出したからです。私にとっては『泣ける○○』よりもよっぽど感動します。ちなみに、シューティングゲームで感涙したのは『Gダライアス』の最終ステージなどがあります(GENESISステージ)。

5面でいったん精神干渉を受けてダークサイドな方面に落ちかけるものの、それを振りきって帰還した6面。バイドに汚染されたR-9により基地は壊滅状態であるものの「人類の希望の跡が、そこにある。光はまだ消えていない」(解説書より)のです。そして最終ステージーー異層次元の奥に巣食うバイドコアを追いかける途中でパイロットが見るのは、人類が創りあげてきた文明の形でした。

後の『FINAL』では……男女が出会い、結ばれ、交わり……という生命の育みがイメージ映像として現れますが、それとは違った意味で感動的でした。FINALの方は非常にプリミティブなイメージなんですが、DELTAの方はもっと文化的な、今この場所まで来ているR戦闘機を作り上げた科学者たちの知恵が投影されているような感じがします。

「人類が流してきた膨大な血と涙が、最後のフォースとなる。Last dance !」

あの特殊な状況での戦いも、そういったイメージが心の支えになればこそ、切り抜けられたものだと思います。戦いのあとどうなったかは……皆様ご存知のとおりです。


それは系譜


色々と書いてきましたが、そろそろこの文章も締めくくりたいと思います。

本作は私が発売日に定価で買った数少ないソフトである……ということは先述したとおりですが、同時に初めてクリアした「R-TYPE」シリーズの作品でもあります。そして『FINAL』まで出尽くした同シリーズの中では、外伝的作品となる「LEO」と並んで、特に好きなタイトルであると言えます。いや、どのタイトルも好きなんですけどね。AC版はちょっと難易度がシビアすぎるし、『FINAL』は超大作過ぎてプレイするのに踏ん切りが必要だし、『III』はソフトを持っていないし……ってね。

あとはストーリィ的に、結構、希望を持てるからでしょうか。このあと第二次第三次バイドミッションがあり、その後色々あってオペレーション・ラストダンスをもって完全決着となるようですが、あえてそういうことを考えずにこの戦いだけを見れば、一応平和を取り戻したことになるし。

旧アイレムから版権を引き継いだ新アイレムも、色々あってバーチャルコンソールでの配信は終了、公式ホームページも消滅……となっていますが、そういった会社的なことはわかりません。とりあえず私はDELTAが大好きです。



 


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