私と破壊――「パワーホイールズ」論
これが2004年最後の更新となります……。一応、月イチ位のペースで更新したいので、なんだかどれだけの方に見てもらえるのか知りませんが、一応書きます。
まず「パワーホイールズ」ってなんじゃい、という質問についてお答えします。定例ですからね。……え〜と、これは1991年にタイトーから発売されたドライブゲームです。筐体は確かふたり分の座席がくっついて一体化したようなもので、操作はハンドルと2ペダル、それにロー・ハイの切り替えにターボがついた、タイトーおなじみのタイプです。
ちなみに今「ターボ」と表現しましたが、これでは「フルスロットル」以来の「ニトロ」ボタンとして機能しています。スイッチひとつで爆発的に加速する、という意味では、やはりニトロのほうがしっくり来るような気がします。余談でした。
……で、このゲームは自車が、モンスタートラックっていうんですか? こう……「ワイルドミニ四駆」みたいな、でかいタイヤでパワフルに走りまくる改造車ですね。アレで爆走します。空気抵抗がどうとか、レスポンスがこうとか、どんどんリアル志向になっていく最近のレースゲームが女々しく思えてしまうくらいワイルド&パワフルな感じです。
ストーリーは……まあ、あってないようなもんです。ただ車が2種類ありまして、それによってドライバーが違います。一方はリーゼントの若者で(私は勝手に「マー坊」とあだ名をつけました)、一方は革ジャンひげ面サングラスなむさ苦しい野郎です(私は勝手に「ワイルド」とあだ名をつけました)。そのふたりがレースで対決をする。そんなもんです。
コースは初級・中級・上級とあります。クロスカントリーレースであったり、マッド何とかレースであったり、凍結路を爆走するレースであったり、まあそんなこんなでいろいろありますが、どのコースを選んでも「時間内にチェックポイントを通過しろ!」といった意味合いのことをお姉さんに言われます。もちろん水着姿とか何とかではありません。Tシャツにサンバイザーがとても健康的でいい感じです。別にほめるところではありませんが。
で、そんな説明の後、プレイヤーさえもどこかに置き去りにして、ちょっとオーバーヒート気味にエキサイトしている? ナレーターの声を聞きながらレースがスタートします。なおこのゲームでは当然、ライバル以外の人たちもたくさんいるのですが、体当たりで蹴散らしていくことが可能です。当たったら爆発するとか、当たったらスピンするとか、そんな心配は一切無用! 目ざわりだったら自分からぶつけて消してやりゃOKです。
もちろん、若干耐久力が高いものの、ライバルも同様に蹴散らすことが可能です。蹴散らされたライバルは悔しそうに歯噛みをしますので、悠々と抜いていきましょう。ただしライバルは3秒あればこちらを追い越していきますので、蹴散らしたと思っているとゴール寸前で抜き返される、なんていうこともしばしばあります。
要は、まあシンプルに破壊を楽しむのが第一義なんですが、ライバルに関しては仕掛けるポイントも重要になってくるわけですね。復帰できないくらいゴールに近いタイミングで相手を破壊する。そのあたりはちょっと難しいかもしれませんが、まあそこは「慣れ」ですかね。
……といった、いわゆるまともなレースのほかに、もうひとつちょっとコンセプトの違うレースが選択できます。。その名も「破壊レース」……まあ、読んで字のごとくなんですが、スタジアム内に作られたコースを、そこかしこにある看板やドラム缶や自動車などを破壊しつつ爆走するゲームで、勝敗は速さよりもむしろ「どれだけ物を壊せたか」と言う部分となっております。
このレースでもライバルは非常に速く、速いってことは先にものをバキバキ壊されるものだから、最初のラウンドではなかなか勝ちにいけません。ですがこれは2回勝負の合計で競われますので、1回戦であんまり稼げなかったからと言ってがっかりせずに、2回戦に進むこととしましょう。
2回戦は舞台を高速道路に移します。与えられたミッションは「できるだけ多くの車を踏み潰してください」といった具合のものでして、要はそこら辺を走っている車をできるだけたくさん破壊しろというわけで、あとでお巡りさんに袋叩きにされるんじゃないだろかと思ってしまうくらい過激なレースと相成っております。
当たったら爆発した、とか当たったらスピンした、当たったら速度が落ちる……まあ、通常のレースゲームであれば、他の車にぶつかっていいことなんてあんまりないはずですが、このゲームでは積極的に踏み潰すことが求められます。なので普段、もろもろのゲームで他車に阻まれて苦汁をなめさせられた方、日ごろ渋滞でイライラされている方は、ぜひこの「破壊レース」で鬱憤を晴らしていただきたいと思います。
今から10年以上前になりますか……。当時はあまりまじめなレースゲームはやらず、もっぱら「チェイスHQ」みたいな、ちょっと変わったレースゲームを好んでプレイしておりました。
いまやそのゲームを遊んだゲーセンもなくなり、世にはリアル志向、スポーツカーばっかりのレースゲームが氾濫しています。しかしながらコナミ(だったかな?)から以前、タイトルは忘れましたが同じようなモンスタートラックで走りまくるレースゲームが出ました。また破壊の爽快感は、セガの「クレイジータクシー」なんかが、似たようなテイストを出しているような感じがします。
そういう、細かいテクニックを蹴散らして、パワーでガンガン押していけるような……もっと言えば、他車は避けるものではなく当てるもの。そんなラジカルな思想を与えてくれたタイトーの一連の(変り種)レースゲームが、私は大好きです。
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