私と80年代ファンシーメモリー
「おにゃんこTOWN」論




 
 
 私はこのゲームを最初にどこでやったかといえば、親戚の家でした。今からもう20年ほど前でしょうか。いくつか上の従姉ではあるのですが、 当時の少年少女のたしなみとしてファミコンがあったので、私もいくつかのソフトをやらせてもらいました。


 当時は今ほどひとつのゲームにのめりこむことはなかったので、あまりやりこんだという記憶はありません。従姉の方もファミコンなんて…… と言ったかどうかわかりませんが、いつのまにかファミコン自体なくなっていて、そのまま10年以上が経過……。

 各社から発売されたFC互換機のおかげなのか、ファミコンカセットが容易に手に入り始めた21世紀初頭、捨て値でガッサガッサと買いまくった ソフトのひとつとして、再びプレイする機会がありました。

 しばらくプレイして出した結論は、

 「努力すれば楽しい」

 ということ。

 ただし、ここで言うのは、「難しいゲームだから、努力して攻略すれば楽しくなってくる」というわけでは なくて、「積極的にこれは楽しいと思えば楽しいと思える」ということです。全然褒めてないじゃん、と言われそうですが、それが 私の感想でした。

 ゲームがプレイヤーに(楽しむことの)努力を強いる。それは見方によっては「ツマンナイ」ゲームだと言われても仕方ないのかもしれません。

 ただ、私にとっては当時の思い出補正もありますし、そう簡単にポイするのって、あのころ従姉たちと一緒に遊んだ記憶までポイさせられるような気がして、 どうも嫌なのですね。

 それに、基本的にはシンプルなアクションゲームですからね。煮ても焼いても食えないようなものなら、さすがの私も手におえない、ってなことになるでしょうけど、 これはアアだコウだ言いながら何とか遊べるところまでやりこむことが出来ましたし。せっかくだからちょっと記事を書いてみようかな、と思ったのが5年前か……(2011年6月現在)。


   誰も信じるな


 概要としては、家から出て行ってしまった子猫を探して母猫が街中を探し回る→でもって見つけたらその子猫を家に連れ帰る、といった ものです。

 ところがこの猫の親子が住まう街に同じ種族の者は誰もいなくて、犬と蛇と人間が支配するところであるため、誰も味方をしてくれない どころかそういった者たちに触れた瞬間、母猫はやられてしまいます。どうやら彼らは、よほどこの異分子を排除したいようで、とにかく 執拗に追いかけ続けます。しかも多勢に無勢とはよく言ったもので、もたもたしてるとあれよあれよと言う間に3〜4匹の犬たちが各路地を 封鎖し、追い詰めてくるものだからたまらない。

 また、後述しますがマンホールを開けた時に蛇が出てくることがあります。閉じればまあ、ふさがりますが、同じところをまた 開くと出てくるので、落としっぱなしの犬たちよりも難易度が高いですね。あと個人的に……蛇、嫌いなんです……。

 加えて国道を走る自動車。これなんかはまあ、猫が道路を横断しようとしていたとしても、1kmたりとも減速せずに突っ込んできます。 なので交通安全、右見て左見て安全を確認してから渡らなければなりません。損害賠償はありません。 この街では自分のみを守ることが出来るのは自分だけなのです。


   戦え、生きるために


 さて、こんな「ランボー」のごとき多勢に無勢状況でどのようにして生き延び、なおかつ子猫を自宅まで連れ帰るのかというと、第一に 、先ほどちょっと触れましたが、道中にあるマンホールに犬たちを落とせばOKです。このあたりがちょっと「平安京エイリアン」のよう ですが、そちらの検非違使と違うのは、この母猫は超遠距離からでも直線上であれば念力でマンホールのふたを操作できると言うことです。

 もっとも、穴をあけておけば適当に落ちるタイプと、穴が開いていれば避けていくタイプがいるため、後者を落とすためには若干 引き付けてから穴をあけると言う技術が必要になってきます。ちなみに連続で落とせばそれだけ高得点が狙えますが、あまり欲張りすぎる と穴から這い出してくるため、狙ってやるのはせいぜい2〜3匹程度にとどめておいた方がいいのかもしれません。

 また母猫はこの超能力(?)に加え、基礎的な身体能力も犬たちより高めであり、ジャンプをすれば1ブロック分の障害を飛び越えるほか、 敵自体や自動車を飛び越えることも出来ます。なので、一本道で両側から敵に挟み撃ちにされた場合に(飛び越えた瞬間相手が方向転換してやられることも 多々ありますが)逃げ出したり、車がすっ飛んで来た時に飛び越えると言うアクションをすることも出来ます。結構どうにかなるのです。


   お魚くわえた雌猫……


 そしてこのゲームには、「パックマン」で言うところの「パワーエサ」に相当するものがあります。それは魚屋の店先に並ぶお魚であり、 これを食べるとメロンシロップみたいな色に変化します。そしてこの状態の時は犬に触れても大丈夫であり、それだけでなく犬を一定時間 しびれさせることが出来ます。

 ただ、先述したようにこの街では肉親以外すべて敵であり、お魚を取ってパワーアップしてもなお無敵状態、というわけにはならないのが この世界の恐ろしいところでありまして、魚を取るということはそれまで中立を保っていた「人間」をも敵にまわすと言うことになります。

 包丁片手に追いかけてくる魚屋は、犬たちよりも若干足が速く、しかもなぜか穴に落ちないという特殊能力があります。一応、画面外に出してしまえば 消えてくれるのですが、パワーアップするメリットだけでなく敵が増えるデメリットもあるというのが、よく考えられたところです(?)。


   家に帰るまでがゲームです


 さて、そんなこんなで自分の町なのに決死の逃避行を繰り広げ、フィールドのどこかでヨチヨチ歩いている子猫を見つけたら、すぐに確保しましょう。

 迷子の迷子の子猫ちゃんも見つかって、よかったよかった……とはならないのが、このゲームの恐ろしいところ。見つけたら子猫を背負って、ちゃんと家まで たどり着かなければなりません。しかも子猫を背負っているためか、移動速度は遅くなるしジャンプは出来なくなるし……と、格段に難易度がアップしてしまいます。

 そのため、結構アドリブでも何とかなる前半部に対して、後半部は、状況によってはかなり早い段階で1ミス確定となりかねないわけですね。う〜む……。


   おにゃんこって……ああ、そのおにゃんこですか


 基本的にはエンディングと言うものはなく、ひたすらこんな感じのアクションを続ける内容となっています。一応、時々フィールドに現れる得点アイテムを窃盗して いくと、どんどん得点が上がるので、そういう楽しみ方は出来ますが、プレイ前に「今からオレはこのゲームを全力で楽しむぞ!」と自分に言い聞かせてから コントローラを握り締めるとか、そういうのがないと長続きしないかもしれません。これは、いくらこんな文章を書いてきた私でもそうです。恐らく20年前の思い出が なかったら、未来永劫こんな記事を書くことはなかったでしょう。

 ついでに言えばこのタイトルが、当時大流行していた「おニャン子クラブ』にあやかってつけられたものである、という推論がこの世にあるということも知らずに 生きていたことでしょう(私はそもそもおニャン子世代ではない)。そういえば発売元もポニーキャニオンですしね。

 従姉も、恐らくですが、別にそっちの方を意識して買ったわけではないでしょうからね。女の子がどういった動機でファミコンソフトを購入するのか、というのは あいにく私には想像もつかないのですが、たぶん……パッケージの猫の絵が可愛いからとか、そういう感じだったんじゃないかな、と思うのです。

 まあ、ともあれ、こうしてひとつの形にしたので、私の気持ちの整理もつきました。私の中での「おにゃんこTOWN」とは、半分くらいが個人的な思い出で 出来ているようです。
 

 


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