私と「良作」の意味を考える
――『忍者龍剣伝III〜黄泉の方舟〜』論
 



 
 あれ? 難しい?


 本作に関しては、同じく名作として今もなお愛されているアクションゲーム『ロックマン』とのカップリングで記事を書いたことがありますが、改めて読み返してみると 言葉がなんか雑だし中身も雑だし、読みづらいなあ、と思いまして。中身が雑なのは仕方ないにしても、せめてもう少し読みやすい文章でお伝えしたいと思って、今回この 記事を書きます。

 あと、ふと思うところあって、ファミコン版のI・II・IIIを続けざまにプレイしてみたところ、なぜかIIIだけは制限時間(出勤時間)内にクリアすることが出来ず、 挑戦は翌日に持ち越しということになってしまったのですね。

 かつて「IIIは簡単」「初めてやるならIIIだね」「ラクショー」などと記事を書いていましたし、他の方もそのように語っておられるようですが、逆にそう言った先入観が プレイを妨げていたようです。簡単だからさっさとクリアしよう、なんて、中途半端な気持ちで挑戦するからダメだったのです。

 翌日、心を入れ替えて丁寧なプレイを行ったところ、前日に数十度トライしてもダメだった場所が、割とあっさり攻略できました。

 前作、前々作と比べて、できることが多くなったのは確かですが、これはこれでやっぱり『龍剣伝』らしい難しさがあるし、それゆえに面白い。そういうことなのです。


龍の物語、ここに完結する


 というのは、カセットの箱に記載されたキャッチコピーです。ただし時系列的には「I」と「II」の間に起こった事件を取り扱っています。

 ちなみに私はそのあたりのことが理解できず、説明書のストーリィを読んで「アシュター(「II」の悪役)って、もう倒したはずなのに」「誤植だな」と、 あろうことか開発元のテクモ様に怒りをぶつけようとしたこともありました。おかしいだろそれ!

 まあ、それはさておき、物語は「I」の半年後。CIAアナリストとして邪鬼王事件の調査をしているアイリーンが、何者かに追われるところから始まります。 逃げて逃げて逃げまくって、たどりついたのは断崖。

 「どうした、もう後がないぞ」

 不敵に笑いながらアイリーンを追い詰める男……それは青い忍装束姿の、見覚えのある男でした。

 「リュウ……どうして、あなたが……」

 たまらず、後ずさりしながら問い掛けるアイリーン。……その時ふいに足元が崩れ、あえなく夜の海に消えてしまいます。その後、リュウ・ハヤブサは アイリーン殺害犯として全国指名手配のお尋ね者となってしまいますが、もちろんそれは濡れ衣です。リュウの名を騙る何者かがアイリーンを亡き者にしたのです。

 指名手配のアミをかいくぐり、やがてリュウはアイリーンが調査していた謎の研究所に行き着きます。そして真相を確かめるため、その施設に潜入する……という ところから、ゲームは始まります。

 (ココから先は、記事の性質上、ストーリィに関しても色々と触れると思いますので、ご了承ください)

 ストライダー・リュウ


 本作のリュウは前作に引き続き、壁に張り付いたまま上り下りが自由に出来ます。さらに空中の足場に「ぶら下がる」こともできるので、かなりアクションの自由度が 高いです。『ストライダー飛竜』にも負けません。というか、アレにそっくりになった、という気がします。

 攻撃力の面では、まだ忍法影分身を覚えてはいないものの、本作では『龍剣』がパワーアップします。アイテムを取ると剣を振った時の攻撃範囲が広がり、通常なら しゃがまないと斬れないような敵も立ったまま斬ることが出来ます。

 結構、これが重要なんですよね。とにかく「目の前に敵がいたら斬る」って感じで、テンポもよくなるし、難易度も変わってきます。ただしこれまた『飛竜』の武器 「サイファ」によく似た性能である、というのも否定しがたいところ。まあ、私がかってに「似てるな」って思ってるだけなのでしょうけど。

 あとは、これらに加えてポイントを消費して繰り出す数種類の忍術があります。状況によって使えたり使えなかったりするのは当然ですが、個人的には上下に半月状の 刃を繰り出すものと、斜め上に炎を撃ち出す毎度おなじみ「炎波の術」がお気に入りでした。


 黒幕、ふたたび


 1面クリア後に現れる謎の男にいきなり「キャッスルロックに行け」と言われ、ほかに手がかりもないのでとりあえずキャッスルロックという名の何かに向かうと、 今回の黒幕が現れます。……それは半年前に邪鬼王撃滅の依頼をしておきながら、それが完了したと見るやアイリーンにリュウの始末を命じた典型的悪党「フォスター」です。

 今回は邪鬼王もヨミの一族もいません。より強い力を求める、よく映画に出てくるような『人間』が敵です。そしてそのためなのか、全体的にステージも敵もメカニカルな ものが多いのです(……ということを、最近プレイして考えられるようになりました)。

 一通りプレイしていて、今回すごく厄介だったのは、プレイヤーにゆっくり寄って来る小型ヘリ。画面の上下からスッと現れ、そこからゆっくりゆっくり近づいてくる のですが、足場が狭いところなどではかなりいやらしい存在となります。初代と違って、一度倒せば出てこないので、少し画面をスクロールさせて忍術か何かで倒した後、 ゲームを進めるのが得策です。

 なお、前作、前々作で有野課長を初めとする多くのプレイヤーを苦しめてきた『鳥』は、同じ動きをする敵が出てきますが、サイズがかなり大型化しているので 比較的対処しやすいです。まあ、「倒しやすいけどかわしづらい」というところがあるので、厄介なのは厄介ですが……。


  アクションの初代、ストーリィの二代目、ヴィジュアルの三代目


 本作は当然ながら『龍剣伝』シリーズ最後発の作品なので、名物のテクモシアターも格段にパワーアップしています。従来と比べて、ヴィジュアルシーンがかなり多く、 演出面では最高の盛り込みと言っていいのではないでしょうか。

 そしてテクモシアターの進化はすなわちアイリーンの可愛さの進化でもあり、オープニングでもついに顔のアップが出てきます。初代では謎めいた雰囲気を漂わせ、 『II』ではさらわれるヒロインの立場でしたが、今回はまた本来のCIAアナリストとしての姿で登場。

 確かにそのためにオープニングでいきなり夜の海に消えることになってしまうのですが、そのあと別な形で再登場するので、頑張ってプレイしましょう。まあ、 どのアイリーンが好きかというのは個人の好みもあるでしょうから、あまりゴチャゴチャ言うつもりはありませんが……やっぱり私はこのアイリーンが好きです。


『間口は広い』けど『簡単』ではない


 一般に、『忍者龍剣伝』シリーズは初代が一番難しいといわれますが、その一方で初代なりの抜け道があります。たとえばスクロールアウトで敵キャラを消したり、 忍法『回転斬り』が異常に強かったりと、ガチガチに組まれたプログラムの隙をつくような技があります。そのためパターンを組めば、確実にクリアできます。

 『II』も影分身が出せるようになったり、壁を上下操作で移動できるようになったりと、それなりに難易度は下がりましたが新しいギミックもたくさんあり、 これはこれで難しいといった印象です。三代目にも。できることは増えただけで、難易度が下がったわけではない。それなりの心構えで挑まないと、やっぱりダメなのです。 それが私にとっての『忍者龍剣伝III』でした。
 
 

 


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