私とネオジオ――もっとも身近なアーケードゲーム
第二回 世紀末ド派手忍者伝説――「ニンジャコンバット」
このゲームについては、新しく書いた記事もあるので、こちらもご覧ください
初めに皆様に、言っておかなければならないことがあります。
このゲームは、私が初めてネオジオで遊んだゲームです。その時はまだ小学生で、ただ素直に楽しかったことを覚えております。
とりあえず、何でも初めて遊んだゲームと言うのはそれなりに印象深いものですよね。
それでなくても私はMD版「究極タイガー」が結構好きだったりする者です。「シルフィア」とか「電忍アレスタ」とかもかなり好きだったりします。「マイケルジャクソンズ・ムーンウォーカー」などにいたっては100%純粋まじりっけなしで大真面目に大好きだったりします。
というわけで、この忍者龍剣伝……あ、いやいや、「ニンジャコンバット」もまじめにレビューしたいと思います。
199X年ッ! ネオ・ニンジャシティは悪の忍者「幻妖斎」率いる影一族に襲われたッ!
と、なんだか千葉繁さんの声でぜひナレーションしてもらいたいようなストーリーがあるそうです。んで、その幻妖斎を倒すために正義の忍者? である忍一族の生き残り・ジョーとハヤブサのふたりが、この悪の親玉がデンと座っているNINJAタワーへ向かう、と言う感じです。ちなみにあくまでも「ニンジャタワー」ではなく「NINJAタワー」です。
最初に選べる人は、
「あれがNINJAタワーか! こいつはちょっとした要塞だぜ!」
「おれには、ちっぽけな小屋にしか見えないがね!」
と微妙にかみ合わないところもある(?)忍者ジョーとハヤブサのふたりだけですが、ゲームを進めていくと仲間になってくれる人がいます。すなわち、
ベレー帽をかぶった白髪のサムライ・ムサシ!
金髪で白装束の、見るからに幻想的な感じのお姫様・カゲロウ!
他のキャラの2倍くらいのサイズがある、まるで後に出る、屁をこいたり鎖鎌を振り回したりする巨漢忍者のごとき……え〜と……まあ、そういうやつ! 名前はゲンブ!
と、まあそれぞれ個性のある5人を使ってゲームを進めていきます。基本的にはベルトスクロールタイプのアクションです。シュッシュッシュッと手裏剣を投げたり刀や剣を振ったり拳を振るったりすると、相手は「うあ〜」「ぐあ〜」「ぎゃああ〜」などとゴールデンアックス並の断末魔を上げてやられます。なお武器などもあります。基本的にはヌンチャクが圧倒的に有効で、それ以外はお好みでどうぞと言った感じです。
1面は遊園地でしょうか。ここは割合短いですし、敵もそれほど凶悪な感じではないので、まあクリアは可能でしょう。ボスは
こういう感じのやつです。得意技は腕を伸ばしてくる、名づけて「ズームパンチ」ですがそんなに極端に強いわけではなく、一所懸命に手裏剣をぶつけていると爆発し少しずつ消えていきます。もちろん、「うがあああ〜!」と絶叫しながら。
……で、ここからは後にネオジオCDなんてぇマニアックなハードを所有している友人宅で遊ばせてもらった際の感想です。すばらしいですね。このゲームは他機種に移植されてないだけに、これ以外にもさまざまなゲームを遊ばせていただきました。
最初――というのはアーケードで遊んだ時――、2面開始早々、即座にやられてしまった際は自分の技量の低さ故なのかな、と思っていました。
しかしながら、どうもそうではないような気がしてきました。
普通この手のゲームではある程度攻撃を加えると敵がダウンして、一呼吸置けますよね。「ファイナルファイト」しかり、「アンダーカバーコップス」しかり、また「ダイナマイト刑事」しかり。起き上がり際にアタックボタンを連打して更なる打撃を加えたり、あるいは敵の起き上がり攻撃を警戒しつつヒットアンドアウェイでやったり……。
ところがこのゲームはとにかく敵が倒れないんです。0.1秒くらいしかひるまずにドンドン突進してきます。しかもそれだけ耐久力があるやつは、たいてい攻撃力も一撃必殺のすさまじさであり、連打もむなしくやられてしまうことがしばしばです。
つまりこういう感じです。
シュッシュッシュッ (手裏剣を投げる音)
ドヒュッドヒュッドヒュッ (敵が食らってフラッシュしている時の音)
ドヒュッ (プレイヤーが攻撃を食らった音)
「うああ〜!」 (プレイヤーの断末魔)
この間、ほんの数秒程度と思っていただければと思います。下手するとやられて、復活して、2秒くらいでまたやられることもあったりします。もしゲーセンでこれをクリアしようとしたら、おびただしい金額が飲み込まれたことでしょう……ゲーセンでクリアした人っているのかなぁ。
で、何だかんだ言いながら、どこか常識を逸脱したような人たち及びからくりだらけのNINJAタワーの最上階に行くと、最終ボスの幻妖斎というじいさまが出てきます。最初は普通の人間ですが、ある程度ダメージを与えると「西遊降魔録」のラーヴァナのごとくいきなり首だけになって空をとび、そして後の「X-MEN vs ストリートファイター」にも大きな影響を与えた? 巨大化! して襲ってきます。壮絶に強いです。ここだけでどれほどのクレジットを投入したことか……。
……で、そのむちゃくちゃなボスを倒すと、ようやくエンディングです。
戦いが終わり、悪と恐怖の象徴であったNINJAタワーは崩壊した。「これで少しは静かになるだろう」――そうハヤブサがつぶやいた時、ふと道中で仲間になり、ともに戦った3人の姿にないのに気づいた。
「そういえば、あいつらはどうした?」
そのころすでにムサシ、カゲロウ、ゲンブの3人は、それぞれの場所にいた。
「さよなら、ジョー!」
「あばよ、ハヤブサ!」
「また会う日まで……」
「どうやら、いっちまったみたいだぜ」
別れの言葉もかわさずに、いつの間にか姿を消した彼らにジョーはかすかに笑った。
「……それじゃあ、おれたちも」
「帰るとするか!」
彼らは帰っていく。それぞれの場所へ。
戦いは終わった――。
大まかに言ってこんな感じです。道中の熱血ハチャメチャぶりを冷ますように、恐ろしくあっさりしたエンディングとなっておりますが、これくらいでちょうどいいのかな。結構、感慨深いことは確かでしたしね。……いや、私だけかな、ひょっとして……。
結論。このゲームは……笑うところが1パーセントもない大真面目なゲームです……と言おうと思いましたが、やりこんでいくと、ちょっと「どうかしている」ようなキャラクタが続々出てきて、硬派な壮絶忍者アクションはステージ2か3くらいで崩壊し、身ひとつで走る電車を止める人が出てきたり、(別に子犬がいるわけでもないのに)、ミサイルを小脇に抱えた「おかめ野郎」(byジョー、またはハヤブサ)が出てきたり、もはや百鬼夜行、狂気の万国びっくりショーといった有様であります。
おまけに崩壊しているのは世界観だけではなくてゲームシステム自体もだったりするわけで……やはり回復アイテムが序盤の序盤にしか出てこないとか、2秒でやられてしまうとか、いろいろ「どんなもんかねぇ」と言うところがあると思うのです。
だからアクションゲームをやる楽しみ、みたいなのはちょっと「どうかなあ」と言った感じです。たぶん、「初めてやった」というプラスアルファがなかったら、ここまでやりこまなかっただろうなあ。
というわけで、全然忍んでないたぐいの忍者が好きな方、これまでのイメージを粉々に破壊した忍者が好きな方、あるいはもっと単純に奇妙なものが見たい方などはプレイすることをお奨めします。ただし「バカゲー」という言葉は私は好きではないので、ここは「怪作」という言葉を使おうかなと思います。
あ、そうそう、なんかカタルシスがほしい方もやってみてはどうでしょうか。道中の極悪な世界を潜り抜けた後に訪れる静かなエンディングを見ていると、たぶん不思議なほど心が落ち着いているんではないかなと思います。
おまけ:
このゲームは、敵1匹が1点とか2点とか、そういう感じで増えていきます。だから最終的には数千点とか、そんなくらいまでにしかなりません。そこでふと、もし「ゲームセンターあらし」にこのゲームが出てきて、
「あらし! この『ニンジャコンバット』で先に50万点出した方が勝ちだっ!」
とか言うことになったら大変だろうなあと思いました。まあ、初期の頃ならともかく末期には
「真空ハリケーン撃ちだぁ〜!」
「おおっ、一撃で20万点突破〜〜!」
とかってなるんでしょうが……。
さて、次回取り上げる予定のゲームは、初めてネオジオと言うハードのすごさ、その存在感を見せ付けられるきっかけとなった格闘ゲーム「餓狼伝説」。巷間では何やら『ストリートファイターII』の模倣、まねっこ、パックリ……などと散々言われていますが、いろいろあって私にとっては、こちらの方がより好きです。キーワードは「んんんんんー、許るさんー!」。
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