私と20年越しの攻略
 ――『Mr.HELIの大冒険』論


 このゲームは、私にとってはトラウマゲーというか……小学生のころに触れて、コテンパンにやられて、それっきりとなっていたゲームのひとつです。

 1989年に旧アイレムより発売された本作は、その2年前にアーケードで発売されたシューティングゲームの移植作品です。ただしアーケード版は一度もプレイした ことがないので、ここではPCエンジン版の内容を書いていきたいと思います。

 ある惑星から発せられた救難信号を受け取った自機『Mr.HELI』(が所属する部隊)が、マディー博士の野望を打ち砕くべく文字通り縦横無尽に飛び回るゲームです。 横方向に撃ちまくるショットと、上下方向に撃つミサイル・爆弾を使いこなしながら先に進みましょう。


 見た目はカラフル、難易度はグレイトフル


 最初に思ったのは、なんだか「親しみやすいな」ということ。――小さいヘリコプターに手足が生えたような自機も可愛いし、それが飛び回る世界も(少なくとも ステージ1は)自然豊かで、どちらかというとファンタジックな印象がありました。

 それに、難易度もまだ1面のうちは控えめで、順調に水晶を取って買い物をしていけば、そこそこの火力になりますからね。バリバリと撃ちまくって、爽快感のうちに クリアすることが出来ます。


 ところが、それが早くも悪夢に変わるのがステージ2です。

 このゲームは、自機の動きがとても遅くて、そのくせ障害物がやたら多くて……そのために、敵の攻撃でエネルギーがなくなってしまうミスよりも、動く壁や床などに 押しつぶされてミスになることが、やたら多い気がします。

 小学生のころは、超高速で天井または床に自機を押し付け圧殺させる2面後半の火山ゾーンを切り抜けられず、それっきりとなってしまいました。


 あれから20年以上が経った2011年、再チャレンジしたところ……何とかここは突破しました。

 しかしながら、このステージのボスに、何度も何度も何度も何度も押しつぶされて、やる気も雲散霧消してしまいました。


 やっぱり無理か……とあきらめかけたのですが、とにかくクリアしたいという気持ちが自力攻略をヨシとするプライドをねじ伏せてしまったようで、youtubeで他の人が どうやって攻略しているのか? というのを実際に見て、それを参考にすることにしたのでした……。


 ギリギリの難易度


 動画を参考に、何とか2面ボスを攻略、20年経って初めてステージ3に突入したのですが……不思議なことに、3面以降はあまり詰まる場所がありませんでした。 確かに道中の敵の攻撃やギミックはなかなかいやらしいですし、ボスはボスで結構強いので、コンティニューも使いましたが、それでもあれよあれよという間に ラストステージに到達。最後に控えるボスを一息に倒し、エンディングを迎えてしまったのでした。

 まさか、このゲームのエンディングを見られる日が来るなんて……。と、実際に画面を眺めながら、少しふわふわした気持ちでいました。もちろん全2周のうちの 1周目をクリアしたに過ぎないのですが、達成感はとても大きなものでした。アレですね、『忍者龍剣伝』をクリアした時くらい。

 ということは、まあ『詰まるところはなかった』といっても、決してイージーではない、ということ。20年分の『シューティング頭』を駆使して、ある場所は手探りで 恐る恐る進み、またある場所は火力にまかせて大胆にバリバリと突き進む……そして初遭遇のボスの攻撃にドキドキしながら何とかパターンを見つけ、そのパターンから 外れないように手に汗を握りながら……。

 要するに、同時期のアイレム超難易度シューティングである『R-TYPE』『イメージファイト』と比べると、どうにかなる難易度と言うことでしょうね。もちろん ノーミスで快調に先に進むと、明らかに敵の数や攻撃の激しさがアップしていますが、ミスすると敵もちゃんと手加減してくれますからね。やられたり、コンティニュー したりしながらでも、粘れば確実に先に進めるような気がするのです。


  アイレムらしさ、てんこもり


 この時期のアイレムのシューティングと言うと『R−TYPE』であり『イメージファイト』ですが、その両者にも通じる雰囲気が、このゲームにはあります。

 まずBGMは、こんな可愛らしい見た目ではあるものの、意外と冷たくて暗いところがあるんですよね。各ステージの中ボス撃破後にある、ボス部屋に行くまでの 道中とか、ステージ3とかね。どちらかというと『イメージファイト』に近いような印象です。もしかしたら、作曲した人が同じとか、そういうことがあるのかも しれませんが、素人なりの印象として、そう思いました。

 あとは、基本的なゲーム性ですね。弾の速さとかではなく、ステージのギミックとかでこちらをやっつけようとするパズル感覚のゲーム性。どういう風に進めていくかを じっくり考えて、パターンを組んでいかないと、文字通り押しつぶされて終了となってしまいますからね。ハドソン系シューティングの、何も考えないで撃ちまくる たぐいのゲームの方が好きではありますが、こういうのも面白いなと思うのです。

 この『パズル感覚』ってのは、やっぱり人を選びますよね。そんなの嫌い! っていう人にはたぶん受け入れられないだろうし、ネチネチとやられながらも頑張る タイプの人は、大好きで大好きで仕方がないっていう風になるでしょうし。……私の場合は、どっちなんだろう。そこそこのレベルまでは夢中になるんですが、ある程度 粘っても糸口が見えない時はあっさり放り投げる潔さ(?)も併せ持つのです。

 それはさておいて、今はPCエンジン版がWiiのバーチャルコンソールで遊べるので、腕に覚えのある人はプレイしてみてはいかがでしょうか。アーケードモードなら ゲーセンで鳴らした猛者も満足いくでしょうし、そうでもない一般の方ならノーマルモードを選べば、十分に楽しく遊べます。

 

 


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