THEメイド服と機関銃

私とメイドとタイムパラなんとか
――「THE メイド服と機関銃」論

 
 最初に、どうしてこのソフトを買ったのか、言い訳をさせていただきます。

 かつては一部のオタクたちだけのものだった『メイドさん』が急速に世の中に浸透し、一般ニュース番組でも エプロンドレスを着た女性が放送されるような時代を生き抜くためには、そういったものに対する免疫をつけて おかなければいけない。そう思って、一番あざといタイトルがついたコレを手に取ったのでした。

 実際やってみて、どうだったのか。……これが、結構、遊べたんですよ。

 まあ、ゲームとしては一流ではありません。SIMPLEシリーズですからね。手間もお金もかかっていないような 感じです。

 それでも、後にソフトの買値より高い攻略本を買ってしまうくらい、気に入ってしまいました。とりあえず、 いいところもそうでないところも含めて、ちょっと書いていきたいと思います。


 メイド・スタイリッシュ・アクション


 三人称視点でプレイヤー『ユウキ』を動かし、立ちはだかる敵を銃撃と斬撃で蹴散らし敵を殲滅する…… というのが基本的なゲームの流れです。

 ちょうどこのころ『鋼の錬金術師』をプレイしていたので、ほぼ同じような操作感覚だった本作のシステムには 割と早く順応することができました。走って撃って斬ればいいのね、って感じで。

 もちろん撃つにしても斬るにしても、操作しだいでいくつかのパターンがあるのですが、それらをさておいて 本作ならではのきわめて特徴的なアクションを紹介します。すなわち戦闘中に『メイドらしい』とされる アクション(掃除、お茶くみ、とかなんとか)を繰り出す、その名も『メイドアクション』です。

 銃弾と爆風が立ち込める戦場でおもむろにホウキを取り出しお掃除を始める姿はなかなかシュールなものが ありますが、こういったアクションを的確にこなすことでステージごとの評価が上昇、新しい武器や衣装を手に 入れることができるのです。


 さておいた銃撃・斬撃アクションについて触れます。

 元々お手伝いロボットとして作られたものの今回の事態にあたり戦闘用ロボットに生まれ変わった(ロックマン みたい)ユウキは、状況に応じてさまざまな武器を使いこなします。

 通常時はアサルトライフルを手にバリバリと撃ちまくるのですが、接近戦では刀(ご主人様の家に伝わる由緒 ある名刀だとか)を振り回して斬りまくります。一通りのコンビネーションや連続突き、さらに代々伝わる奥義・ 斬撃衝なども使えるようにプログラミングされているのだから恐ろしいものがあります。

 また敵からの攻撃を回避しながらサブマシンガンを乱射したり、対物ライフルやロケット砲まで内蔵(?)して おり、これらをプレイヤーの操作しだいで取り出して撃ちまくります。未来からやってきて子どものころのご主人様を 守るロボットというストーリィも含めて、やっていることはターミネーターに近いです。


 と、このように多彩な攻撃を繰り出して各ステージを突破するのですが、高得点をたたき出す(さまざまな隠し 要素を出す)ためには、かなり厳しい制約を課してプレイしなければいけないのです。


 「ダメだこりゃ!」(かわいい声で)


 ステージごとの評価は、「回避攻撃の回数」「ライフルの発砲弾数」「被ダメージ数」「メイドスタイル」 によって出てきます。

 このうち問題なのは「ライフルの発砲弾数」。強力な武器を手に入れたからっつってバリバリ撃ちまくって いると、評価がガックリ落ちてしまうのです。プレイヤー的には楽しくても、ユウキからは「ダメだこりゃ!」 と言われてしまうのです。

 かといって刀攻撃にこだわると、敵に近づかなければいけないので当然ながらダメージを受ける危険性が 増します。そこで行うのは『回避攻撃』となります。

 これはナントカ無双と同じで、回避行動が出ている間は無敵になります。さらにその最中にボタンを押すことで 繰り出す『回避攻撃』は『ライフルの発砲弾数』に加算されないので、本来は緊急回避のためのコレがメインに なってしまうのですね。

 攻略サイトを運営されている方も、その問題点を指摘していました。残念ながら、アクションゲームとしては ちょっと底が浅いといわざるを得ません。まあ「SIMPLEシリーズにしては、結構楽しめたかな」というのが私の 評価ですが。……そして、アクションゲームとしてはそれなりですが、それ以外の部分で気に入ったので、 わざわざソフトの買値の2倍くらいする攻略本を買ってしまったのでした。


 ドジっ子ターミネーター・ユウキ


 とある研究所で開発されたタイムマシンが悪の組織に奪われてしまった……というところから物語は始まります。 その組織のボスである『ジェラルド』は、タイムマシンを開発した博士を子どものうちに拉致してしまい、 自分たちのためにさまざまなものを開発するよう洗脳しようとして過去に行ってしまいます。

 そんなことをされてはたまったものではない、というわけで博士は急遽タイムマシン2号機を開発しました。 そして今度は自分で自分の身を守れるように身体と頭脳と数々の武器を与え、なぜかメイドちっくな格好をした 女性型タイムマシン内蔵ロボットを完成させたのです。

 彼女に課せられた任務は彼女の目的は「装置を取り戻すこと」と「ご主人様をお守りすること」。 「タイムパラ……なんとか」を起こさせないために、若干AIに不安を残したまま過去へ向かったのでした。


 要は『ターミネーター』なんですよね。ユウキの武器への精通ぶりもT-800クラスだし。ただ シュワルツェネッガーのような大男ではなくかわいらしい女の子(を模した)であることと、急造品だったためか AIに若干の問題を抱えているというのが、『ターミネーター』との違いです。

 まあT-800はジョークを解するなど少々オーバースペックなところがありましたが(潜入型ターミネーターと してはそのくらいが怪しまれなくていいという解釈もあるようですが)、敵のアジトを突き止めるために 守るべきご主人様をオトリにしたり、そのご主人様が乗っている車に向けて発砲したりと、目的のために手段を 選ばなさ過ぎるところがあります。特に後者は本末転倒というか、ちょっとやりすぎ! という話です。

 まあ、それもこれもご主人様を想う気持ちゆえ、ということでゲーム内では解決しているので、私も素直にそれを受け止めることにしているのですが。 このあたりはちゃんとメイド(をモチーフにした創作物)の定石ですよね。



 というわけで、『メイド服と機関銃』。あまりにも安易というかあざといタイトルですが、中身はアクションゲームとして、それなりに成立しています。 ストーリィもちゃんとあるし、高評価もコツをつかめば何とか得られます。いったん最高評価を獲得して高性能な武器を取ったら、今度は評価に関係なく 自分の好きな武器を装備し、好きなように遊べばいいと思います。    

 


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