続アイレムマニア、かく語りき


  さて、誰が予想したでしょう、本人さえも予想していなかった第二弾です。
 これのプロトタイプは、好きなことを書きまくっているうちに何だかシリメツレツになって、「こりゃあ、読む人が大変だろ
うなあ」ということで未発表のうちに削除という憂き目に遭ったのですが、今度はどうでしょうか。とにかく文章を書きまく
っている犬神でありますが、可能な限り読む人のことを考えて書いているつもりです。それでも文字量が半端ではあり
ませんので、休み休み読むとか、ダウンロードして読むとか、色々していただければと思います。

 えー……確か前回、アイレムさんのお話から「アンダーカバーコップス」のことについて色々と切り出そうと思っていた
のですが、なぜか「大工の源さん」の話で終わってしまったんですよね。いけない、いけない。閑話休題ですね。では話
を元に戻します。
 この「アンダーカバー」……長いので以下「UCC」とさせて頂きます……は、手もとの資料(ファミコン通信10月1日
号、1993年)によると92年にアーケードで発売された横スクロールアクションゲームで、内容はと言えば無限に出てく
る悪人どもを次々とぶちのめし、体力がやたらあるボスを倒せばレッツゴーネクストステージ、ってな感じのやつです。
ちなみに犬神はこの手のゲームを「ファイナルファイトもの」と呼んでいます。
 ただ、普通にファイナルファイトものだったら別に犬神もここまで興味は引かれません。どうして興味を引かれるかっ
ていうとシステム以外のところ――つまりストーリィとキャラクターに心引かれたのです。
 
 やはりゲームに感情移入するためにはある程度の設定は必要なもの……。どんなに簡素なものでもいいから、あっ
てほしいものです。なかったら自分で作るけど。
 その点、このゲームはストーリィもキャラクターもすごく作りこまれている。……なんつったって髭面のむさくるしい野郎
と、(見た目だけは)クールな野郎と、綺麗な女の子です。これだけ用意されたらもう、それだけで誰を使ってもいいやっ
て気持ちになります(どうでもいいという感情ではなく、全員があまりにも魅力的なため)。
 更にそのキャラクタに設定された過去もまたすごい。……髭面の「野郎その1」ことザン・高原(一応、日本人らしい)
は元全米カラテチャンプという過去を持っているが、恋人を守るために人を殺めてしまい、それ以来表舞台から姿を消
していたというし、(見た目だけは)クールな「野郎その2」マット・ゲーブルスはフットボールでMVPを取ったこともあるほ
どの優秀なプレーヤーだったのだけれど、試合中にあまりの並外れたパワーで何人もの選手が再起不能になるような
ことがあり、とうとうフットボール界から永久追放を食らってしまったという人間起重機野郎だったりする(当時、最もよく
使っていたのはこの人でした)。 
 そして唯一の女性、ローザ・フェルモンドは元々、女の子としてはただひとりのビジランテ(自警団、という意味だった
ような気がします)だったのだけれど、恋人兼パートナーのトーマスを悪党どもに殺されてしまったという過去があるわけ
で、つまり全員が過去に暗いところを持っているというわけですね(トーマスとか、ビジランテとか……アイレムファンな
ら、どうも聞き覚えあるフレーズですよね)。
 
 で、まあ、そう言った人々がお金をもらって悪党どもを掃除する(だから彼らはシティースウィーパー、と呼ばれている)
わけですが、核の炎に包まれて崩壊した世界を支配するのは何かといえばもちろん暴力ですし、核ミサイルが落っこち
てもまだ生きてるしぶとい人々ですから、そうそう簡単に進めるわけではなく……でかいロボットとか、バット振りまわし
て指差して笑うやつとか、モグラみたいな人とか(また出た、モグラだ)、プレーヤーたちと同じクローン人間だとか、と
にかく後にも先にもこんな人はいないだろうってぐらい強烈なインパクトを持った人々が大勢いて、シティースウィーパー
の人々はそう言った連中を軒並み叩きふせて行かなければならないわけで、ひとりでワンコインクリアーすることは、
「天地を食らうU」をワンコインクリアーすることよりもさらに至難の技ではなかろうかと思われます。
 そして、そういった普通じゃないプレーヤーキャラたちをもしのぐ普通じゃない悪人を叩きのめすために、普通じゃな
いプレーヤーさんたちは普通じゃないものを使って先へ先へと進んで行く。すなわち道具を使うわけですが、ナイフや鉄
パイプや日本刀なんて言うどころではなくて――電柱鉄骨、バイク、ドラム缶、箱(鉄製。意外と強力)、果ては冷凍
マグロなどを使用するわけで、この時点でもう普通じゃないわけですよね。
 また、このように普通じゃない世界で生き延びていくには何でも食べて体力を回復させて行くのが必須なわけで、プレ
ーヤーキャラとして悪人を掃除していく3人は「生にわとり」及び「生ひよこ」などを食べるわけですが……って、一体ど
んな世界なんだろう。「北斗の拳」も追いつけないような独特(過ぎ)の世界ですね。



 さて……このような素晴らしいゲームを、当時、ワタクシは基板を買ってでもやりたいと思っていたところ、スーパーフ
ァミコンで発売との朗報が! ……しかしながら94年3月当時、犬神家にはメガドライブはあってもスーパーファミコン
はなく、そのままアッという間に8年の時が過ぎました。今ではスーパーファミコンも手に入ったものの、ソフトウェアの方
はどこを探しても見つからず、「どうしたもんかなあ」とインターネットで探していたところ、

 「その後のアンダーカバーコップス(FC)」

 というYahoo! の検索結果が私の目に飛び込んできて、えらく衝撃を受けました。
 これは、かつてアイレムの100%子会社であるTAMTEXというところで、R−TYPEVなどの音楽を手がけていた方
のホームページで閲覧したもので、どうやら作ることは作ったもののアイレムの会社的な事情でとうとう日の目を見なか
ったというのが真相だそうです。実に残念極まりないソフトであります。

 
 
 ……ここまで書いてきてアレですが、この文章、誰が読むんだろ(BGM:アンフィニ宮殿)。
 まあいいか。あんまり考えないことにしようっと。
 


  で、ここからは実際に最近プレイしてみての感想です。
  9月15日――敬老の日――犬神家にある荷物が届きました。それは犬神にとって「大当たり級の福袋」といっても
いいくらい「いいゲーム」がたくさん入っていました。
  アウトモデリスタ、スーパースターソルジャー、ガンヘッド、マイケルジャクソンズムーンウォーカー、餓狼伝説、そして
アンダーカバーコップス……。
  しばらくはアウトモデリスタ以降の色々なものをやっていたのですが、ある時ふと手にとってやってみました。
  だいぶ前に忘れていた感動。海岸の工業地帯に巣食う悪党どもを重たい打撃でうちのめしていく、相変わらずの刺
激で、早くも犬神は感動に打ち震えていました。
  スライディングキック、またはジャンプキックなんて言う技を仕掛けてくるやつ、バット振りまわして指差して笑う奴など
を次々と叩きのめし、かたつむりやにわとりなどを食らい、進んで行くと何やらマッスルな男が現れる。で、しばらくそれ
に打撃を与えているといきなり銀色の肌が剥き出しになる!  実はロボットなのだったっ!  しかしながらそのロボッ
トは、ごみ処理施設の奥底にある巨大プレス機につぶされてあえなく破壊……。


  そんな感じでゲームは進んで行くわけですが、どうしてもちょっと楽しく無いところがありました。
  ……難し過ぎるんです(涙)。
  UCCこと「アンダーカバーコップス」は、爽快感があんまりないゲームです。「ファイナルファイト」というよりは、「天地
を食らう」に近い感覚、とでも言うんでしょうか。
  どう攻撃していいかわからない(仕掛けると相手にダメージを与える前にこっちがダメージを受ける)、起き上がりを
何度も攻められる(そのまま死んじゃうこともある)、物理的に絶対にかわせないような攻撃を繰り出してくる(攻撃発生
から0.4秒くらいでダメージ判定が発生する)、など、など、など。 「R・TYPE」もそうなんだけど、なんだか「我慢を強
いられる」たぐいのゲームなんですよね。我慢して我慢して我慢して、少しずつ少しずつ少しずつ進んで、そのうちクレ
ジットがなくなって(あるいは「精神的におなかいっぱいになって」)終了、というパターン。もう達成感も何にもない。
  そういうわけでクレジット・残り人数を最大にしてプレイしても、せいぜいステージ4のボスまでしか行けないという絶
望的な有様。何もそんなところまで移植しなくてもいいじゃん。
  まあ、これについてはいずれ犬神の努力次第で解決する(かもしんない)要素だからどっかにおいておくとして、いい
ところをあげましょうね。ねっ、いいところをね。
  いいところっていったらそりゃあ、難しいところ以外すべてです。……こんな言い方したら身もふたも無いかもしれな
いけれど、キャラクタ的にも世界観的にもすごく、すごく、すごく大好きなのです。だからこそちょっと難しいくらいじゃあく
じけないでいられるんです。やっぱりそういうの大事ですよ。
  
  結論。このゲーム、犬神の手元にあるって言うだけで十分過ぎる存在感を放っているわけで、市かもそれをプレイ
することが出来るなんてこんな果報者はそうそうざらにはいないでしょう。ありがとうね、ハルシ社長。


  サプリメント:
  このインプレッションはまだ、犬神がクリアする以前のものです。クリアしたあとはまた気持ちが変わったので、そちらもご参照ください。
  というわけで、戻る   inserted by FC2 system