幻視の世界と元始の世界――元始編
『Gダライアス』論




本当はこのFC2に場所を移して、最初に更新する予定だったんですよね。でも、なかなか更新せずにいて、たまに更新したかと思えば『あすか120%』で……。

そういう後ろめたさがあるので、今回は一気にこの『Gダライアス』について書きたいと思います。横スクロールシューティングとしては最高に好きです。アーケードで(『バースト』が出るまでは)唯一、ちゃんとエンディングまでたどり着けたタイトルだし。

 それに、私のシューティング遍歴を振り返った時、この『Gダライアス』の存在がとても大きかったんですよね。湾岸ミッドナイト風に言えば、Gダライアス以前とGダライアス以後。スカイラインGT-R(R32)が出て車の仕組みがガラッと変わってしまったように、本作が私にとってはターニングポイントと言うか、非常に重要な位置を占めているのです。ちなみにサバンナRX-7(FC)に相当するのが『ダライアス外伝』であることは言うまでもありません。
 
 
 昔々のものがたり  
 
 本作の時代は、初代『ダライアス』の時代をさらにさかのぼったところです。そこにある『アムネリア』という星の人たちの物語なんですよね。
 
 彼らがとある戦争で使用した、すべてを消滅させてしまう『A.N.システム』。これが宇宙全体の平和を乱しかねない、ということで謎の機械生命体『シーマ』が目覚め、アムネリアの人々を宇宙から抹殺せんと襲ってきたのです。
 
 一応、反撃を試みるものの、驚異的な火力と機動力を誇るシーマ艦隊には太刀打ちできず、次々とアムネリア艦隊は撃破されていきました。……そのためアムネリアの人々は、いったんは封印した『A.N.システム』を搭載した高性能戦闘機『シルバーホーク』を完成させ、存亡をかけた戦いに臨むのでした。
 
 
 いや、実に壮大な物語です。同社のレイシリーズや『メタルブラック』はきわめてとがったハードSF作品って感じですが、ダライアスはどちらかというとスペースオペラの雰囲気ですね。『スターウォーズ』みたいな、大きな大きな物語。
 
 ただ、ストーリィとかキャラクタとか、そういった背景については後にPS版を買って、その説明書を読んで知ったことなので、ゲーセンでやりこんでいた時代には、そういった知識はほとんどありませんでした。ダライアスシリーズは伝統的に『1Pが男性パイロットで2Pが女性パイロット』だから、これもそうだろうなとか、そういうことはイメージしていましたが、ほとんど自分設定でプレイしていました。
 
 
 新・超火力
 
 
 時系列的には初代シルバーホークとなる本機体は、前作(『ダライアス外伝』)と比べるとシンプルな武装となっています。対空は『ミサイル→レーザー→ウェーブ』で対地は『シングル→ダブル→マルチ』という、初代『ダライアス』と同じ仕様。防御兵装は毎度おなじみ『無印→スーパー→ハイパー』となります。
 
 ただ、本機体独自の装備として『キャプチャーシステム』と『αビーム』があります。
 
 『キャプチャーシステム』は、任意のタイミングで敵にキャプチャーボールをぶつけるとそれを味方にすることができるというものです。本体は結構シンプルな武装なので、敵の攻撃が激しい場所でコレを装備すると非常に心強いです。また、いざという時は緊急回避用の『キャプチャーボム』として利用することもできるので、そういった意味でも便利な代物です。
 
 そしてショットボタンを押し込んでタメると、自機の少し前にエネルギーを凝縮させ、一気にこれを開放します。これが本作最大の攻撃力を誇る超絶兵器『αビーム』です。相手のあらゆる攻撃を無効化してザコ敵なら一瞬で消滅、ボスなど耐久力がある相手にも大ダメージを与えます(むしろボスはαビームで倒すこと前提なので、壮絶に耐久力が高い)。
 
 もっとも、これはボス敵も似たようなもの(βビーム)を撃って来ます。そこでドラゴンボー……ではなくて、『メタルブラック』のように、お互いにビームを干渉させあい、競り勝てば相手のビームの分も取り込んで、さらに強力なビームをぶつけることができます(負ければその逆になりますが)。
 
 これ、連射装置がついている筐体ならいいんですが、そうじゃない筐体だと、頑張って連射しないと押し負けちゃうんですよね。たぶん製作者の気持ちとしては、そこで腕がつるくらい連射して競り勝つことでカタルシスを得て欲しいってことかな、って想像してみますが……それは今だから言えること。当時は単純に『連射装置があった方がいい』むしろ『連射装置がないからやらない』くらいの気持ちでした。


   迫力! 迫力! ド迫力!   
 
 私がここまで入れ込んだのは、そういったド派手な攻撃力を有する自機に負けないくらいド迫力な敵の巨大戦艦でした。
 
 本作からポリゴンで描写されるようになった敵の巨大戦艦が、画面の中を三次元的にグリグリ泳ぎまくる姿は実に生き生きとしております。
 
 象徴的なのはやはり『クイーンフォッシル』。フライヤーの表紙にも出てきた、シリーズおなじみのシーラカンス型巨大戦艦です。何せステージの後半は丸ごとコイツとの戦いですからね。味方の巡洋艦をひとのみにして悠々と去っていく姿は、クイーンの名にふさわしい貫禄といえます。
 
 そしてサイズが大きいだけでなく、火力も最大級です。通常1門、多くても2門しかないβビーム砲台をこいつはいくつも持っていて、次から次へと撃ってきます。そしてこちらもカウンターにつぐカウンターで跳ね返し、最終的には画面を覆いつくすほどの超極太激烈レーザーとなってしまいます。通常のビームがメガバズーカランチャーだとしたら、これはまるでコロニーレーザーのようなものです。
 

 そのほかにも、じつに特徴的な動きをするボスが楽しいですね。ATフィールドのようなものですべての攻撃を跳ね返す『アブソリュート・ディフェンダー』や分離・合体を繰り返す『エターナル・トライアングル』。さらに、同じフォッシルの名を持ちながら火力・耐久力ともに大きくアップしている兄貴分? の『ファイヤーフォッシル』など・・・いずれも、強敵ばかりです。
 
 あとは、シリーズでもおなじみのタツノオトシゴ『ライトニング・コロナタス』やカメ『ヘビーアームズ・シェル』そしてクジラ『G.T.』なども出てきます。
 
 そして本作を象徴する? ボスが『ジ・エンブリオン』・・・クリオネをモチーフにしたやつなんですが、このゲームをやっていたころは、まだクリオネという生き物を知りませんでした。なのでほかのボスは実際の生物が最初に思いつくのですが、クリオネだけはそれらとは逆に、このゲームのキャラクタが先にひらめいてしまうのです。
 
 
 生命の誕生を見る


   本作のステージは、いずれも「G」で始まる名前がついています。
 
 最初のステージは『GREEN GLOVE』で、そのあとは『GIGANTIC SHIP』とか『GRAVITY ZERO』とか『GALLARY』とかを経て『GRAVE OF CULTURE』などにたどり着く。そんな感じです。
 
 このうち私が最も衝撃を受けたのが『GENESIS』という名のついたステージです。
 
 日本語で言えば『創世記』となるでしょうか。いったん縮まり、また大きく広がった宇宙――あるいは、それ以前の空間。そこでくんずほぐれつを繰り返しながら「何か」がはぐくまれる姿は、まさに生命の誕生です。初めて見た時は感動しすぎて号泣寸前でした。
 
 やがて『何か』は螺旋を描き始めます。そしてステージの終盤でひとつの形となりました。それが『ジ・エンブリオン』です。
 
 私の友人はこいつではなくライトニング・コロナタスを最終ボスにすえていました。ただ全面クリアするのなら、そっちのほうが簡単なのかもしれませんが、私はこのステージとこのボスに強く心を惹かれてしまいました。くわえてボス戦のBGMの『ADAM』がまた格好よくて・・・。
 
 とにかくこのステージは最初から最後まで、私の感情を揺さぶり続けました。だから私にとってはこのゲームが、特別な位置づけの作品なんです。
 

 


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