私と喧嘩番外浪花節
――『熱血硬派くにおくん 番外乱闘編』論




 本当はこのゲーム、番外編コーナーでサラッと触れるつもりだったのですが、事前に他の人のレビューを見ていて気が変わりました。

 「ABボタンを同時に押していればクリアできる、珍しいゲーム」

 「手抜き感が否めない」

 「まあ、遊べなくはないですが」


 ……まあ、正しいのでしょう。確かにABボタン同時押しで出るジャンプアッパーは大変に強力です。うまく当てていけば、これだけで確かにクリア出来ます。

 ただ、個人的には大変な思い入れがあるので、そんなにあっさり片付けられては感情的になってしまいます。見過ごすわけには行きません。なので、タイトルは 『番外乱闘編』ですが、私のところではちゃんと書きたいと思います。


   親友のためなら


 くにおたちの町に突如として現れた謎の会社『宗方興業』。そこのドラ息子? 「ゆうじ」は暴力で近隣の高校を次々と自分の支配下に置き、 その魔の手を熱血高校にも伸ばしてきました。

 もしも番長・くにおがいれば一瞬でたたきのめすところでしたが、あいにくと不在にしていたため、「ゆうじ」たちはやりたい放題。あげくの果てに 同校のマドンナ・美穂子ちゃんを無理やりデートに連れて行こうとします。

 それを阻止しようとしたのが熱血高校イチの正義漢「ひろし」。極悪集団の中に割って入り、何とか美穂子ちゃんを逃がすことには成功したのですが、 報復とばかりにタコ殴りにされ、全治三ヵ月の重傷を負うことに。

 もちろん、親友をこんな目に遭わせた宗方興業を黙って見過ごすはずのないのが、我らがくにお。ひろしのためならその筋の人たちの事務所にも単身殴りこんだ こともあるくらい義と情に厚い男なので、今回も熱き青春の握りこぶしをギリギリと握り締めて、宗方興業に乗り込むのでした。


 必殺『昇り竜の拳』


 1990年にゲームボーイソフトとして発売された本作は、パッケージこそ可愛くデフォルメされた「むかいくみこ」さんのおなじみのイラストですが、ゲームボーイなりに 精一杯リアルな等身で描かれた、タイトルにふさわしい硬派系のアクションものです。
 
 硬派系なのでマッハパンチとかスクリューアタックという大技はなく、パンチやキックでビシッビシッと敵を倒していきます。そして相手がグロッキー状態になった ところで、パンチボタンを押すと思い切りふりかぶってのストレートパンチ、キックボタンを押すと垂直に飛び上がりながらの蹴り上げを食らわせて相手を吹き飛ばします。

 威力としては蹴り上げの方が強いのですが、かわされるとド派手に隙まみれというリスクもあるので、つかめる相手であればそのまま接近して襟掴みパンチ→突き飛ばしが ダメージも大きく、確実にダメージを与えられます。そのあとダウンした相手の近くでボタンを押すとニードロップの追い打ちを食らわせられるので、これでザコならば KOでしょう。

 あとは、最初にも少し書きましたが、ABボタンを押すとその場にしゃがみます。もしかしたらこうやってパンチとかをかわせるのかもしれませんが、それはあまり 現実的なものではなく、その状態でパンチボタンを押せば繰り出せるジャンプアッパーの予備動作と言っていいでしょう。

 ぐるりとひねりを加えながらパンチを繰り出す、どう見てもハチマキをした格闘家の得意技みたいなアレですが、これがとても威力のある攻撃でして。 しかも上昇中は無敵ということもあって、全編を通して使っていける武器です。ただ、何も考えずに連発していればいいかというと、 角度が結構急なのでちゃんと間合いを見切らないと、これまたド派手に隙まみれという憂き目を見ることになります。 また、ボス戦では相手もダッキングでかわしたりもするので、若干のリスクも含んだ攻撃なのです(安全な倒し方については、ボスの項目で説明します)。


 親友(とも)のためならどこまでも


   今回もまた熱血高校の玄関口からスタートして、宗方興業の本社ビルを目指して行きます。その途中には2度ほど地下鉄での移動もはさみます。……もちろん熱血硬派は 顔パスで通過します。

 一応、全部で10ステージということにはなっていて、一区切りするとクリアした音楽が鳴り、体力満タンになって仕切りなおしとなります。

 体力がなくなると1ミスで、すべてミスするといったんゲームオーバー。ステージの最初からまたやり直しということになります。

 ちなみに最初の難易度設定で「やさしい」を選ぶと、途中までしか遊べません。なので、慣れてきたら「ふつう」以上で遊びましょう。

……ちなみに、某『制覇しましょ』まとめサイトで「むずかしいじゃないとエンディングが見られない」と記載がありましたが、 「ふつう」でも見ることが出来ます。まあ、もしも別なパターンのエンディングがあるというなら話は別ですが。ただ、「むずかしい」で出したことになってる画像は、 私が「ふつう」で見たものと同じような気がするんですがねぇ……。


 最近は仕事に行く前によく遊んでいるのですが、こないだジャンプアッパーを多用するパターンでやったら大体20分くらいでクリア出来ました。……ただ、その20分の 間にも結構、色々なステージというか、街の風景が変わるので、決して底が浅いとか単純とか手抜きとか、そういった印象は受けません。夢中になって遊んで、気が付いたら そのくらいの時間が経っていた、というのが正直な感想です。

 ただ、『ダブルドラゴン』のように何かステージ自体にギミックがあるとか、そういうことではないので、あまり取り立てて書くことはありません。一般市民が住む街に 飛び出す壁とか、そんなものがあっても困るのですが。


 立ちふさがる強敵たち


 そういうわけで、敵キャラの紹介に移ります。

 これもあまり、種類は多くありません。列記すると、学生(武器あり、武器なし)、ヤンキー(武器あり、武器なし)、宗方興業構成員(飛び道具あり、飛び道具なし)、以上です。なお ボス格の方々は別項目にて触れます。それにしても、素手の高校生相手に刃物や飛び道具を繰り出してくる構成員の方々って……。

 基本的に、攻略に苦慮するような場面はないかと思います。もちろん武器を持っている敵の方が強いのですが、ひとりひとりを確実に倒していけば詰まることはありません。せいぜい、 ホームの端っこで棒やチェーンの攻撃を食らうと、派手に吹っ飛ばされてそのまま転落してしまう恐れがあるので、そこは気をつけていきましょう。

 それと、初代アーケード版では刃物・飛び道具を食らうと一撃死でしたが、こちらはそうでもありません。あまり恐れずにガンガン攻めましょう。といっても、威力はそれなりに 高いので、食らわないに越したことはないでしょうが。

 なお、最終ステージ(宗方興業本社ビル)では結構な長丁場で、回復がないまま最終ボスまで行くので、できるだけダメージを受けないように進みましょう。


 ここからは、特に名前のある人たちの紹介です。

 その1「学生ボクシングチャンピオン・藤堂達也」

 素早い身のこなしでたくみにこちらの攻撃をかわし、ラッシュから痩身の見た目にふさわしくない ハードパンチ『チャンピオンアッパー/チャンピオンストレート』を繰り出してくる強敵。1面でいきなり出てくるので、 当時小学4年生だった犬神はあっという間にボコボコにされて悔し涙にくれました。

 一応、安全確実に倒すのなら『パンチ2発→キック1発』でダウンを奪い、追い打ちのニードロップを食らわせるというパターンを繰り返せばOKです。ただ、 これだと結構、時間がかかるので……上下に軸をずらしながらうまくジャンプアッパーを当てていくと素早く倒すことが出来ます。この2パターンは、実は全部の ボスに使えます。

 その2「暴走族ヘッド・村田誠二」

 特攻服にリーゼント、さらに鉄パイプで武装した強力なやつです。普通に振り回したものに当たっても痛いですし、ジャンプから 繰り出される必殺技『スーパーから竹割り』は絶大な威力を誇ります。まあ、いきなり出された時は普通に軸をずらせば当たらないのですが。

 攻略パターンは他の人たちと同じですが、この人の場合は何となく『蹴り上げ』が結構よく当たるような気がします。気のせいかもしれませんが、1面のボスほど かわされることが多くなかったような。……なので、とにかく難しいことを考えずにガンガンせめて行きましょう。

 その3「ボディビルダー・剛田太」

 見た目通りの筋肉魔人・ボディビルダーです。地下鉄の改札口をビキニパンツ一丁で、しかも終始ニコニコ顔でやってくる、別な意味で危ないやつです。

 武器は何も持っていませんが、言うまでもなくその肉体が強力な武器。不用意に近づくとその場ラリアットというか、肘の内側? 二の腕? を振り回して攻撃を 繰り出してきます。そして恐ろしいのは掴まれての『スマイリフト・アップ・スラム』。持ち上げられてムフッムフッムフッと笑われた後、無造作にポイされてしまいます。 リア・ディゾンならこの時点で即死です。まさに『ポイしないでください』って感じです。

 まあリア・ディゾンなんていう人はよく知りませんが、とにかく掴まれると厄介なので、相手に攻撃をさせないように、あとは不用意に間合いを詰めないように しましょう。それこそ、ジャンプアッパーをかわされた時などは、かなり危険なタイミングとなるので、体力が少ない時は地道にパンチパンチキックの連携でダメージを 与えた方がいいかもしれません。

 その4「力士・大石為右衛門」

 力士です。相撲レスラーです。一応学生らしいのですが、本当かな?

 まあいいや。宗方興業のビルの目前で、門番的なポジションで出てきます。見た目的にはあんまり強そうな感じもしませんが、その『体重』が何よりも強烈な武器。 突然繰り出してくる突っ張りでこちらをダウンさせたあと、全体重をかけてのしかかってくる『ごっつぁんドロップ』は、3メモリくらい体力を奪われるので、 絶対に食らいたくないところです。

 パターンとしてはいつもと同じやり方でいいとは思うのですが、とにかくダウンさせられないように。体力もかなりあるので、パンチパンチキック・パターンで攻めると かなり時間がかかりますが、自信がないうちは長期戦も覚悟で挑みましょう。

 その5「社長ご令息・宗方裕二」
 
 諸悪の根源、今回のゴタゴタの原因、ひろしのカタキ。同社の「さおとめ」のようなヘアスタイルと「ごだい」のような半月眼&ニヤケ笑いを浮かべるチャラ男です。 親が(あまり表ざたに出来ないような)稼業でシノギをしているので、たぶん実質的には無職です。

 ただ、そんなチャラい外見とは裏腹にパワー・スピード・スタミナすべてにおいてトップクラスの実力を誇り、近づけば数メートル吹っ飛ぶショートアッパーを出すし、 離れればザッ! と風を切るテクノスジャパン伝統の奥義「旋風脚」を繰り出すからたまらない。

 攻略としては、とにかく「技を出させない」こと。近づいてひたすらパンチパンチキックを繰り返し、確実にダメージを与えるのが一番いい気がします。もちろん 慣れてきたら、ジャンプアッパーで一気に勝負をつけるのもいいでしょう。ともかくここでゲームオーバーになると本社ビルの入り口に捨てられてしまうので(そういう シーンは特にありませんが)、最後まで一気にぶちのめしてしまいましょう。

 
 そして「オトシマエ」を……


 正義の鉄拳で社長ご令息を叩きのめすと、機関銃を持った親父が登場……するわけではありません。画面に映らないような「教育」を経て、 ひろしの病室へ連れて行き、「もう二度とわるさはしません、お許しください」とワビを入れさせます。またひとつ、悪の組織がくにおの手によって 叩き潰されたのでした。

 そしてスタッフロールとなるのですが、この時の音楽が結構渋めで、暗めな音楽なんですね。全体的にちょっと渋めの音楽が流れるこのゲームなのですが、特に エンディングがかっこよくて。悪の組織は滅んだし、当事者には肉体的精神的な負担を与えたからカタルシスはあるんですが、ひろしはまだ入院中だし……手放しで ハッピーエンドってわけではないんですね。

 確かにゲームとしては結構シンプルな感じですし、今の感覚からすれば「手抜き」とか「しょぼい」とか、そんな風になるのでしょうが……今の視点で見るのは どうかと思うのです。
 
 個人的な思い入れがあるから? もちろん、そうですとも。

 思い入れがあるからこそ、しっかりと自分の気持ちを文字にしなければならんなと思うのです。

 まあ、そんなことはどうでもいいのですが、とにかくシンプルで、いかにも当時の携帯ゲーム機って感じの仕様となっています。隠しキャラもいないし、見栄えのする 必殺技もそんなにないし、そもそもカセットが今のDSとかいう機械には入らないみたいだし!?(苦笑)あんまりやる機会はないかもしれませんが……でも、私にとっては もう20年くらいの付き合いですしね。これからも時々、ビシビシッ! とやろうと思います。

 

 


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