私とアメリカ横断ウルトラ自動車レース
―「ゲイルレーサー」再評価論―





 激動の時代に


1995年。「龍が如く」では、すべてが動き出したあの「親殺し」の事件があった年ですが、私にとってはセガサターンを買った年でした。 確か、値段が一番高かったころであると思います。

一緒に買ったソフトは「バーチャファイター」。定番ですね。というか、それしかなかったかもしれません。

 当然ながら、連日連日やりまくりました。ビシビシビシッ。シュパッ。ドンガラガラ。ヤフーだのナムーだのジューネンハヤインダヨーだのと言った声がよく響いていたものです。

 ですが、今回取り上げるのはそんな超有名格闘ゲームではありません。セガサターン発売最初期にそれなりにCMとかも流して発売され、 その割には結構ひっそりと売られ、「デイトナUSA」やら「セガラリー」やらが発売されてからは誰も省みる人もなく、「セガガガ」でも一応作れるけれど「近未来的なレースゲームです」と あまりにも寂しいコメントしか載っていない――そう、「ゲイルレーサー」です。

 世間的な評価はともかく、私が初めて買ったサターンのソフトですからね。おまけに私が思春期のころに散々やりまくったゲームなので、ちょっと特別な位置付けなのです。


伝説は再び走り出す(ストーリィ紹介・説明書より)


かつて、地上最速の名をほしいままにしていたひとりの男がいた。走り屋を名乗る者たちにとって彼は憧れであり、目標だった。 人々は彼の走りを驚愕の眼で見つめ、その疾風のごとき姿は、畏敬の念すら呼び起こされた。……そしていつのころからか、彼はこう呼ばれるようになった。
GaleRacer(ゲイルレーサー)と……。


招待状


君の活躍ぶりは風のうわさで聞いている。相変わらず派手にやっているようだな。

ところで、君も知っていると思うが、このところGaleRacerの名をかってに語る輩が増えてきたようだ。 ――そこで今回、誰が最速かを決めるにふさわしいレースを開催することにした。その名もSaturnRallyだ。

スタートはL.AでゴールはN.Y――細かいルールは一切ない。ただ、最初にたどり着いた者だけが勝者となる。 そして勝者には最速の栄冠GaleRacerの称号が与えられるであろう。

レーサーとしての名誉をかけ、栄光を目指して戦おうではないか。君の参加を楽しみにしている……それでは、健闘を祈る!


 というわけで、どことなくキングオブファイターズっぽい気もしますがともかくロサンゼルスからニューヨークと、西から東へずーっとずーっと 陸路で走りまくるゲームです。大きく分けて6つ、細かく分けて3〜4個なので、大体20箇所程度回るようになります。ちなみに分岐とかはなく、 ひたすら走りまくるだけでOKです。


 難しいことはいらない


 基本的にこのゲームの車はオートマチック仕様なので、用意ドンでアクセル全開! ひたすら走りまくるというシンプルな内容です。

 その代わり公道を昼も夜も走りまくるので、夜はライトのスイッチを入れなくちゃいけないし、雨が降ったらワイパーのスイッチを入れなきゃいけません。 一応、真夜中にライトをつけずに走ったり雨の中ワイパーを動かさずに走ることも出来るのですが、正直なところメリットはないので、指示が出たら素直に つけた方がいいでしょう。

 本当に些細なことなんですが、AC版(こちらは『ラッドモビール』というタイトルだった)で初めてやった時から、このスイッチが面白いなと思ったのです。 いかにも公道レース! って感じでね。


 また、基本的なゲーム内容としても結構アバウト(悪く言えば荒削り)で、もちろん壁に当たらない方がいいに決まってるのですが、ちょっとくらいガリガリと ぶつかってもどうにかなるんですね。細かいカーブの曲がり方を考えるくらいなら、とにかく走れ! といういかにもセガ様らしい豪快な仕様に、中学生だった犬神は 散々ハマったものです。

 ただし、ロッキー山脈ステージではその壁がないので、ここではさすがに減速が必要となります。崖から落ちると大きなタイムロスになってしまうので、それよりは ゆっくり安全に走りきった方がいいです。……それにしても、このステージのライバルは大型トラックなんですが……いくら細かいルールは一切なしって言ったって、 それってどうなの?(笑)


 名所案内・アメリカよいとこ


 一応、タイム制限とか順位とかがあるので、さすがに『アウトラン』ほどノンビリした雰囲気ではないのですが、CD−DAとして収録された音楽を聴きながら走る コースはいちいち特徴的で、レース半分観光半分で楽しめます。

 夜のハイウェイを快調に飛ばしていくステージあり、豪雨の中をひたすら走りまくるステージあり……その中で犬神が特に面白いなと思った街をいくつか紹介したいと思います。


 ロッキー山脈:これは先ほど触れたように、片側が崖になっていて、万が一落ちるとメチャクチャに車が壊れてしまいます。大きなタイムロスです。しかも道幅が狭いし 対向車が来るし……と、前半なのに妙に難易度が高いところです。かといってあまりゆっくり走りすぎるとライバルの大型トレーラーに踏み潰されるので(!?)後ろから 迫ってきたら壁のある方にガリガリとこすりつけて素直に抜かせましょう。

 カンザスシティ:このSaturnRallyが非合法レースであることを思い出させてくれるステージです。地元警察のパトカーが時速301キロで走るこちらをはるかに上回る スピードで追い越し、制動距離ゼロでビタッと横向き停止、こちらを無理やり止めさせようとします。アーケード版と違って警官に車を叩き壊されるというデモ画面こそ ありませんが、わざわざ止まる義理もないので、一気に駆け抜けてしまいましょう。

 スプリングフィールド:細かいコースなんて一切ないからということで、恐ろしいことに線路に乱入して走るステージです。当然後ろからは時速300キロで電車が 迫ってきているので、スピードを緩めると大事故になってしまいます。一応、途中で普通のコースに復帰することも出来ますが、線路の方がカーブもないし敵車もないので 圧倒的に速いです。

 インディアナポリス:ここは長いトンネルをひたすら走ることになります(トンネル内ライト点灯)。ここは、専用テーマ曲があって、その音楽がとても好きだから…… というのもあると思うんですよね。一応トンネル内は5車線なのですが、意外と敵車の配置がイヤラシくて、難しいのです。でも音楽がいいから、やっぱりNOクラッシュで 走りきりたいものです。


 もちろん、これ以外にも走る場所はあります。全部で20ステージ。最後はもちろんニューヨークです。たくさんの観衆とたくさんのパトカーが出迎える中を疾走して迎える結末は……?


 GaleRacerの名をかけて――ライバルたち


 名前があるライバルがいるわけではないのですが、たまに特徴的な動きをする敵車がいます。

 ラスベガスに出てくるやつは、猛スピードで追い越しをかけながらこちらに空き缶を投げつけてくるマナーの悪いやつです。こんなやつは角度がついたカーブで横から 小突いて横転させてやりましょう。ただし仰向けになりながらもこちらが近づくと空き缶を投げてくるのはスゴイですね。

 ロッキー山脈のトレーラーやカンザスシティのパトカー、さらにはスプリングフィールドで後ろから迫ってくる電車も、ライバルといえばライバルですが? 純粋に スピードで挑んでくるライバルは、シカゴに現れます。

 ここで遭遇するライバルは、とにかく速い! 時速400キロくらい出てるんじゃないのか? ってくらいの猛スピードで抜いていきます。……その代わりなのか何なのか、 コーナリングが極端に弱いらしく、視界の先でクルクルッとスピンして停止していたりするので、焦らずミスのない走りを心がければ大丈夫でしょう。

 そこからいくつかの土地を抜けて、コロンバスに出てくるのは、私がかってに『ポルシェ兄弟』と名づけた赤と黒の同型車両。得意不得意があるのか、 バンクつきコーナーではわざわざインとアウトを入れ替えて走ります。この2台は基本的なスペックがこちらよりも上なのか、なかなか追い越しをかけることが出来ませんが、 コーナーで入れ替わる時が抜くチャンスといえましょう。

 そして、順調に敵車を追い抜いて来ていれば、1位を走っているライバルにステージ19のフィラデルフィアで出会うことになります。こいつは特別な動きは何もしませんが、 その代わりこちらがちょっとミスするとすぐに追い抜いていくので、完全実力勝負というか、プレイヤーの地力が問われる場面です。とにかく1位でニューヨークに たどり着かないといけないので、是が非でもここでトップを取りましょう。


 さて、そんな感じで無事に1位でニューヨークに凱旋。あとはもうゴール地点までたどり着くだけ……かと思いきや、突然後ろからこちらに体当たりを仕掛け、さらに 追い抜いていく車が!

 ぶつけるために取り付けた大型バンパーや変なエアロパーツなど、見るからに凶悪な外装のこのライバル車に勝たなければ、真の栄光を勝ち取ることが出来ません。 やられたらやり返せではありませんが、こっちから体当たりを仕掛け、ひっくり返して勝利を確実なものにしましょう。


 栄光、そして夜はふけて……


 ライバルを撃退して見事に1位でゴールインすると、エンディングムービーが流れます(そうでない場合はそれなりのムービーが流れます)。そしてジャズっぽい 静かな音楽とともに、昼から夜へ……スタッフロールを眺めながら、しばしの余韻に浸ることになります。

 ゲームの中の音楽が結構力強いロック調の音楽だけに、エンディングの静かさがとても心地いいのです。このあたりはやっぱり、CD音源の強みでしょう。

 クリアしたあとは、追い越した敵車の台数がそのままセーブされます。その数に応じてゲーム中に天井からぶら下がっているマスコットがどんどん変わって行きます。 かつて犬神は1000台以上の敵車を追い抜き、メタルソニックか何かになっていたような気がしますが、残念ながらデータは残っておらず、今は私の記憶の中にしかありません。


 激動の時代にII(2011年作成)


 1995年というのは、世間的にはとにかく激動の年であったような気がします。自然災害という意味でも、社会的な事件と言う意味でもね。

 私自身にとっても、まあ、激動の年でありました。たぶん人間が生きる上でもっとも多感な『14歳』という時期に、様々な状況を目の当たりにし、さらに『トップを ねらえ!』『新世紀エヴァンゲリオン』などのハードコアなアニメも目の当たりにしたことは、その後の人格形成に少なからず影響を与えたんじゃないかな、と思ったり 思わなかったり。

 そんな不安定な気持ちを紛らわすためだったのかな、このゲームの音楽を聴きながら、よく適当な歌詞をつけて歌いながらプレイしていたような気がします。もちろん どんな歌詞だったかはよく覚えていませんが、ともかくそういう少年だったことは確かなはず。

 でも、『バーチャファイター』とか『ワールドアドバンスド大戦略 鋼鉄の旋風』とか『アイドル雀土スーチーパイSpecial』とかをやっている時は、そんなことは なかったんですよね。


 そんな、危うい気持ちを支えてくれた特別な一本だけに、ネットで検索した時に批判的な記事ばかり出た時は、すごく嫌だったんですよね。

 「誰も褒めないのなら、おれがやってやる」

 と意気込んだ……とは言いませんが、ともかく私自身の評価として、このような文章を書かせていただきました。ゲームのレビューとしては適切でないかもしれませんが、 私にはこういう文章しか書けませんし、最新ゲームレビューではないのだから、かえってこういう文章の方がいいような気がするのです。

 まあ、あとで読み返して少しずつ手直しすると思うのですが、とりあえずこんな感じでね。そんなに嫌わないでください。私は大好きなんですから。  

 


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