幻視の世界と元始の世界――幻視編
『ダライアス外伝』論




『ダライアス』シリーズで、どれが一番好きか? といわれると……やっぱり『外伝』! と言いたいところなのですが、たぶん『G』になるんじゃないかな。 アーケードで(『バースト』が出るまでは)唯一、ちゃんとエンディングまでたどり着けたタイトルですしね。

 でも、『外伝』は……たまにプレイしたり、youtubeとかで動画を見てみると、ゲーム以外のものも色々とよみがえってくるんですよね。 当時(95年〜96年頃)セガサターンでプレイしまくっていた時代、すなわち思春期の時代。


 ともかく、総プレイ時間の9割がセガサターン版だったので、本記事もそれを前提に進めていきたいと思います。


 故郷へ帰ろう


 取扱説明書によると、本作は初代『ダライアス』のエンディング(のひとつ)の続きだそうです。すなわち、死の星と化した惑星ダライアスから脱出し、新天地で 再び平和な日々を過ごしていた人々が、再び故郷であるダライアスに帰ろう、とする物語なのですね。

 そのために準備をすすめていたのですが、そこに突然現れた謎の艦隊。ただちにシルバーホーク隊が迎撃に向かうものの、次々と撃破されてしまいます。そしてついに 最後の2機が飛び立ったのでした。

 というわけで、まずは惑星ヴァティス近辺の敵艦隊を撃破した後、宇宙に飛び出し、ワープゾーンを経て完全に敵のものとなってしまった故郷ダライアス星を取り戻しましょう。 ただし、そのルートはひとつではなく、プレイヤーの技量にあわせて選択することが出来ます。それによって、どういう未来を迎えるのかも、選択しだいというわけです。


 『超火力、超連射』(1996)


 一応『ダライアス』は初代をPCエンジンで、『II』をアーケードで何度かプレイしたことがありましたので、大体どんな感じの攻撃なのかというのは知っていました。

 『II』はちょっと特殊な感じなので置いといて、やっぱりショット→レーザー→ウェーブの順番で進化していくのが基本。そしてアイテムをいくつも取り続けてようやく 進化する……すなわち、上手じゃないとウェーブまで持っていけない、というものだと思っていました。

 ところが、この『ダライアス外伝』では、割と速い段階で次のステップに進めます。それほど上手でない私も、あっさりとウェーブまで持っていくことが出来たのです。

 そして、衝撃を受けたのが、そのウェーブの量。擬音であらわすと『フュンフュンフューン、フュンフュンフューン』と、若干のインターバルを置いて連射するものだと 思っていたのですが、本作では『ビャーーーーーン』と、切れ目のない攻撃を繰り出すんですよね。

 まさに、超火力。圧倒されました。

 さらに隠しコマンドを入れると、連射スピードがさらにアップ。白弾ウェーブの状態だと、相手に与えるダメージの効率が明らかにアップしていて、コマンドを 入力しない時の標準連射がとても遅く感じられました。これがいわゆる『シンクロ連射』というやつなのかもしれませんが、21世紀にはいるまでそんな言葉を知らなかった犬神、 標準連射を超える高速連射なので『超連射』と呼んでいました。1996年、中学3年生の頃でした。

 あとは、対空攻撃と対地攻撃を1ボタンにして、あまったもうひとつのボタンで発動させるようにした『ブラックホールボンバー』。終盤のボスキャラなど、まともに戦うとひとたまりもないような圧倒的火力で押してくる敵の攻撃を一瞬で チャラにしてくれる便利兵器です(ストック制)。効果が続く時間も割と長いし、威力もあるので、これのおかげで当時の私も何とかクリアできたんだと思います。


 深 海 世 界


 いわゆるシューティングゲームとしてのボスの魅力というのは……私より上手な人がたくさん書いているので、後回しにします。

 先に、私が『外伝』に特別な思い入れを持つ理由。そのことを書きます。

 私が一生のうちでもっとも感受性豊かな14〜15歳の時期に本作に触れたこともあるでしょう。あの頃(95〜96年)の不安定な世情、不安定な感情、 そういったアヤフヤなモヤモヤをアヤフヤでモヤモヤなまま取り込んだ私。本作の音楽も大きな影響があった思います。

 印象的なのは、6面でしょうか。長い長い時間と距離を越え、ついにたどり着いた惑星ダライアス。大気圏突入のシーンはガンダムにも引けを取りません。そしてそこで 流れるのが、1面と同じソプラノボイスの音楽。

 「ここからが、本当の始まり」

 そう解釈しました。

 そして、このステージをクリアして訪れる最後の戦い。ルートによって深海だったり空中だったりしますが、いずれにしても最終ボス登場のタイミングにあわせて音楽の 開始が調整されているというのは、本当にすばらしい演出だと思います。

 どのステージでも、ちゃんと雰囲気が出ているとは思うのですが、あえてピックアップするとすればゾーンV(深海)とゾーンV’(嵐の空)。なんか、どっちもVですけど、 これらのステージが好きなんです。

 前者は、先ほど書いたような(当時の私の)精神的なイメージと直結するから。より深く、より暗い、より静かな精神世界に落ち込んでいって、最後の最後にたどり着いた場所が、 深い海の底。そこで出会う奇妙な生き物(フウセンウナギ)と、それを倒したあとに訪れるエピローグ。そんなダークな雰囲気が、とても心地よかったのです。

 後者は、逆に激しい感じですよね。まさに当時は嵐のように世の中が激しく揺れ動いていました。そんな中を何とかかいくぐり、雲の上に飛び出すと、太陽を中心に グルグルと雲が渦巻いている。ようやく青空が見えたと思ったら、雲の中からせり上がって来る、この嵐の主。完全な平和を取り戻すために最後の戦いに挑む……。なんか、 うまく言えませんが、そういうヒロイックなイメージが強くて、すごく好きでした。


 敵も『超火力、超連射』


 シューティングゲームとしては、ブラックホールボンバーがあるので、激しい攻撃を繰り出してきたらそれでウヤムヤにして一気に叩き伏せるプレイをしていました。 なので熾烈を極める攻撃の数々はこの記事を書くに当たってyoutubeで初めて見たのですが、う〜む……すごい。

 6面ボスの『強い方』ことcrusty hummerとかは、接近戦の鎌攻撃くらいしか記憶がなかったのですが、このデタラメな攻撃はなかなか激しいものがありますね。

 さらにそのあとの各ボスたちも、実に激しい攻撃でプレイヤーを苦しめます。

 特に最上段・最下段の2大ボス。シルバーホーク撃墜のために特化したという設定があるらしいstorm causerの武装の豊富さには頭が下がります。私はいつもボンバー 連発で本格的な攻撃が始まる前(尻尾飛ばしx3の段階)で一気呵成に撃破していたのですが……アレですよね。見ていると、プレイヤーの心理を読んで、その裏をかく ような攻撃を繰り出してくるように見えましたね。

 そして、もはや象徴とまで言われるようになったgreat thingは……単純に火力(武器の種類)だけ見ればstorm causerに劣るものの、途方もない硬さとあいまって、 やはり激烈な強さを誇ります。一応すべてのエンディングを見た記憶があるので、何とか倒すことは倒したのでしょうけど、それこそボンバーでウヤムヤにしながら倒した んだろうな。


 幻視の世界の終わり


 本作はマルチエンディングです。

 エンディングの明るさとボスの難易度が直結しているわけではないと思うのですが、一番イージーなステージのエンディングは少々悲しい結末となっています。英語の 字幕をちゃんと理解していないので、その後の惑星ダライアスがどうなったのかはよくわかりませんが、最後まで戦い抜いたプレイヤーとしては、やっぱり平和になって ほしいものです。

 あとは、私が当時お気に入りだったのは、パイロットのヴィジュアルが出るコース。字幕を読むと、局地的には平和を取り戻したけど本当の平和はまだこれから、と いったような内容(おぼろげ)なのですが、男性・女性ともに割とはっきりした姿を見ることが出来るので、いつもこのコースばかり進んでいました。


 そして、当時はまったく理解できなかったのが……ボスを撃破したあと、それまで広がっていた景色がスーッと消えて、青空と緑の大地が延々と広がっていた……という シーンで終わるもの。結局のところ、これまでの戦いはすべてが幻だった、という、シューティング史上まれに見るトンデモナイ結末でした。

 当時は今ほど情報がありませんでしたからね。どういう理由で次々と幻が現れ、そして消えていったのか。というかそもそも幻だったのか。「一体なんだったんだ、これは?」 という疑問しかなく、そのためにちゃんと理解できるその他の世界のエンディングばかり見ていました。……もちろん、ボスが強すぎると言うのも、ありますが……。

 でも、youtubeで一時停止するなりしてちゃんと字幕の意味を理解し、さらにゲームの中では語られなかった設定とかを理解し、その上で見ると、なかなか感慨深いものが あります。キングオブキングス、実力だけでなく、そういった意味でもすべてのボスの頂点に位置するヤツなのです。まさにグレートだぜ、ってやつです。


 というわけで、感じやすい14〜15歳の頃に触れ、大いに影響を受けた『ダライアス外伝』のことを語りました。

 語って語り尽くせるようなものではありませんが、とりあえず言葉になるのは、このくらい。あとは実際のプレイで色々と感じましょう。


   

 


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