私とある日の遺跡――「太陽の神殿」論



 最近は(アーケードゲームは別として)新しいゲームをあまりやらず、昔やってクリアできなかった ものに再挑戦したりクリアしたけどその時の雰囲気をまた味わいたくてまたクリアしたり、あるいは昔 はクリアできたけど今はクリアできなくてしょんぼりしたり・・・。まあ、ともかく古いゲームしかや っていません。一番新しいのは「コラムス97」とかです。もう10年前だ。

 本作「太陽の神殿」も一応、一度はクリアしました。ついでに言えばレビューも書きました。ですが その内容を自分で見返してみると、「こいつ本当にゲームクリアしたのか?」と思うような内容だった ので、今回改めて書くことにしました。なお一応サターン版も持っているのですが、より思い出がある のがファミコン版であり、今回再プレイしてクリアしたのもこちらなので、あくまでもファミコン版の お話となります。


   メキシコはユカタン半島にある「チチェン・イツァーの遺跡」を調査していたマヤ文明研究の第一人 者・白鳥教授と調査団が謎の死を遂げた。遺された教授のノートには古代に封じ込められていた魔物が 復活したこと、そしてこれを封じるためには「太陽の鍵」が必要であると記されていた。白鳥教授の一 人娘はその謎を解くために、主人公とともに遺跡へと向かう。ちょうど夏休みが始まる日……。

 と言うわけでゲームが始まります。とりあえず研究室で話を聞き、遺品をかき集めて外に出るといき なり森の真ん中に放り出されます。外のフィールドをあちこち歩き回って、遺跡を調べるのですが、正 直言って全体マップがないとどこに何があるのか理解するのにすごく苦労すると思います。説明書にも 書いてありますが、カセットだけで買った人は地図を片手にプレイした方がいいと思います。

 とりあえず「尼僧院」でパスワードを取るための「イシュ・チェルの玉」を取り、そのあとは「高僧 の墓」へ。まだ序盤ではありますが、このゲームらしい謎解きがここから早速始まります。

 とりあえず壁なり床なりを「みる」のは当然ですが、わが国の忍者屋敷よろしく様々なギミックが施 されていて、違和感のある場所が時々見つかります。そうした時に異様に豊富なコマンド(おす、ひく 、こわす、うごかす、等々)を色々と試していき、時には別な人に代わってもらって、ひとつひとつ仕 掛けをといていきます。芦原英幸先生ではありませんが「押してだめなら引いてみな、引いてもダメな ら押してみな、それでもダメなら自分で回ってみな」ということですね。

 ただ、いくら色々なことを試してみればいいとは言っても、そう簡単にいかないところがありますし 、下手をするとゲームが進行できなくなってしまう箇所がいっぱいあります。コマンド入力式でも、決 してやさしくないのですね。

 「簡単にいかないところ」というのは、太陽の位置関係が影響するところ。あるアイテムを取れば太 陽がどの位置にあるのかわかるので進めやすくなりますが、たとえば日光が必要なのに真夜中にそこで 押そうが引こうがダメなものはダメなのであって、やることをやったら後は「まつ」ことも必要なのが 面白いですね。

 一方のゲームが進行不可能になる、いわゆる「ハマり」場所は、ちょっと面白いでは済まされません 。パスワードをこまめにとっていないと、最悪初めからやり直しになりかねない凶悪なトラップがいっ ぱいあります。

 当初、攻略本では「3つのトラップ」と書かれていて、逆に「それ以外は別に何もないんだな」と高 をくくってしまい、ましてやなまじ一度クリアしてるものだから先走ってゲームを進めようとして、結 果的にハマってしまうことが多々ありました。後半部では短い時間の中で3回くらい連続でリセット→ パスワード入力を強いられる羽目になって、少し泣きそうになりました。

 まあ、具体的にどういった場所でそうなるかダイレクトに知りたい方はちゃんとした攻略ページをご 覧いただくことにして、あくまで自力でやりたい方のために「こういうところに気をつけろ」といった ものを書きたいと思います。

 1.むやみに取らない

 ディズニー映画の「アラジン」でもありましたが、宝物に下手に手を出すと二度と日の目を見ること ができなくなるトラップがこのゲームにもいくつかあります。そのため慎重に「みる」コマンドを何度 も押し、時には手をつけずにその場を去って別な場所のギミックを作動させてからそちらを取ったり動 かしたりすることも必要なのです。

 2.順序良く

 項目1とも重複しますが、「取ると進めなくなるけど、取らなきゃ進めない」とでも言いましょうか 、特定の順番でアイテムを使うことで先に進めるギミックがあります。特に球戯場はそういったギミッ クがたくさんあります。実際の調査はゲームの後半になりますが、ほかの遺跡と連動しながら進めてい くことになるので、慎重に進めていきましょう。

 3.あせらない

 たとえば一度ゲームをクリアしたとか、クリアはしてないけど人がやっているのを見たとかで、プレ イヤーがゲームの中の人以上の知識を持っている時に陥りやすいことですね(ほかのアドベンチャーゲ ームでも、そうかと思いますが)。たとえば○○と××というアイテムを手に入れた時、確かにゲーム 進行上これらを「くみあわせ」て使うことが求められるシーンがあるのですが、手に入れた瞬間にこれ を組み合わせてしまうと、××を単体で使わなければ進めない場面が先に訪れるので、これまた詰まっ てしまいます。「元に戻せよ!」と叫んでも、ブラウン管の向こう側の彼らには決して届かないのです 。
 
 4.それでも・・・

 と、まあ注意・心得を申し上げてきたところですが、中には「これ知らないと絶対ハマるだろ」とい った箇所もいくつかあります。私の場合、今回はその場所には引っかからずに通過しましたが、ひとえ にそれは「運がよかった」からでしょう。確率50%の当たりの方を引いたのですね。だから新しい場 所を調べる時は、こまめにパスワードを取った方がいいということですね。


 なお、そういった絶対的なハマりではなく、「次にどうすればいいのかわからなくなった」場合、フ ァミコン版ではケツァルコアトル(自称「かみさま」なので)からヒントを聞くことができます。どう やって。フィールドの右下にある「迷いの森」に入りずっと左の方に行くと聞けます。通常、深緑色の 場所には入れませんが、一部入れるところがあるので、そこが入り口です。あとはひたすら左へ左へと 進むと・・・。

 ゲーム内容としては、こんな感じです。少々手厳しいトラップはありますが、インチキくさい謎解き は(ほとんど)なく、合理的なギミックと神秘的なマジックがちょうどいい加減で混ぜ込まれた本作に 、興味をもたれた方はぜひチャレンジしてみてください。

 なお、言い忘れましたが当ゲームには封印されていた魔物がたくさん出てきて、行く手を阻みます。 これは調査が進まないと倒せない敵は絶対に倒せないようにできているので、かなわないと思ったらサ ッサと逃げて別な場所を調査しましょう。なおごくまれに、ストーリィ上は倒せるのにやられてしまう こともありますが、その時は「LAST GAME CONTINUE」から再開できます。一度しか、そういうのはあり ませんでしたが。


 このゲームはRPG/AVG大好きな私の兄者がよくやっていました。当時の私はまだ小学校低学年 で、今でもそうですがアクション/シューティングゲームばかりやっていたので、このゲームにはさほ ど興味がありませんでした。

 実際に触れたのは、ファミコンカセットがまた世の中にあふれ始めた21世紀。兄者が昔持っていた ソフトをいっぱい買い戻し、懐かしいものあり新鮮なものあり、とにかく遊びまくったのですが、その 中の一本がこれでした。

 そのころ私は大学生で、考古学・民俗学と幻想文学に傾倒していました。イギリスから始まって、ギ リシャ、中東、東アジア……そして日本。「女神転生」のおかげで素養と言うか基礎が出来上がってい たところに、講義で学んだ知識が積み上げられ、いっぱしの文学野郎になっていた犬神は、失われた神 秘的な世界に惹かれてプレイしました。

 そして私は、マヤ文明の英雄になったのでした。


 ず〜っと前の「ファミコン通信」と言う雑誌で、以前は弟たちと一緒に遊んでいたけど家にファミコンが 来たら自分はそれに加われないから、結果的に姉弟の絆が引き裂かれたという女性編集者のレビューが ありました(その後、レビューした「ドラクエ」で再び仲直りした、と言うオチがつきますが)。

 私の場合それが「ニンテンドーDS」になるのかな。アレはなんだか、ひとりでカチカチやっていて 、やっているゲームも私にはよくわからないものばかり。もともと古い据え置き型ゲームを愛好する私 はそこに入り込めず、結果として疎遠になってしまったこともあり、あまり好きにはなれないハードで す。

 今回このゲームは、そんな弟者とふたりでプレイしました。

 攻略本がないと言うとこの情報化時代にわざわざ手書きでマップを作成してくれて、「あそこであー した方がいいんじゃない」「たぶんここだよ」等々、私が気づかないところを次々と指摘してくれたお かげで、何とかクリアにこぎつけました。ちなみに弟者のマップはきちんとコマを割って、地図上に数 字を置き、欄外にそれがどういった建物であるかを示す大変にわかりやすいものでした(私が書こうと していたのはのび太の大魔境に出てきた、わら半紙にサインペンで書いたような簡素な地図だったので )。

 20年前の、私と兄者をつなぎ、今の私と弟者をつなぐこのゲームは、好きとか嫌いとかいうレベル ではなく、存在しているだけでとても重要であると言えます。なんだかゲームセンターCXの「ウラワ ザジェットストリーム」みたいですが、そんな感じです。なんかしんみりしちゃいましたが? まあご 了承ください。    

 


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