私と漢の夢――ファミコン版「脱獄」論


 私は「土曜の深夜とかにテレビで見る、謎のB級アクション映画」とかが結構好きです。ストーリーは大体、ヴェトナム帰りかなんかの強いアメリカ人男性が悪の組織をひとりで壊滅させるという感じのやつ。これといった盛り上げもないまま、ひたすら喋って撃って殴っていつの間にか終わってしまうというやつ。

 こういうのを深夜とかに見ていると、なんか不思議な感じになってしまいます。見終わったあとに「いやあ、面白かったぜ!」とは決して言えないものの、「あー、なんかよかったなぁ」とそれなりに満足してしまうような、その「それなり」という要素。――このゲームも、決して爽快感とかは得られないものの、やり終えるとなんか「それなり」な達成感があります。
 
 このゲームの主人公「バート」はヴェトナム帰りなのか何なのかは知りませんが、ともかくただ者ではありません。なればこそ、GOVERNMENT OF THE DARK(通称「GOD」)――具体的なことはよくわからないのですがともかく多数の構成員を抱え、暗躍する凶悪組織――に捕虜として潜入し、そこから脱獄――そして組織の重要人物を抹殺せよ! という非常に困難な任務を任されるのです。多分、そうだと思います。

 ステージ1 基礎攻略と「収容所脱出」

 ……というわけで、ゲームを始めると、いきなりバートは隠し持っていた爆弾で独房の扉を爆破します。パチパチパチ……ドカーン!

 って、そんなド派手にやっちゃっていいんでしょうか。たちどころに銃殺されそうですが、どういうわけかここの兵士は素手、またはナイフくらいしか持っていないので、その点は問題ありません。パンチ、キックなどを駆使して蹴散らしていきましょう。なお、自分が向いている反対方向にボタンを押しながらパンチをすると裏拳がだせます。使えなくはないのですが、積極的に使っていくほどの有効性はありません。

 このゲームでは、ひとりひとり、正面から向き合って倒していくのが無難です。2〜3人くらいまとめてパンチを当てることも、できなくはないのですが、何せ敵の攻撃力・防御力ともども普通のゲームと比べると高いので、ちょっとリスクが高いです。あと、パンチよりもキックの方が、間合いを取れるので、より安全な気もします。

 で、7〜8発キックを食らわせると、軽く吹っ飛びます。そうしたらジャンプキックで、一気に決めてしまいましょう。思い切り吹っ飛んでいくはずです。

 また道中で、銃を手に入れることがあります。Aボタンで普通に発砲することができますが、もう一方のBボタンを押すと、銃のストック(肩に当てる部分)で相手を殴りつけることができます。このあたりもなんだか、バートが軍隊の教育を受けている一面が垣間見えていかにもアメリカ的な感じです。

 ちなみに、ファミコン版ではいろいろな部屋に入ることができます。中には敵がいます。ですが、そこにいる敵をすべて倒すといろいろなアイテムが手に入ります。まあ取ってみればすぐに効果はわかると思いますが、カイザーナックルのアイコンは攻撃力アップ、Aアイコンは防弾チョッキ(回数制限あり)、Lアイコンはライフ全回復です。

 あとは……これといって危ない場所はありませんよね。金網の中からポンポン手榴弾を放ってくるやつがいる場所では、よほどでない限り立ち止まらずに進めば大丈夫です。ジャンプしながらでもなんでもいいので、とにかく全力で射程範囲外へ行きましょう。

 で、はしごを上った先にはGODが誇る新鋭攻撃ヘリDG8003が襲ってきます。スネーク、やつのテールローターにスティンガーを喰らわせるんだ!……って、それは別なゲームですね。このDG8003は攻撃ヘリらしい攻撃は一切してきません。ただヘリの中からおなじみの黒人兵士が出てくるだけです。倒すと落とす手榴弾をヘリにぶつければ、割とあっさり破壊可能かと。

 ステージ2 「敵機動部隊襲撃作戦」

 作戦と言っても、もちろんひとりで行います。と言うか作戦も何も、ただ正面から乗り込んで暴れまわるだけです。敵も、んー、そんなに変わらないかな……とりあえず序盤の装甲車の中に入って、装備を整えてください。

 そうそう、ここで一番の強敵はバイクに乗った兵士です。ものすごいスピードで爆走してきます。もちろん轢かれると結構なダメージを受けます。一応タイミングさえ合えばパンチでも倒せますが、そのタイミングを合わせるのが非常に難しいので、無視して通り過ぎた方が安全です。

 最初のバイク兵士は、装甲車地帯をすぎて、金網に沿うようにしながら少しずつ歩けば通り過ぎていきます。そのあと彼らはたびたび出てきますが、画面の一番下を歩いていればほとんどぶつかることはないでしょう。

 あと、もうひとつ危ない場所があるとすれば3連クレーン地帯ですかね。落っこちてくるクレーンのフックに当たると即死します。慎重にタイミングを測って、下を潜り抜け……ようとすると、たぶん死んでしまいます。じつはクレーンが上に行く途上は当たり判定がないので、クレーンが地面についた瞬間にジャンプでもしていけば割とイージーに通り抜けられます。

 ここのボスはGOD機動部隊長として、常に前線で戦い続けてきた銃器のスペシャリスト……その名も「ダイモン」が登場します。そのため、GOD機動部隊は必然的に「ダイモン軍団」となります。マシンXとかスーパーZとかがあるかどうかは未確認です。

 ドラマでもそうだったようにこの人はショットガンで攻撃してきます。4WAYですし、まあめったに撃ってこないし、多分防弾チョッキもあるでしょうから、これについてはそれほど心配いりません。むしろ恐ろしいのはポンポン放り出してくる手榴弾でして、これに当たると即死しますゆえ、うかつに近づけないため、ちょっとした強敵です。

 これも確実な攻略ではないのですが、手榴弾はコロコロッ……と転がって少し離れたところで爆発します。だとしたら、むしろ密着してキックをすれば安全です。とりあえず死中に活ありといいますか、むしろ思い切り近づいてキックを連発させると、なんだかそこらへんのザコキャラよりも打たれ弱いという衝撃の事実が発覚します。だ、団長ー!

  ステージ3 「アジトへの道のり」

 といっても特に隠密行動などはせず、真正面から歩いていきます。いつものことですね。

 とりあえず、序盤でアイテムをちょくちょく取って行きます。出てくるのはまあ、これまでとあんまり変わらないような人たちなのですが、とにかくここは人間が多い! ので、気をつけるべき点といったらプレイヤーが飽きてほっぽり出さないようにする、といったことくらいでしょうか(笑)。

 とはいったものの、基地の周りの防備に当たっているのはGODの誇る特殊部隊です。なんつったって助走なしで数メートル飛び跳ねたり、転がりながらナイフで斬りつけてきたり、かなりの高速度で移動したりと、これまたテンポを著しく阻害し、このあたりで「あーもーやってられるか」と電源を切ろうとする方もいるかと思いますが、まあ、お待ちください。

 それだったらアレですよ、こちらからは動かないでパンチ、またはキックだけ出してればいいんですよ。もちろん、回り込まれたり空中から襲い掛かられたりしないように、ちょくちょく上下にずれるくらいの作業は必要ですがね。あと道中、狭い道路の駐車帯みたいなスペースがあるので、そこで壁を背にして2〜3人まとめて倒してしまうのもまたアリでしょう。

 地道にやればまずは、それほど難しくはないです。カイザーナックルを取っていれば、さらに攻略は容易でしょう。まずは確実にひとりひとり、倒す。これはまあ、最初にも書きましたが、このゲームの全編で通じる方法ですね。

 さて、うんざりするような特殊部隊の襲撃を辛くも切り抜けたバートは、いきなりがけから飛び降ります。その先はGODの秘密基地へ通じる高速エレベーターがありました。落ちていくエレベーターに飛び乗るのはちょっと危ない気もしますが、まあ1面でもこういうシーンはありましたしね。このくらいのことではどうってことありませんや。

 しかし、組織に潜入する前には最後の門番が待ち構えていた。ダイモンは銃に頼り切っていたから、貴様ごときに負けたのだ! だがおれは違う! 鍛え抜かれたこの身体で、貴様を叩き潰してやる!! そんな声が聞こえてきそうなGOD特殊部隊長、「エンジェル」の登場だっ!!

 名前と見た目のギャップでまずは、私は打撃を喰らいました。どこがエンジェルだ! しかも得意技は相撲の「突っ張り」だ! なんだかよくわからないがとにかく強いです。油断しているとあれよあれよと言う間に倒されてしまいます。ではどうすればいいのかというと……これまた、2面のダイモンと同じく、近づいてひたすらキック!――これに尽きます。

 もっといい感じの攻略があるのかもしれませんが、わたしは今のところこれくらいしかできません。これまた7〜8発くらいキックを食らわせれば、エレベーターの外に蹴落としてやることができるでしょう。そうすればいよいよ、GODのアジトへと潜入です。

ステージ4 「深く潜れ――アジト潜入19XX」

 さて、先ほど地底深く潜入した気もしますが、なぜか地上から始まります。またアジトというよりは、なんかそこらへんのプレハブの工場みたいな感じもしますが、とにかく本拠地へといよいよ乗り込むバート。ここでは割とライフルを持った敵がちょくちょく出てくるので、さっさと奪い取って、弾数を気にせずバリバリ撃ちまくりましょう。

 ところでここに来てこんなことを言うのも何なんですが、銃のストックでぶん殴る攻撃はとにかくリーチが短く、正面から殴ろうとすれば逆に相手の攻撃をもらってしまいます。こういう時は横軸をずらして、とにかく誰もいなくても攻撃しまくることによって、うまくダメージを与えられます。一度当たればあとは最後まで殴り続ければ大丈夫ですが、回り込まれそうになったら黙って発砲した方が無難です。

 しばらくプレハブの建物の横を歩き、やがて1面の最後と同じくらいの高さのあるはしごを昇り、今度は屋根の上を歩きます。どうして中を行かないのでしょう、もしもスナイパーがいれば格好の標的となりそうですが……また、ナントカと煙は高いところが好きといいますが……まあ、いいです。とにかく屋根上の散歩者と化して、好天に恵まれながらさらに進むと、なんだか木材置き場みたいなところに飛び降ります。何階分の高さがあるのやら……。

 ここでも時々、画面奥に入れる場所がありますが、しかし注意があります。これまでであれば兵士がせいぜい3人くらいしか出てこないのですが、ここでは何とあのダイモンが復活しています! 再び繰り広げられる死闘! このゲームではミスしてから復活した直後の無敵時間と言うのが一切存在しないので、ちょっと気を抜くと4人くらい連続してやられます。なのでむしろ入らない方が無難かもしれません……。

 ただ、敵の数はそれなりに多いのですが、ステージ3を突破した方であれば、まずはどうにかなります。ただそれなりに長いので、可能な限りダメージを食らわないように、慎重に進みましょう。ダメージさえ受けなければ、わざわざ団長と2度も3度も戦わなくて済むのですからね。

 さて、しばらく進むとなにやら木材置き場から、通信機器なのかコンポなのかよくわかりませんが、そんなような機械がいっぱいある場所に出くわします。
 
 「ここからなら、仲間と連絡を取れるかも知れん」

 そう思い、通信機器に手を伸ばそうとするバート。しかしその時、背後に忍び寄る気配。……そこにはグレーのスーツに身を包み、拳銃を握り締めたひとりの男がいた。この男こそ、GOD総司令部参謀長官「マーフィ」だ!

 ……とは言ってみたものの、この人は背広組というか、文官というか……はっきり言えば弱いです。一応、拳銃は持っているものの、まあ、弱いです。攻略法としては画面右側に追い詰めて、キックします。キックを喰らうと後ろに下がって、壁にぶつかって、また反対側(左側)に逃げようとするので、そこをまたキックします。その繰り返しで、楽勝ペースです。

 というわけで、ちょっと拍子抜けするくらい弱かったものの、組織の最重要人物を抹殺し、任務を果たしたバート。仲間に連絡を取り、待ち合わせ地点に脱出する……しかし、そこには、GODの生き残りが、彼を生かして帰さぬとばかりに最後の戦いに臨まんとしていた。

 ラストステージ 「脱獄――最後の戦い」

 アジトからの脱出途上、バートが対峙したのはダイモン軍団の誇る新鋭装甲車(名前はない)だった。もちろん新鋭とか何とか言っても攻撃は手榴弾を屋根からポンポン投げてくるだけです。……と、これで済めばいいのですが、この手榴弾というのがなかなかの曲者でして……見てからかわすのがすごく難しいんですね。

 当たらなければ一発も当たらないのですが、当たると次々とやられてしまう……。なのでとりあえず、こちらも兵士を倒すと手に入る手榴弾をポンポン投げてやりましょう。まあ、大体10発くらいで破壊可能です。ある程度は残機押しとなってしまいますが、やむなしといったところでしょう。


 さて、脅威の攻撃力を有する装甲車を破壊し、森林地帯を抜け、わずかに生き残った兵士たちを蹴散らして、あと一歩で脱出地点……というところで、茂みからまたもやダイモンが登場! 出番多すぎ!! やはり団長は不屈の闘志で、何度でも現れては豆まきのように手榴弾を放り投げるのです。わかりました、もう勘弁してください。

 そしてこれまた何人もの犠牲を(たぶん)払いつつ、ダイモンを倒し、今度こそ誰もいないだろう……と思ったら、今度は茂みから半裸のものすごくマッチョな野郎が登場します。なんというか、見た目のインパクトだけでまたしてもズゴーン! と衝撃を受けてしまいます。しかしパニックに陥っている暇はありません。この男こそさっき倒した「マーフィ」を影で操る、すべてが謎に包まれた組織の総帥――「総帥GOD」なのです。

 見た感じボディービルダーのような感じですが、敏捷性はトップクラスというか超人的というか……こんなナリしてものすごい高空をとんぼ返りしながら飛び回る、これまた何がなんだかわからないですがとにかくすごい人です。それゆえ苦戦は必至でしょう。

 すみません、また嘘をつきました。じつはこの人、着地際にキックを当てるようにすれば、ちっとも強くないんです。とどめの一撃を食らわせる時は一瞬、画面がフラッシュして決着となりますが、「え!? もう終わり?」と思ってしまうことでしょう。――では、今度こそエンディングです!

 エンディング 「任務完了!」

 エンディングとは言ったものの、メッセージはここに来ていきなり英語になります。「収容所からの脱出作戦は成功した。任務完了だ!」てな意味合いのメッセージと、たぶん味方のものと思われるヘリの画像。そしてそのあとに来るのは、仲間たちの祝福を受けながら誰か女性と抱き合ういい笑顔のバート。……恋人、なのかな。それとも娘とかなのかな。

 もともとこのゲームはアメリカのSNKが作ったといわれています。それが日本に来て、さらにKACという会社によってファミコンに移植されたと。そういういきさつがあるからなのかな、最初から最後までB級アクション映画(アメリカ製)な感じのするゲームでしたね。




 先に出た「ゲバラ」ほどの思想性、男臭さこそないものの(エンディングで女性が映りこんできてしまったし)、道中の熱苦しさっぷりは昨今のゲームと比べるまでもなく十分に「漢ゲー」の資格を有すると言ってしまっていいのではないでしょうか。

 では最後に、ちょっといい裏技を皆様にこっそりお教えいたします。こっそりって言ったって、こういう時代ですので、ちょっと検索すればすぐに引っかかって来るかと思うのですが、一応ね。

 タイトル画面が表示されている時に、コントローラIの、A、B、B、上、上、下、左、の順に押してからスタートすると、プレイヤー数が20人に増えます。ちなみにこれはコンティニューする時も入力してやれば、20人の状態で続きから始められます。あせらずに、コマンドを入力したらきちんと「CONTINUE」を選んで、始めればOKです。

 20人+得点によるエクステンド……これだけ人数がいれば、大丈夫です。たぶん攻略とかなくても正直なところどうにかなるかとは思うのですが、よりスムーズにゲームを進めるためにね……一応、書きました。

 あと、一度しか見ていないのでこのゲームには隠しキャラがいます。条件はよくわかりませんが、スコアが2万点を突破した時、1UPの音が鳴るものの画面上では増えていない……という謎現象がこのゲームでは起きるのですが、その状態で2面の後半、コンクリートの部屋に入り、敵を倒すと、いきなり画面中央に敬礼をした謎の人物が登場し、その人を取ると1UPした……ということがありました。

 ……なんだろ、これ。もしかして私のカセットだけに入り込んだ……いや本当、そういうのが出てきたんですって。なんかのバグだったのかなあ。

 まあ、そんな謎めいた部分もある「脱獄」。雰囲気はちょっと難易度の高い「ダブルドラゴン」(ファミコン版)といったところですかね。ともあれいろいろな評価もあろうかと思いますが、私はなかなかの良作であると思います。なので、「一度やったけどほっぽりだしたままだったなー、なんかコレ読んだら久々にやってみたくなったなー」とかいって、実際にやってもらえたらうれしいです。
 



 


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