私と手の届くところにある感動
――「ダライアスプラス」論

 
 私にとってPCエンジンというのは、「よりアーケードに近い内容のゲームができる」ハードでした。同時に買ったのはもちろん「R-TYPE I」でした。まあ当時は3面の巨大戦艦がどうしても突破できなかったのですが、それでも1面のメカニカルな画面で青い反射レーザーの美麗さに感動しました。これこそAC版「グラディウス」で見たレーザーらしいレーザーだ! と。

 その後もアーケードの移植作品からPCEオリジナル作品から、相当やりこみました。のちにメガドライブも当家にやってきたので、それも結構やったんですが、やはりファミコン→PCエンジンに移行した時の感動は大きかったですね。

 もっとも、そのPCエンジンのもうひとつの目玉であるCD-ROMシステムは導入することができませんでした。だって高すぎるから。

 だから「色々面白そうなゲームがあるのだな」とは思ったものの、もうほとんど別な世界のハードとして認識していました。どうしても、それがほしくてほしくてたまらない! という感じはせず、Huカードのゲームで十分満足していたのです。

 今回の記事で書く「ダライアスプラス」もそうです。

 今でこそCD-ROMで出ていた「スーパーダライアス」も(Wiiがあれば)数百円で買える時代ですから、あえて「プラス」の方を推す理由はあまりないとは思うのですが、時代的な背景を重んじて感情的な記事を書くのがウチのサイトですから。あくまでも2016年現在の視点ではなく1990年当時の私の視点をもとに書きます。そのうえで34歳(今年の7月には35になります)の現在プレイして感じたことを加味して。そういうサイトなんですってここは。


 1画面STGとして


 1986年に発売された業務用筐体は大型モニターを3つもつなげるという力技でズドーン! とゲーセンを占拠した……というのは、私の中では歴史の話。そのころはまだゲーセンなんて入れませんでした。だから、どちらかというと「II」ですね私がプレイしたのは。初代は……まあ、プレイした記憶がありません。私にとって「ダライアス」とは、PCE版がオリジナルです。

元々3画面で遊ぶゲームを1画面に移植しなおす…というのは、なかなか大変な作業なのかなとは思います。実際、今日のゲームからしてみると自機の当たり判定が結構大きくて、ボスの多方向弾を避けるのは結構難しいです(アームを装備しているとなおさら)。あまり、弾の間をかいくぐって……という戦法は向いていないかもしれません。

 一方で、ボスの巨大戦艦というのは、えーと…もちろん自機よりは大きいし敵のどの機体よりも大きいのですが、たぶんアーケード版ほどのインパクトはないでしょうね。火力の強さは申し分ないですが、真の意味で「巨大」となると、やはり「外伝」のタイタニックランスとか「G」の各ボスをイメージしてしまいます。ま、これは「比べれば」という話なので、本作を貶める要素はまったくありませんが。


 「プラス」はされてるけど「スーパー」ではない


 本作に収録されているボスは16体です。「スーパー」の26体(全ステージごとに違うボスが出てくる)と比べれば少ないのは当然ですが、アーケード版は11体だったので、少し増えています。たとえばアーケード版ではボツになったエイ型戦艦「ビッグラジャーン」とか、見てからかわすことが極めて困難な超高速サンダーレーザーを放ってくる「マイホームダディ」ですね。

 この総数だけ見ると「あれ? やっぱりプラスっていうだけあって、やるじゃん」と思うんですが、どういうわけかクジラこと「グレートシング」がいません。激しすぎる攻撃が、やはりHuカードの中には収まらなかったのでしょうか。あとストロングシェルとかもいないみたいですね。一方で私はピラニア(ファッティグラトン)がいないのがありがたいです。

 少ないよりは多い方がいいのは当然ですが、そういった熾烈な攻撃をするボスがいないっていうのは、逆に考えると「プレイしやすい」ような気がします。そうはいっても、火力は低くても攻撃判定が小さくて攻略に手間取っているうちに永久パターン防止キャラ(ヤズカ・タカーミ)がワラワラ出てきてあっさりゲームオーバーになってしまうボスも多々いますが…。


やっぱりウェーブでしょう


 これは21世紀に入ってWikipediaを見て知ったのですが、「スーパー」の方はなんとウエーブで敵を倒すと得点が入らないバグがあったみたいですね。そして「プラス」ではそれが修正されている、と…。

 ここで少々、私の個人的な話になるのですが、当時小学生だった私にとってウェーブというのは「遠いあこがれ」でした。いったんミスすると大きく装備が弱体化してしまう本作において、ウェーブを装備するということは高次面までノーミスで行かなければいけない、ということ。つまり上級者の象徴です。そのころの私はレーザーにするのがやっとでしたからね。そして皆様ご存知の通り、レーザーは貫通属性がつくものの当たり判定が極端に狭く、結局ミサイルの最強段階が一番強い…それが事実ではあるのですが、それでも私は常にウエーブを目指します。

 地道に赤いカプセルを集めるものの、道中の地形にはばまれ、またボスの激しい攻撃にくじけ、何度も何度もミスをして…。それでもこないだ、久しぶりにウエーブまで進化させることができました。決して連射力は高くないし、単発の攻撃力も変わらないのですが、直線状のあらゆる敵にダメージを与えられるウェーブはとても心強いものでした。そしてその勢いでラスボス「カトルフィッシュ」を撃沈。プロコとティアットの二人は新天地に降り立ち、そこで人々と生きていくことを決意したのでした……。


結論
 

 そんなわけで、いつもと比べると随分コンパクトに収まりましたが、そういうことです。こういう時代だから、Wiiをお持ちの方は「スーパー」を買っておけばいいのかなという気がしますが、「プラス」には「プラス」なりの良さがあるんです。音源はPCエンジン準拠のものだし(スーパーの方はAC版の音楽をCD-DAで再生する)、ボスは少ないし…とありますが、決して「劣化版」とか「ダウングレード版」というわけではないんです。ハードによって棲み分けをしているだけなんです。

 あとは、やっぱり歴史的な意義を考えると、私のようにCD-ROMを導入できない家庭でも「ダライアス」が遊べた、ということが大きいでしょうね。「スーパー」ものちにプレイして、もちろんこれも非常に楽しかったのですが、あえて今記事を書くとすればより思い入れのあるこっちかな…と思い、サッと書かせていただきました。

 


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