私と剣と魔法と蛮人モノ
ーーメガドライブ版「ゴールデンアックス」論




昔から私はこの手の、いわゆる「ベルトスクロールアクション」のゲームが大好きで、家庭用でも業務用でも見かけるとついついプレイしてしまいます。そのため業務用作品でも1コインクリアもしくは十分に満足できるくらいの時間(40〜50分程度)遊べるくらいの技術になりました。

対戦格闘ゲームと違って基本的なスペックは敵側の方が圧倒的に高かったり(武器を使う、など)するのですが、こちらも地形やある種のバグを利用して一方的に攻撃をしたりできるので、結局バランスがとれているんですよね(そうでもないゲームもたくさんありますけど)。有野課長風に言えば「パターン入った!」という状況ですか。

また、兄者と協力して2人同時プレイで遊べるのも魅力的です。切磋琢磨するために対戦格闘ゲームで遊ぶのもいいんですが(バーチャファイター、リアルバウト餓狼伝説あたり)、どちらかというと共通の敵に対して力を合わせるという方が、気持ちがいいです。

このメガドライブ版「ゴールデンアックス」なんかは、そんなタイトルの中でも多分1番プレイしたんじゃないかな。100回以上クリアしていると思います。

アーケード版をプレイしたこともあるにはあるんですが、やりこみ度は100倍以上なのでね。今回はメガドライブ版に準拠した記事を書きたいと思います。なお記事の性質上ゲームの結末まで書いてしまいますのであらかじめご了承ください。


復讐するは彼らにあり


基本的な物語としては、神々の力を込めた伝説の武器「ゴールデンアックス」を奪った巨人族の末裔「デスアダー」本人またはその配下の者に肉親を殺された3人の男女が武器を取り戦う 本作は1989年にセガから発売された横スクロールアクションゲームです。8方向レバー2ボタンでプレイヤーキャラを操作し、肉親を奪った憎き敵であるデス=アダーを討つのが目的です。

説明書通りのストーリー説明はWikipediaか何かを見てもらえばいいとして、以前ココのホームページでも紹介した「ウォーリアーブレード」と違い全員が復讐を目的として戦うんですね。特に金銀財宝とかじゃなく、もちろん正義のためとかじゃなく、復讐。親兄弟を奪ったにっくき巨人をこの手で討つため戦う。そういうところが最近の青臭い少年少女が主人公のファンタジー系ゲームとは違います。

主人公も半裸でマッチョなナイスガイ(25歳・バーバリアン)と自分の体の半分くらいある斧を振り回す爺さん(150歳・ドワーフ)ですからね。女性もいますが魔物相手にキレのある跳び蹴りを食らわすクールビューティな王女様です。スマッシュブラザーズに出てくる他国のお姫様や宇宙賞金稼ぎにも引けを取りません。

それぞれ見た目もプロフィールも違いますが、ゲーム内での性能も異なります。一応バランス型・魔法特化型・物理攻撃特化型というふうにあるのですが、個人的には物理攻撃特化型のギリウス・サンダーヘッドがお勧めです。次は魔法特化型のティリス王女。魔法のレベルを最大までザコ敵は瞬殺、ボスにも大ダメージを与えられます。

そして本作でもゲームギア版でも主人公ポジションにあるアックス・バトラーは……やや使いづらいキャラクタです。ロングソードは意外とリーチが短いし、魔法もちょっと中途半端だし、ダッシュアタックは画面端まで届かないし……。

この記事を書くため久々にプレイしたところ、コンティニューを全部使いきってもクリアできませんでした。一方ギリウスでやったら、ノーミスとはいかないまでも1クレジットでクリアできちゃったから、やっぱりギリウスが一番強いのかもしれません。セガの歴代ハードを擬人化した怪アニメ「セハガール」にもゲスト出演したのも、やはりその実力を買われてのことでしょうか(?)。


魔人と亡霊と傭兵たち


一方のデスアダー軍は金で雇われた傭兵・魔法で甦らされた亡霊・生え抜きまたは現場叩き上げの幹部などで構成されています。それぞれ簡単な特徴を紹介します。

ヘニンガー&ロングモーン

一番多く出てくる敵。肌の露出が多い方が「ヘニンガー」で釘バットを持っているのが「ロングモーン」です。階級とかはありませんが色によって強さが異なります。基本的には雑魚キャラなんですが、挟み撃ちに合うと厄介ですし(これはこの手のゲームの定番ですけどね)、距離を置くと強力なダッシュアタックを繰り出してくるので、地形を利用して一人ずつ相手にしましょう。

ズブロッカ

アマゾネス集団。部隊(色)によって「ストロバヤ」「レマーニャ」「グルジヤ」などという名前がある。これもまた距離を置いているとダッシュアタックを繰り出してくるので、先ほどの連中と同じように1体ずつ倒しましょう。また、よくドラゴンに乗ってくるので、攻撃を受ける前に最優先でたたき落として奪ってしまいましょう。

スケルトン

デスアダーの魔法によって甦らされた兵士の亡霊。一度死んでいるのでなかなか倒せず、攻撃力も高い。プレイヤーと同等の技(ダッシュアタック、ジャンプアタック、ハイジャンプアタック、武器の柄で殴る)を使いこなすなどテクニックも優れているので、生前はかなりの手練だったと思われます。

バド兄弟/モルト軍曹・ホップ軍曹/ハートランド将軍

ハゲでヒゲでデブの巨漢(身長2m50cm・体重300キロ)。普段はとても温厚でニコニコしているが血を見るなどして怒ると悪鬼のごとく暴れまわる。その体躯と暴力性を買われてデスアダー軍の幹部として雇われており、一族の中には将軍になった者もいる。

得意技は手にしたハンマー振り下ろしと16文キック、それにウイグル獄長ともタメを張れそうなショルダータックル。当然ながら体力もあるので、うかつに近づくと危険。

ビター中尉/ビター大佐/ビター将軍

鎧兜に超ロングソードと盾……という正統派な騎士の格好をした人。元々名門の一族であるため血筋で幹部に取り立てられた経緯があるので、叩き上げのハゲ野蛮人一族とは仲が悪い。なおギリウスの弟「ガリー」を殺したのはビター将軍である。

至近距離では盾でゴツンと叩いてくるし、中間距離では本作最長のリーチを誇る剣をブンッと振り回して攻撃してくるなど、まともに戦えばかなり強力なキャラクタ。ただし超ヘビー級装備のためダッシュアタックはできないので、そこに付け込めば勝機はあります。

デスアダー/デスアダーJr.

北方の巨人族の生き残りで、神々の力が込められた「ゴールデンアックス」を横取りし、軍団を率いて世界を恐怖と絶望に叩き込んだ張本人。有り余る怪力で斧を振り回し、さらに地面を走る衝撃波(通称パワーウエイブ)でも攻撃してくるなど、軍団の総帥にふさわしい風格と実力を併せ持つ。なお一人息子はメガドライブ版のビギナーモードにのみ出てくる。


そしてメガドライブ版ではこの他に特別追加キャラが出てくるのですが……それはまた後ほど紹介します。


果てしない道のり


そんなわけで道なき道を乗り越えて宿敵デス=アダーの居城まで行くわけですが、本作の面白いところは8方向レバー+2ボタン(あと1つは魔法発動ボタン)で多彩な技を繰り出せることです。

ダッシュ中にアタックボタンを押すことで繰り出すアタックは当たり判定が結構強いし、挟み撃ちにあった時はジャンプして剣を振り回せば結構脱出できます(いわゆる「メガクラッシュ」がないので。ただし実際に攻撃を受けてしまうと発動できないのでフルボッコ状態に)。そしてダッシュジャンプからの下突き攻撃は最強の攻撃力を誇り、ザコ敵なら一撃で死亡させることができます。ちょっと当てづらいというのはありますが、積極的に狙って行きましょう。

あとは先程もちょっと書きましたが、敵の中には怪物の背中に乗ってくる奴もいます。「獣王記」でおなじみ? のチキンレッグ、ファイヤーブレスで攻撃するブルードラゴン、そして本編中で一度だけ登場する、射程無限のファイヤーボールを吐き出すレッドドラゴンです

いずれも相手を一方的に攻撃できる上、威力もなかなか高いので、ぜひとも体当たりなり何なりで背中から叩き落とし、自分のものにしてしまいましょう。なお、敵味方を問わず何回か叩き落されると逃げてしまうので、自分が乗ったら極力体当たりは食らわないように。

アーケード版との比較記事などは書けませんが、そういうわけでアクションゲームとしては非常によくまとまっています。真面目にボタンを連打して敵を叩き伏せるもよし、ダッシュアタックで地道にダメージを与えていくもよし。敵の攻撃力も結構高いので一方的にライフをごっそり奪われる場面も少なくありませんが、そうならないように立ち回ればOKなのであまりストレスは感じません。

最終的にはウインドウッド城の王と王妃を幽閉し我が物としている仇敵デス=アダーを撃破し 二人を救出すればめでたしめでたし……アーケード版では実際にそうなったのですが……メガドライブ版ではそうはいきません。

助けだした王妃がいきなり「……でも、なんか胸騒ぎがするのよね。真の大ボスがいるような気がするの。アンタちょっと見てきてくれない?」といった意味合いのことを英語で話し、主人公もYes, my load! と二つ返事で請け負ってしまうので、家庭用オリジナルのステージが始まります。ビター将軍はここでようやく登場します。

そして最後の最後、玉座にリラックスモードで腰掛ける緑色の大男こそ真の大ボス「デスブリンガー」です。ちなみに側近のスケルトン(x2)は無敵です。

基本的にはデス=アダーと同じような攻撃を繰り出してくるのですが、パワーウエイブは6方向に拡散しますので、発動されてから避けるのは極めて困難です(一応タメ時間があるので、その時に攻撃すればキャンセルさせることができる)。そして恐ろしいことには、デスブリンガーの攻撃を食らうと追い打ちに主人公たちが使う魔法を繰り出してくるのです。特にパワーうえいぶを食らうと、ティリスの最強魔法(巨大なドラゴンが出てきて画面中をファイヤーブレスで焼きつくす)での追い打ちがあるので、かなり厳しい状況に追い込まれます。

1対1の状況に持ち込めればともかく、側近のスケルトンが無敵なもんですから、なかなか難しいとは思いますが……この最終決戦のBGMがまた格好いいのでね。なんというか、「震え上がるくらい怖い敵だけど、これが最後の戦いだから頑張れ!」というような曲調なので、地味でも何でもいいのでジャンプアタックやダッシュアタックでコツコツダメージを与えて行きましょう。そして決定的なトドメを受けさせましょう。


そして感動の? エンディングへ


見事に最終ボスを倒せば、ステージごとに道程を記してきた地図にもFinの文字が書き加えられ、いよいよエンディングです。

まずは登場したキャストの紹介です。一応敵味方に分かれて戦った間柄ではありますが、ヘニンガーもロングモーンも主人公チームも平等に身長体重データ付きで紹介されます(ティリスの体重は「?」表示ですが)。もちろんノーサイドってわけにはいきませんけど、このあたりはちょっと面白いですよね。

キャスト紹介が終わったら、今度はスタッフの紹介です。これは先ほど激闘が繰り広げられたステージのひとつで、ギリウス爺さんが文字の塊をヨイショッと投げ、ロングモーンが手にした棍棒で空中に打ち上げると文字の塊が爆発して名前が紹介される……というものです。この間、若い男女ふたりは後ろで休憩しています。

「やれやれ、元気な爺さんだぜ」

「ほんと、もう付き合ってられないわ」

果たしてそう言っていたかどうかはわかりませんが、ともかく非常にユーモラスなエンディングとなっております。本編が結構ハードな感じだっただけに、この明るくて楽しいエンディングは本当に面白いなと思います。


さて、そんなわけで妙に長い記事になってしまいましたが、そろそろこのレビューも締めくくることにしましょう。

先述したように本作は、兄者といっしょにプレイしてタップリ楽しみました。後に「ベアナックルII」などもやり込みましたが、本作のほうが比較的短い時間で終わるので、その分回数が多かった気がします。

さすがに1994年生まれの弟者とプレイする機会はあまりありませんが、一方で弟者は「ボナンザブラザーズ」がお気に入りのようです。しかも結構ウマいもんですから、反対に私のほうがサポートされることもしばしば。いやはや、なんとも……。


ともあれ、そんな感じでメガドライブ、結構アクションゲームが強かったなという印象です。別にセガ人とかセガオタクとかセガマニアを自称するつもりはありませんが、そういう……2人同時プレイを最もたくさんやったハードとして思い出深いハードです。そしてその中核にあるのが「ゴールデンアックス」なのかな、と思いました。






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