私とマッハ全開! スーパー戦闘機総ざらい
――『アフターバーナー』論




 初っ端から何なんですが、私はフライトシミュレータというやつがあまり好きではありません。

 別にこないだスーパーのゲームコーナーにあった『ランディングギア』で、1面でいきなりゲームオ ーバーになってしまったからではありませんが、自分にはあまりリアルさは必要ないな、と思ったので す。

 というか、飛行機ってこんなに操縦が難しいのか! とひどく驚いてしまいました。まあ、坂井三郎 さんの『大空のサムライ』を読んだ時もそう思いましたが、ゲームの中でさえすごく難しい。誰でもが トム・クルーズになれるわけではないのだ、と打ちひしがれてしまいました。

 私にとって飛行機というのは、小学生のころに大好きだった『アフターバーナー』のようなものだと 、思っていたものですから。

 1.アーケード版

 1987年にセガより発売された本作は、F−14(っぽい)戦闘機に乗り込んでマッハ全開で敵の 領土を強行突破し生還するのが目的のゲームです。なんてことは私が言わなくたって皆さん知ってます よね。

 初めて見た時の衝撃はよく覚えています(『スペースハリアー』よりもコッチが全盛のころにゲーセ ン、というかゲームコーナーに通い始めたのです)。ただ、「面白そう」よりも「ちょっと怖い」とい うイメージが正確かな。

 薄暗い筐体の中で光っているモニターでは、超高速ですっ飛ぶ風景、それに飛び交う戦闘機とミサイ ル、爆風!――あまり上手ではなかったので、やられた時のことが怖くて、すぐにはプレイしませんで した。

 で、それからしばらくして、勇気を出して!? 初プレイ。

 "Get ready!" デゲデゲデゲデーン(例のテーマ曲)というイントロとともに空母から発進、操縦かん をギュッと握り締めて、来るべきゲームに備える……と、間もなく始まる激しい空中戦。

 "Fire!" "Fire!" "Fire!"  
「うわっ!」「どわっ!」「うおおおおっ!」
 バリバリッバリバリッバシューバシューバシュードッカーンドッカーンドッカーン
 ドッカーン……(操縦不能)……ズドドドドドドドカーン

 ゲーム内の声と私自身の声、機関砲が火を吹く音にミサイルが白煙を上げて飛んでいく音、次々と機 関砲やミサイルが当たって爆発する敵機。何がなんだかよくわからないうちに敵のミサイルを喰らって 、地面に墜落。その間……どれくらいだろう。とにかくあっという間だったような気がします。

   実際にゲームとして本格的にやりこんだのは、次の章で書くメガドライブ版で、このアーケード版は 実は何度もやった記憶はないのですが、右脳に「セガって何かすげえ」と叩き込まれてしまったのは間 違いなくこの時のはず。すばらしい。

 2.メガドライブ版

 どうしてPCエンジン版ではなくメガドライブ版なのかといえば、別に雑誌の記事を参考にしたとか ではなく、お店に行ったらそれがあったから。あとはやっぱり、「PCエンジンよりもメガドライブの 方がいい機械だから」。

 これはかなりやりました。すごくやりました。100時間以上はやったと思います。

 ボタンの数の都合上、機関砲は四六時中撃ちまくり状態というすさまじい戦闘機ではありますが、 "Fire! Fire! Fire!" もドッカンバッカンもちゃんとやっていて、それだけで十分に満足のいく出来 であったと思います。

 むしろ自分の部屋で落ち着いてプレイできるから、結構進めたように思います。他の曲も聴けたし、 後ろから撃たれたりミサイルを振り切ったり、燃料補給やボーナスステージも遊べたし、『アフターバ ーナーってこんなゲームなんだ』ということを味わったのはメガドライブ版であったと思います。

 ……とはいえコンティニュー回数が少なく、それほど上手でもないために、犬神はまだエンディング を見たことがありません。今後も見られる可能性は(コンティニュー回数が無限になるとか、そういう 裏技でもなくちゃ)すごく低いのですが……。

 3.マークV版

 そして2009年3月。棚から牡丹餅ではありませんが、中古ゲームショップで廃品同然に積まれて いたマスターシステム(いちいちコントローラとかがビニール袋に入っていて、箱や説明書もついてい る!)を破格値で購入、マークVといえばやっぱり『スペハリ』と『アフターバーナー』だよね、つっ て買ってきてやりました。

 まあマークV版がいかに厳しい出来なのかということはたくさんの人が書いていることですし、当時 の、しかもセガファン向けの雑誌でさえ同じような論調で書かれていることもあって、買おうかどうし ようかは最後まで迷ったのですが、

 「面白くないゲームでも、面白いと思うまでプレイしよう」

 という精神論で、まさに自分の気持ちにアフターバーナー。マッハ全開でカートリッジを手にレジに 走ったのでした。

 で、その日の夜に早速プレイ。

 ……あれ? 気がつくと自機が爆発している。そんなことが、3度。

 というわけで、まさかの1面でゲームオーバー。

 「参ったなあ、こりゃあ」

 同時に買った『チョップリフター』は動かないし、これはこんなだし……どうしようか、マスターシ ステム。そんな風に気持ちが揺らいでしまったのでした。

 本来、『正面からやってくる敵機を、ミサイルを撃たれる前にこちらからミサイルで撃墜する』のが 正しいプレイ方法だと思うのですが、私の視力と14インチのテレビでは敵がよく見えず、結局のとこ ろぐるぐる動いてミサイルが当たらないことを祈りつつプレイする……というわけで、とりあえずステ ージ3までは進めました。

 まあ、プレイする私自身の知識不足も、うまくいかない原因のひとつでした。たとえば、ミサイルは 撃墜できる……とか。

 そりゃアーケード版と比べれば見劣りどころの話じゃないですし、当時の2億倍くらい(根拠不明) グレードアップしたゲームが当たり前の2009年現在の観点で見れば「なんじゃこりゃあ〜!」な代 物ですが、それはそんな気持ちでプレイする人が悪い。足りないものをプレイヤー自身の精神力、努力 と根性で補う余地のあるのが、昔のゲームのいいところなんですから。……もちろん、せっかく買って しまったのだから、という意地もないわけではありませんが……。

 4.まとめ

 振り返ってみて、一番面白かったのは? というとやはりというか、なぜかというかメガドライブ版 なんですよね……。一応はDC版(鈴木裕さんの本についてきた)とかPS2版(これはリメイクです が)とかもやったのですが、家庭用ではこれが一番いいんじゃないの、と。

 じゃあAC版よりもいいのかというと、ほら、AC版は基本的に専用筐体で、操縦かんを握ってプレ イするから別物ですから。確かに実際プレイした回数が多いのは後発の『G−LOC』ですが、問答無 用な爽快感、衝撃を与えてくれたAC版は特別なもの。筐体が動かなくてもいいから、もう一度やって みたいなあ。

 そして今はマークV版をプレイしているところです。様々なハードに移植された現代にあって、あえ て最初期のものをプレイする理由はどこにもないような気がしますが、好きでもなんでもないゲームを やるわけじゃないですし、積極的に楽しみたいものです。



 「戦闘機はミサイル100発までしまえる」「なくなったら空中から補給してもらえる」「アフター バーナーで加速すればミサイルも振り切れる」ということが丸ごと事実だと勘違いしていた部分もあり ますが、小学生の私を3分くらいトム・クルーズにさせてくれたAC版、それを家庭で100時間以上 にアップさせてくれたMD版、さらにはどう考えても無理な移植を力技でやってのけたMK3版。やっ ぱりアフターバーナーは私にとってはグレーテストなのです。




 


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