私と架空超兵器続出戦記
――「19XX」論





 皆様は、「震電」という飛行機をご存知でしょうか。今から60年前、第二次大戦末期に旧軍で開発された、尻尾にプロペラがついている変わった飛行機です。後ろにプロペラがついていると空気抵抗が少ないとか、先っぽに機関銃をたくさんつけられるとか、そういうメリットがあるので、局地戦闘機として一騎当千の活躍を期待されたのですが、3回空を飛んだだけで終戦となり、基地作業員によって破壊されたといいます。

 そのころ私はミリタリーオタク(旧軍オタク)で、「ワールドアドバンスド大戦略」だの「ストライカーズ1945」だのといった、その時代が舞台のゲームをいろいろやっておりました。この「19XX」も、大体同じ時期ではないかなと思います(96年ごろ?)。

 これはカプコンから発売された、いわゆる「19シリーズ」の流れを汲む作品です。「1943」なんかも好きなんですが、アレはずっと、「何で米軍機使って、日本の戦艦沈めなきゃならんのだ」という気持ちがありました。ミッドウェイ海戦でメチャクチャやられたという史実があるのだから、それも仕方ないかとは思いますが、でもやっぱり大好きな戦艦、空母を沈めるのはちょっと気がとがめました(それでも、抜群に楽しいのは事実なのですが)。

 で、そこにきて「19XX」は、無国籍シューティングといいますか……敵軍は日本ありアメリカありドイツあり、まあいろいろですね。でもって自分が操縦するのもおなじみのP-38ライトニング、イギリスの戦闘機DH98モスキート、そして震電……え? ドイツ軍機? そういう方は「ストライカーズ」で代替してください。

 さらに、シューティングとしてもかなりとっつきやすく、ハデハデでいい感じです。とりあえず2個取れば最強状態になりますし、硬い敵はため撃ちで動き回りながらでも集中攻撃。ボムも使った瞬間弾消し&ゲージをためることで緊急回避から大破壊までお気に召すままアズユーライク。さらにちょっとやりこめば、結構長い時間遊べる適度な難易度で、総合的お気に入り度は高いです。

 で、私はとりあえず「機体が大好きなので」震電を愛用していました。後に他の機体も使ってみたのですが、キビキビ動き(移動速度が一番速い)、また威力こそちょっと控えめなものの、すべてを貫通するスーパーシェルの使い勝手のよさも私の感覚に合ったので、結局、震電ばかり使っています。


 …人類は未だ長期化した世界戦争の終結を迎えられずにいた。 それはまさに兵器商人の組織による陰謀であった。 19XX年、ある海峡の上空6000フィート、組織の輸送機「B-29」に乗り込んでいた2人の青年の姿がそこにあった。 2人はある情報を入手していた。 「組織はついに全世界を破壊できる最終兵器を開発した!」この事実を確認し、世界に公表する命がけの行動だった。 しかし、平和だけを願っていた2人に巨大組織の容赦ない攻撃が襲いかかる!


 てなわけで、いきなり自分たちの乗っているでかい飛行機が撃墜され、緊急に発進するという出だしでスタートします。ステージの最初にカシャカシャって言って、攻撃目標を教えてもらえますが、最初の敵は「19シリーズ」の顔といってもいい超大型爆撃機「富嶽」……じゃなくて「亜也虎改」です。
 
 まともにやれば相当強い……わけでもないんですね。「1943」ではレーザーを使って1秒で破壊できましたが、こちらでもバキバキ撃ってれば10秒ほどで撃破できます。弾避けとかする必要もないんじゃないかなと思います。

 その後もリアリティよりも夢を追いかけたような、架空戦記っぽい超兵器が続出します。 

 大和級3番艦(たぶん)に見せかけて艦橋から正体不明の全方位高速弾を撃ったりする戦艦「雷鳴」、ピンチになるとかわしにくそうに見えて実は割とかわしやすい弾を乱射する大型戦車「カルベルトワーゲン」、一通り破壊したかと思うといきなりひっくり返って初見のプレイヤーを驚愕させる(私はしました)高速潜水艦「グランツ」、どことなく「ガンフロンティア」を思わせるような攻撃を仕掛けてきたかと思うとジェットで超加速&極太レーザー攻撃を繰り出してくる、宇宙人のテクノロジーを使ったと思われる装甲機関車「サンチョペドロ」……。

 う〜ん、「ストライカーズ」と同じように、最初はマトモだけど後半面に進むにつれて(潜水艦がひっくり返るあたりから)、世界観がちょっとオカシクなってきますね。5面あたりからは敵が当たり前のようにレーザー兵器を使ってくるのは、どうなんでしょ。

そうそう、このゲームもまあ大体5面くらいまではサクサク進めるんです。初プレイで……というわけにはいかないかもしれませんが、何度かやればサンチョペドロあたりまではいけるかと思うのですが、そのあと出てくる、巨大空母を2つ合体させたような大型攻撃目標「アウターリミッツ」、ここはシューティングゲームには欠かせない1面丸ごとボスというステージなのですが、ここは相当難しいです。そっちこっちに大砲があるし、航空機もビュンビュン飛んで来るし。

 でもってどうにかそこを切り抜けると、いきなり艦橋がロボットに変形し、かの有名な「ファンネル」を飛ばしてきます。これは20世紀ではなく宇宙世紀0080年の戦いなのか!? ニュータイプに覚醒していない方はとりあえずボンバーでも使いましょう。

 そしてその後、何やらミサイルを追いかけて宇宙へ飛び出すとかいうらしいのですが、ここら辺まで来ると私はちょっとついていけません。……加えて、私は先述した「アウターリミッツ」に勝てないので、そこから先はわからないんです……。まあ大体、言いたいことは言ったしいいか。

 そういうわけで、私の大好きな震電が出ているから、ということを差っぴいても、これは「19」シリーズの中で一番好きな作品です。にもかかわらずコンシューマには移植されていない(ですよね)のがなんとも悔やまれます……最近はめったに見かけないし、もう一度やりたいものですね。などとやんわりお茶を濁しつつ締めくくることとしましょう。

 


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